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就活成功させて亡命しよう!
長期休暇の予定は……?
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「今年もこの日がやって来たな」
「ええ、マルグリットは何をして過ごす予定ですの?」
「部活だな。私が参加できる最後の大会が近いんだ。だから大半が練習で潰れるだろうな」
「私も温室の世話の当番がありますから、丸々自由にはなりませんね。
でも、授業の無い時間に図書館で調べ物をしたり、植物園にも行きたいと思っています」
「私、後輩に礼儀作法の補講を頼まれていますの。
細かいマナーは国や地域によって違いますけれど、美しい立ち居振る舞いの基礎は変わりませんもの。
これまで身に着けてきたスキルが役立つというのは嬉しいものですね」
わいわいと盛り上がっている話題は間近に迫る長期休暇の予定について。
この学校にも前世で言う夏休み的な長期休暇が存在する。
……まぁ一月程あるそれとは異なり、せいぜい一週間半程と、長さからするとむしろゴールデンウィークのノリか。
「それで、フィリーネ貴女の予定は?」
「あ、うん。買った土地を見に行こうと思って、外出手続きをお願いしているんだけど……、ミヒャエル、あれどうなった?」
「ああ、僕と一緒に行動する事が条件だけど、許可は降りたよ」
ちなみに建築家は、図書館で見て一番気に入った写真の建物を設計した人にお願いする事が決まっている。
土地の詳細な書類は既に送っているけれど、その人も現地で直接見てみたいと返事が来ていた。
「流石に現地で泊まれるところはないけど、一つ手前の街に宿をとって、打ち合わせもする予定なの」
「……む、着々と準備を進めているんだな。一枚噛ませて貰う予定の私も遊び呆けている場合ではないのか……? いや、一応部活動だから遊びとは少し違うといえど……しかし……」
「いや、今回はほぼ顔合わせと概要の打ち合わせだから。詳しい事を話し合う時には声をかけるから」
「でも、それってつまり、その宿のある街まではミヒャエルと二人旅ですのね?」
「……ああ。成る程。これは私達が同行してはかえって野暮だな」
「え、いやそんな事は――」
「ふふふ、僕もいい加減前に進みたいので。そろそろ本格的に距離を詰めようかと。
今回はいい機会なのでね」
「それは……是非健闘をお祈り致しますわね」
と、何やら意味深に微笑む義姉と、それに答えるミヒャエル。
「ありがとう」
「今度は空振りしない様にな」
「……不吉な事は言わないでくれ」
――そんな会話を楽しんだ二週間後。
「それでは、皆さん良い休暇を。
羽目を外し過ぎるごとなく、より良い糧となる時間の過ごし方をしてくださいね」
との担任の言葉を背に、私とミヒャエルは、久方ぶりに学園都市を囲う塀の外へ出た。
「王都を抜けてアーレンス伯爵領までは列車で。宿をとった街からは馬車で行く事になるね。
馬車で行く道はまだ、整備も半ばで道が悪いから、途中でクッションとか自前で調達した方が良いかも。
途中王都で街歩きをしようよ」
長期休暇一日目はこの学園都市に来る時に乗って以来の列車の旅で始まるのだった。
「ええ、マルグリットは何をして過ごす予定ですの?」
「部活だな。私が参加できる最後の大会が近いんだ。だから大半が練習で潰れるだろうな」
「私も温室の世話の当番がありますから、丸々自由にはなりませんね。
でも、授業の無い時間に図書館で調べ物をしたり、植物園にも行きたいと思っています」
「私、後輩に礼儀作法の補講を頼まれていますの。
細かいマナーは国や地域によって違いますけれど、美しい立ち居振る舞いの基礎は変わりませんもの。
これまで身に着けてきたスキルが役立つというのは嬉しいものですね」
わいわいと盛り上がっている話題は間近に迫る長期休暇の予定について。
この学校にも前世で言う夏休み的な長期休暇が存在する。
……まぁ一月程あるそれとは異なり、せいぜい一週間半程と、長さからするとむしろゴールデンウィークのノリか。
「それで、フィリーネ貴女の予定は?」
「あ、うん。買った土地を見に行こうと思って、外出手続きをお願いしているんだけど……、ミヒャエル、あれどうなった?」
「ああ、僕と一緒に行動する事が条件だけど、許可は降りたよ」
ちなみに建築家は、図書館で見て一番気に入った写真の建物を設計した人にお願いする事が決まっている。
土地の詳細な書類は既に送っているけれど、その人も現地で直接見てみたいと返事が来ていた。
「流石に現地で泊まれるところはないけど、一つ手前の街に宿をとって、打ち合わせもする予定なの」
「……む、着々と準備を進めているんだな。一枚噛ませて貰う予定の私も遊び呆けている場合ではないのか……? いや、一応部活動だから遊びとは少し違うといえど……しかし……」
「いや、今回はほぼ顔合わせと概要の打ち合わせだから。詳しい事を話し合う時には声をかけるから」
「でも、それってつまり、その宿のある街まではミヒャエルと二人旅ですのね?」
「……ああ。成る程。これは私達が同行してはかえって野暮だな」
「え、いやそんな事は――」
「ふふふ、僕もいい加減前に進みたいので。そろそろ本格的に距離を詰めようかと。
今回はいい機会なのでね」
「それは……是非健闘をお祈り致しますわね」
と、何やら意味深に微笑む義姉と、それに答えるミヒャエル。
「ありがとう」
「今度は空振りしない様にな」
「……不吉な事は言わないでくれ」
――そんな会話を楽しんだ二週間後。
「それでは、皆さん良い休暇を。
羽目を外し過ぎるごとなく、より良い糧となる時間の過ごし方をしてくださいね」
との担任の言葉を背に、私とミヒャエルは、久方ぶりに学園都市を囲う塀の外へ出た。
「王都を抜けてアーレンス伯爵領までは列車で。宿をとった街からは馬車で行く事になるね。
馬車で行く道はまだ、整備も半ばで道が悪いから、途中でクッションとか自前で調達した方が良いかも。
途中王都で街歩きをしようよ」
長期休暇一日目はこの学園都市に来る時に乗って以来の列車の旅で始まるのだった。
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