65 / 114
乙女ゲームからエスケープ! 留学します!
オリエンテーション - その1 -〈学校編〉
しおりを挟む
昇降口入ってすぐに職員室が目の前。
他に小会議室と用務室が玄関ホールを囲い、職員室の奥には校長室と理事長室が並び、用務室の奥には事務室と警備室が並ぶ。
小会議室の隣は大教室。扉が開いていてちらりと中を見た限り、大学の大教室の様にずらりと段状に机が並ぶ様子が伺い知れた。
私達が誘導されたのは、理事長室の更に奥。
一学年から三学年まで、それぞれAクラスからEクラスの三部屋✕五部屋。
手前から一年Aクラス、一番奥が三年Eクラスの並びだ。
こちらの教室は、学校と聞いて大半の人が思い浮かべるだろう、前に黒板と教壇があり、個々人の机が整然と並ぶ。教室の後ろには縦長タイプの鍵付きのロッカーが、机の数と同じだけ用意されている。
まぁ、黒板と言ってもチョークで板書する濃緑の板ではなくホワイトボードにペンで書くタイプだとか。
机がパイプ足に天板がついただけの物ではなく。
かと言って入学シーズン前に家具屋に並ぶ子供用学習机タイプでもなく。
強いて言えばオフィスにありそうな事務机タイプの物で、天板は広く、小なりとはいえ引き出しも付いた机。
その分、机を移動しようとすれば大人が男性でも二人がかりの仕事なのでは? と、そう思う。
席順は前のボードに名が記してある。
それぞれ視力や座高なども考慮された席順らしく、名前の順や成績順ではなさそうだ。
故に、同じクラスになったとはいえ流石に私達も教室内でまで固まってはいさせて貰えないようで。
「さぁ、皆さん席に着いて!
早速オリエンテーションを始めていくわよ!
まずは基本中の基本、自己紹介から始めましょうか!」
ポッチャリ系のおばちゃんは、どうやらおっとり系……ではなく中々パワフルな方……らしい。
私の右隣の女の子は、
「ヘレナ=エーデンです。見て分かる通り、兎獣人で、リオン帝国の出身です。
私の実家の本家はリオン帝国ではそこそこの商家で、リオン帝国各国に支店があります。
本店はラットリア王国にあるのですが、私の実家はその分家の分家。
リオン帝国内を転々としていまして……、どこ出身、って言われたらリオン帝国としか言えないんですが……」
と自己紹介をした。
私の左隣りの男の子は、
「ファビアン=アンカー、人族だ。
ペロー公国大公の三男坊。
言っておくが、俺は余計なお家騒動を起こすつもりはサラサラない。
俺の役に立つ者なら男女関係なく歓迎するが、寄生するだけが目的の奴には容赦はしないから、先に言っておく」
と、まるで周囲を威嚇するかの如く威圧しつつの自己紹介を。
私の真後ろの女の子は、
「イェニー=ドナート。ドワーフ族、ウィルスミス王国出身。以上」
……と、こちらは言葉少なに。その口調はファビアン君の様に威圧的ではないのだけれど、どこか不機嫌そう。
この世界のドワーフ族の女性に共通した特徴として、背は低め、ポッチャリ系の外観なのだけど、しかめっ面をしているせいで……どうも悪役女子プロレスラーの様な……。
しかも何故か私、睨まれてる……?
いや、私だけじゃないな、チラチラとロジーネ義姉さんやジークリンデさん達にもあまり好意的ではない視線を向けている。
私達、彼女を怒らせるような事を何かしたっけ……?
思いつく限りではないけれど、何せここは国際学校。
そして私達セイントランド聖国が見事なまでの井の中の蛙と知れた今、他では常識でも私達だけ知らずに何か失礼に当たる事をしてしまったかもしれない。
後で本人に聞くか、無理そうならミヒャエルあたりにでも聞いてみるか……。
他に小会議室と用務室が玄関ホールを囲い、職員室の奥には校長室と理事長室が並び、用務室の奥には事務室と警備室が並ぶ。
小会議室の隣は大教室。扉が開いていてちらりと中を見た限り、大学の大教室の様にずらりと段状に机が並ぶ様子が伺い知れた。
私達が誘導されたのは、理事長室の更に奥。
一学年から三学年まで、それぞれAクラスからEクラスの三部屋✕五部屋。
手前から一年Aクラス、一番奥が三年Eクラスの並びだ。
こちらの教室は、学校と聞いて大半の人が思い浮かべるだろう、前に黒板と教壇があり、個々人の机が整然と並ぶ。教室の後ろには縦長タイプの鍵付きのロッカーが、机の数と同じだけ用意されている。
まぁ、黒板と言ってもチョークで板書する濃緑の板ではなくホワイトボードにペンで書くタイプだとか。
机がパイプ足に天板がついただけの物ではなく。
かと言って入学シーズン前に家具屋に並ぶ子供用学習机タイプでもなく。
強いて言えばオフィスにありそうな事務机タイプの物で、天板は広く、小なりとはいえ引き出しも付いた机。
その分、机を移動しようとすれば大人が男性でも二人がかりの仕事なのでは? と、そう思う。
席順は前のボードに名が記してある。
それぞれ視力や座高なども考慮された席順らしく、名前の順や成績順ではなさそうだ。
故に、同じクラスになったとはいえ流石に私達も教室内でまで固まってはいさせて貰えないようで。
「さぁ、皆さん席に着いて!
早速オリエンテーションを始めていくわよ!
まずは基本中の基本、自己紹介から始めましょうか!」
ポッチャリ系のおばちゃんは、どうやらおっとり系……ではなく中々パワフルな方……らしい。
私の右隣の女の子は、
「ヘレナ=エーデンです。見て分かる通り、兎獣人で、リオン帝国の出身です。
私の実家の本家はリオン帝国ではそこそこの商家で、リオン帝国各国に支店があります。
本店はラットリア王国にあるのですが、私の実家はその分家の分家。
リオン帝国内を転々としていまして……、どこ出身、って言われたらリオン帝国としか言えないんですが……」
と自己紹介をした。
私の左隣りの男の子は、
「ファビアン=アンカー、人族だ。
ペロー公国大公の三男坊。
言っておくが、俺は余計なお家騒動を起こすつもりはサラサラない。
俺の役に立つ者なら男女関係なく歓迎するが、寄生するだけが目的の奴には容赦はしないから、先に言っておく」
と、まるで周囲を威嚇するかの如く威圧しつつの自己紹介を。
私の真後ろの女の子は、
「イェニー=ドナート。ドワーフ族、ウィルスミス王国出身。以上」
……と、こちらは言葉少なに。その口調はファビアン君の様に威圧的ではないのだけれど、どこか不機嫌そう。
この世界のドワーフ族の女性に共通した特徴として、背は低め、ポッチャリ系の外観なのだけど、しかめっ面をしているせいで……どうも悪役女子プロレスラーの様な……。
しかも何故か私、睨まれてる……?
いや、私だけじゃないな、チラチラとロジーネ義姉さんやジークリンデさん達にもあまり好意的ではない視線を向けている。
私達、彼女を怒らせるような事を何かしたっけ……?
思いつく限りではないけれど、何せここは国際学校。
そして私達セイントランド聖国が見事なまでの井の中の蛙と知れた今、他では常識でも私達だけ知らずに何か失礼に当たる事をしてしまったかもしれない。
後で本人に聞くか、無理そうならミヒャエルあたりにでも聞いてみるか……。
0
お気に入りに追加
88
あなたにおすすめの小説
断罪ルートを全力で回避します~乙女ゲームに転生したと思ったら、ヒロインは悪役令嬢でした~
平山和人
恋愛
平凡なOLの私は乙女ゲームのヒロインに転生した。貧乏な男爵家の娘ながらも勉強を頑張って、奨学生となって学園に入学したのだが、蓋を開ければ、悪役令嬢が既にハーレムを作っていた。どうやらこの世界は悪役令嬢がヒロインのようで、ざまぁされるのは私のようだ。
ざまぁを回避すべく、私は徹底して目立たないようにした。しかし、なぜか攻略対象たちは私に付きまとうようになった。
果たして私は無事にざまぁを回避し、平穏な人生を送ることが出来るのだろうか?
疲れきった退職前女教師がある日突然、異世界のどうしようもない貴族令嬢に転生。こっちの世界でも子供たちの幸せは第一優先です!
ミミリン
恋愛
小学校教師として長年勤めた独身の皐月(さつき)。
退職間近で突然異世界に転生してしまった。転生先では醜いどうしようもない貴族令嬢リリア・アルバになっていた!
私を陥れようとする兄から逃れ、
不器用な大人たちに助けられ、少しずつ現世とのギャップを埋め合わせる。
逃れた先で出会った訳ありの美青年は何かとからかってくるけど、気がついたら成長して私を支えてくれる大切な男性になっていた。こ、これは恋?
異世界で繰り広げられるそれぞれの奮闘ストーリー。
この世界で新たに自分の人生を切り開けるか!?
年下男子に追いかけられて極甘求婚されています
あさの紅茶
恋愛
◆結婚破棄され憂さ晴らしのために京都一人旅へ出かけた大野なぎさ(25)
「どいつもこいつもイチャイチャしやがって!ムカつくわー!お前ら全員幸せになりやがれ!」
◆年下幼なじみで今は京都の大学にいる富田潤(20)
「京都案内しようか?今どこ?」
再会した幼なじみである潤は実は子どもの頃からなぎさのことが好きで、このチャンスを逃すまいと猛アプローチをかける。
「俺はもう子供じゃない。俺についてきて、なぎ」
「そんなこと言って、後悔しても知らないよ?」
オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!
みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した!
転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!!
前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。
とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。
森で調合師して暮らすこと!
ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが…
無理そうです……
更に隣で笑う幼なじみが気になります…
完結済みです。
なろう様にも掲載しています。
副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。
エピローグで完結です。
番外編になります。
※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。
生まれ変わりも楽じゃない ~生まれ変わっても私はわたし~
こひな
恋愛
市川みのり 31歳。
成り行きで、なぜかバリバリのキャリアウーマンをやっていた私。
彼氏なし・趣味は食べることと読書という仕事以外は引きこもり気味な私が、とばっちりで異世界転生。
貴族令嬢となり、四苦八苦しつつ異世界を生き抜くお話です。
※いつも読んで頂きありがとうございます。誤字脱字のご指摘ありがとうございます。
悪役令嬢エリザベート物語
kirara
ファンタジー
私の名前はエリザベート・ノイズ
公爵令嬢である。
前世の名前は横川禮子。大学を卒業して入った企業でOLをしていたが、ある日の帰宅時に赤信号を無視してスクランブル交差点に飛び込んできた大型トラックとぶつかりそうになって。それからどうなったのだろう。気が付いた時には私は別の世界に転生していた。
ここは乙女ゲームの世界だ。そして私は悪役令嬢に生まれかわった。そのことを5歳の誕生パーティーの夜に知るのだった。
父はアフレイド・ノイズ公爵。
ノイズ公爵家の家長であり王国の重鎮。
魔法騎士団の総団長でもある。
母はマーガレット。
隣国アミルダ王国の第2王女。隣国の聖女の娘でもある。
兄の名前はリアム。
前世の記憶にある「乙女ゲーム」の中のエリザベート・ノイズは、王都学園の卒業パーティで、ウィリアム王太子殿下に真実の愛を見つけたと婚約を破棄され、身に覚えのない罪をきせられて国外に追放される。
そして、国境の手前で何者かに事故にみせかけて殺害されてしまうのだ。
王太子と婚約なんてするものか。
国外追放になどなるものか。
乙女ゲームの中では一人ぼっちだったエリザベート。
私は人生をあきらめない。
エリザベート・ノイズの二回目の人生が始まった。
⭐️第16回 ファンタジー小説大賞参加中です。応援してくれると嬉しいです
乙女ゲームに転生したらしい私の人生は全くの無関係な筈なのに何故か無自覚に巻き込まれる運命らしい〜乙ゲーやった事ないんですが大丈夫でしょうか〜
ひろのひまり
恋愛
生まれ変わったらそこは異世界だった。
沢山の魔力に助けられ生まれてこれた主人公リリィ。彼女がこれから生きる世界は所謂乙女ゲームと呼ばれるファンタジーな世界である。
だが、彼女はそんな情報を知るよしもなく、ただ普通に過ごしているだけだった。が、何故か無関係なはずなのに乙女ゲーム関係者達、攻略対象者、悪役令嬢等を無自覚に誑かせて関わってしまうというお話です。
モブなのに魔法チート。
転生者なのにモブのド素人。
ゲームの始まりまでに時間がかかると思います。
異世界転生書いてみたくて書いてみました。
投稿はゆっくりになると思います。
本当のタイトルは
乙女ゲームに転生したらしい私の人生は全くの無関係な筈なのに何故か無自覚に巻き込まれる運命らしい〜乙女ゲーやった事ないんですが大丈夫でしょうか?〜
文字数オーバーで少しだけ変えています。
なろう様、ツギクル様にも掲載しています。
転生したらただの女子生徒Aでしたが、何故か攻略対象の王子様から溺愛されています
平山和人
恋愛
平凡なOLの私はある日、事故にあって死んでしまいました。目が覚めるとそこは知らない天井、どうやら私は転生したみたいです。
生前そういう小説を読みまくっていたので、悪役令嬢に転生したと思いましたが、実際はストーリーに関わらないただの女子生徒Aでした。
絶望した私は地味に生きることを決意しましたが、なぜか攻略対象の王子様や悪役令嬢、更にヒロインにまで溺愛される羽目に。
しかも、私が聖女であることも判明し、国を揺るがす一大事に。果たして、私はモブらしく地味に生きていけるのでしょうか!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる