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乙女ゲームからエスケープ! 留学します!
テラハ生活始めます!
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「まぁ、素敵ですわ!」
その佇まいはまるでログハウスのような、飾り気は無いけれど木の温もりが優しい戸建ての様にも見える建物が並ぶテラスハウス仕様の棟がずらりと並ぶ。
豪華な邸宅や屋敷等見慣れている筈のお嬢様達が目を輝かせる。
学生寮、と聞いてそれこそ先程あった団地か、修学旅行みたいな団体旅行で使うホテルみたいなのを想像していたのだけれど。
「うん、フィリーネが想像する様な寮を用意している学校も多いけどね。
ここは“国際高等学院”の寮だから。
所変われば品変わると言うだろ?
郷に入れば郷に従えとも言うけど、慣れない環境に飛び込んで、いきなり二十四時間休まる暇なく色々な価値観と交流するのも疲れるだろう?
だから、基本居室は個室になっているし、共同の居間も一軒ずつそれぞれに付いている。因みに一軒につき個室は十二部屋ある。
だから、この一軒を丸々僕達で使えるって事」
しかも、テラスハウスと言うだけあって、一階の居間から出られるテラス付きの庭は、テーブルセットでギリギリの広さとはいえこれも私達で専有できるらしい。
居間にはミニキッチンも付いている。まぁ、流しとコンロが一口の本当にささやかな設備しかないから、本当に簡単な料理しか出来ないけど。
「共同の食堂は……」
規則正しく円を描き並ぶテラスハウスの棟の中央にある円柱型の棟を指す。
「あそこに、談話室や自習室、共同浴場なんかと一緒にある」
寮の個室には流石に水回りはトイレとシャワー室のみだったので、湯船に浸かりたかったらあちらを使う必要があるらしい。
「予約が必要だけど、自由に使えるキッチンもあるよ」
その共同棟にある管理室に顔を出す。
「ああ、聞いているわ。セイントランド聖国からの留学生よね?
ミヒャエル=グリム君とジョゼフィーネ=アンデルセンさんがハワード侯爵家枠ね?
あなた達はG列3番よ。これが共同玄関の鍵。こっちが各個室の鍵よ。失くしたら再発行にお金と時間がかかるから気を付けて」
受付の美人なお姉さんが鍵を渡してくれる。
「届いた荷物は纏めて居間に運び込まれているはずだから、各自部屋に運んで。
棟内の部屋割りは各自で決めていいわ。
但し、明日までにこの届け出に記入してこの受付に提出してね」
「分かりました、ありがとうございます」
私達は指定された棟を案内板で確認し、自分達に割り当てられた家へと向かう。
基本、どの家も外観は変わらない。
ガバードポーチへ上がる三段ほどの階段、そしてノベルティなデザインの可愛い窓付き玄関。その窓につけられた黒の格子のデザインがまたお洒落。
そのポーチにはそれぞれにグリーンや置物などが置かれている家もあり――これは住人の私物なのだろうか?
それらが似通った建物に少しばかりの個性を演出している。
庭側のテラスも、備え付けのテーブルセット自体は同じ仕様の様だが、テーブルクロスなどの小物がやはりそれぞれ異なっている。
目的のプレートを見つけ、その家の玄関に先程預かった鍵を使い、扉を開ける。
「うわぁ……!」
中もまた、ウッディな温もり溢れる空間だった。
玄関ホールを抜けてすぐに吹き抜けのリビングがあり、そのリビングの壁に書く居室へ続く扉が一階に六、二階にも六並んでいる。
リビングの橋には確かにこぢんまりとしたキッチンがある。
トイレとシャワーは各部屋に一つづつあるらしい。
リビングにあるのはソファとコーヒーテーブル……ではなく、ダイニングセット。
勿論ここで食事を摂る事も想定しているのだろうが、これはむしろ勉強用だろう。
が、しかし。そんな部屋の隅にはうず高く積み上げられた荷物の山、山、山……。
そこそこの広さのあるはずのリビングも、箱の山に圧されて狭く感じる。
「うん、これはやっぱりまず片付けてしまわないとかな」
「……ですわね」
その佇まいはまるでログハウスのような、飾り気は無いけれど木の温もりが優しい戸建ての様にも見える建物が並ぶテラスハウス仕様の棟がずらりと並ぶ。
豪華な邸宅や屋敷等見慣れている筈のお嬢様達が目を輝かせる。
学生寮、と聞いてそれこそ先程あった団地か、修学旅行みたいな団体旅行で使うホテルみたいなのを想像していたのだけれど。
「うん、フィリーネが想像する様な寮を用意している学校も多いけどね。
ここは“国際高等学院”の寮だから。
所変われば品変わると言うだろ?
郷に入れば郷に従えとも言うけど、慣れない環境に飛び込んで、いきなり二十四時間休まる暇なく色々な価値観と交流するのも疲れるだろう?
だから、基本居室は個室になっているし、共同の居間も一軒ずつそれぞれに付いている。因みに一軒につき個室は十二部屋ある。
だから、この一軒を丸々僕達で使えるって事」
しかも、テラスハウスと言うだけあって、一階の居間から出られるテラス付きの庭は、テーブルセットでギリギリの広さとはいえこれも私達で専有できるらしい。
居間にはミニキッチンも付いている。まぁ、流しとコンロが一口の本当にささやかな設備しかないから、本当に簡単な料理しか出来ないけど。
「共同の食堂は……」
規則正しく円を描き並ぶテラスハウスの棟の中央にある円柱型の棟を指す。
「あそこに、談話室や自習室、共同浴場なんかと一緒にある」
寮の個室には流石に水回りはトイレとシャワー室のみだったので、湯船に浸かりたかったらあちらを使う必要があるらしい。
「予約が必要だけど、自由に使えるキッチンもあるよ」
その共同棟にある管理室に顔を出す。
「ああ、聞いているわ。セイントランド聖国からの留学生よね?
ミヒャエル=グリム君とジョゼフィーネ=アンデルセンさんがハワード侯爵家枠ね?
あなた達はG列3番よ。これが共同玄関の鍵。こっちが各個室の鍵よ。失くしたら再発行にお金と時間がかかるから気を付けて」
受付の美人なお姉さんが鍵を渡してくれる。
「届いた荷物は纏めて居間に運び込まれているはずだから、各自部屋に運んで。
棟内の部屋割りは各自で決めていいわ。
但し、明日までにこの届け出に記入してこの受付に提出してね」
「分かりました、ありがとうございます」
私達は指定された棟を案内板で確認し、自分達に割り当てられた家へと向かう。
基本、どの家も外観は変わらない。
ガバードポーチへ上がる三段ほどの階段、そしてノベルティなデザインの可愛い窓付き玄関。その窓につけられた黒の格子のデザインがまたお洒落。
そのポーチにはそれぞれにグリーンや置物などが置かれている家もあり――これは住人の私物なのだろうか?
それらが似通った建物に少しばかりの個性を演出している。
庭側のテラスも、備え付けのテーブルセット自体は同じ仕様の様だが、テーブルクロスなどの小物がやはりそれぞれ異なっている。
目的のプレートを見つけ、その家の玄関に先程預かった鍵を使い、扉を開ける。
「うわぁ……!」
中もまた、ウッディな温もり溢れる空間だった。
玄関ホールを抜けてすぐに吹き抜けのリビングがあり、そのリビングの壁に書く居室へ続く扉が一階に六、二階にも六並んでいる。
リビングの橋には確かにこぢんまりとしたキッチンがある。
トイレとシャワーは各部屋に一つづつあるらしい。
リビングにあるのはソファとコーヒーテーブル……ではなく、ダイニングセット。
勿論ここで食事を摂る事も想定しているのだろうが、これはむしろ勉強用だろう。
が、しかし。そんな部屋の隅にはうず高く積み上げられた荷物の山、山、山……。
そこそこの広さのあるはずのリビングも、箱の山に圧されて狭く感じる。
「うん、これはやっぱりまず片付けてしまわないとかな」
「……ですわね」
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