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就活成功させて亡命しよう!
虚構と現実の埋められない溝
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本来のゲームのストーリー通りであれば。
この手のお約束通り、学校の卒業式後に行われるパーティで、攻略者であるあの三人の誰かとヒロインである『フィリーネ』が壇上で、その攻略対象に応じた悪役令嬢相手に婚約破棄を言い渡す。
二次小説では、ゲームではあり得なかったハーレムルートを邁進した悪役ヒロイン『フィリーネ』が攻略対象達と婚約破棄騒動を起こしたところで悪役令嬢三人組に攻略対象共々論破され、逆ざまぁされる。
そのどちらのストーリーも外れたこの現実の中。
場所をギャラリーに事欠かないセイントランド聖国の学園のパーティ会場から、観客はここで働く従業員と、騒いでいる困った客の関係者しか居ない私達の経営する商業施設のエントランスに変え。
攻略対象三人組の隣には勿論私フィリーネは居らず、他に女性も侍っていない。
……いや、彼らのすぐ後ろで私達の両親も一緒に憎々し気に睨んできているから、一応御婦人はいらっしゃるのだけど……、彼女達をエスコートしているのは彼女らの旦那様なので、これは三馬鹿の付属品に数えちゃダメだろう。
勿論彼らが喚き散らす様を見るこちらは皆呆れるか冷めた目を向けるばかり。
私達はと言えば、もう恥ずかしくて恥ずかしくてたまらない。
私はまだ養子だけど、ロジーネ義姉さんらにとっては残念な事に血の繋がった実の親と、亡命成立と同時に元が付いたはずとはいえ幼い頃からの婚者であった過去は消えないのだから、私以上に忸怩たる思いを噛み締めているだろう。
だってさ。
ゲームや小説のストーリー通り彼らは「婚約破棄」だの「国外追放してやる」だの言ってるけどさ。
婚約はとっくに無かった事にされている――これについては公文書を交わしてあるので無かった事を無かった事に……なんてのは通用しない――のを理解していないのか、鬼の首を取ったように意気揚々と宣言するもんだから、こちらはむしろ笑い出すのを堪えるので苦しい程で。
「国外追放」も何も、もうとっくにこのフライハイト王国に亡命してこの国の国民になっているのだから、これも理解していない様で。
「はい、婚約破棄……正確には解消ですがすでに成立しておりますので私は構いませんし、国外追放についてもこの通りこの国で生活しておりますれば、セイントランド聖国の地を踏む必要もございませんので、どうぞお好きになさってください。
……所で本日は視察の予定と伺っておりましたがどうなさいます?
キャンセルしてお帰りになります?」
久しぶりにジークリンデさんが、公爵令嬢らしい淑女の微笑みを浮かべながら彼らに尋ねる。
……その背後にスパークの散る暗雲が見えるのは……私だけじゃないはず。
その圧に気付かずまだ喚ける彼らの鈍さに、私は呆れるを通り越して感心してしまいそうになり、そんな自分に脱力するのだった。
この手のお約束通り、学校の卒業式後に行われるパーティで、攻略者であるあの三人の誰かとヒロインである『フィリーネ』が壇上で、その攻略対象に応じた悪役令嬢相手に婚約破棄を言い渡す。
二次小説では、ゲームではあり得なかったハーレムルートを邁進した悪役ヒロイン『フィリーネ』が攻略対象達と婚約破棄騒動を起こしたところで悪役令嬢三人組に攻略対象共々論破され、逆ざまぁされる。
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場所をギャラリーに事欠かないセイントランド聖国の学園のパーティ会場から、観客はここで働く従業員と、騒いでいる困った客の関係者しか居ない私達の経営する商業施設のエントランスに変え。
攻略対象三人組の隣には勿論私フィリーネは居らず、他に女性も侍っていない。
……いや、彼らのすぐ後ろで私達の両親も一緒に憎々し気に睨んできているから、一応御婦人はいらっしゃるのだけど……、彼女達をエスコートしているのは彼女らの旦那様なので、これは三馬鹿の付属品に数えちゃダメだろう。
勿論彼らが喚き散らす様を見るこちらは皆呆れるか冷めた目を向けるばかり。
私達はと言えば、もう恥ずかしくて恥ずかしくてたまらない。
私はまだ養子だけど、ロジーネ義姉さんらにとっては残念な事に血の繋がった実の親と、亡命成立と同時に元が付いたはずとはいえ幼い頃からの婚者であった過去は消えないのだから、私以上に忸怩たる思いを噛み締めているだろう。
だってさ。
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婚約はとっくに無かった事にされている――これについては公文書を交わしてあるので無かった事を無かった事に……なんてのは通用しない――のを理解していないのか、鬼の首を取ったように意気揚々と宣言するもんだから、こちらはむしろ笑い出すのを堪えるので苦しい程で。
「国外追放」も何も、もうとっくにこのフライハイト王国に亡命してこの国の国民になっているのだから、これも理解していない様で。
「はい、婚約破棄……正確には解消ですがすでに成立しておりますので私は構いませんし、国外追放についてもこの通りこの国で生活しておりますれば、セイントランド聖国の地を踏む必要もございませんので、どうぞお好きになさってください。
……所で本日は視察の予定と伺っておりましたがどうなさいます?
キャンセルしてお帰りになります?」
久しぶりにジークリンデさんが、公爵令嬢らしい淑女の微笑みを浮かべながら彼らに尋ねる。
……その背後にスパークの散る暗雲が見えるのは……私だけじゃないはず。
その圧に気付かずまだ喚ける彼らの鈍さに、私は呆れるを通り越して感心してしまいそうになり、そんな自分に脱力するのだった。
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