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私、ざまぁ系ヒロインに転生してしまったかも……!?
後の祭りとはこの事。
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その日。
「おい、ロジーネ!」
と、騒がしくがなり立てる声が侯爵家に響いた。
声の発生源はこの屋敷の玄関。
つい数分前、随分慌てた様子の馬車が玄関前のロータリーに滑り込んできた、その直後のことだ。
声の主は勿論トビアス様だ。
一応宰相子息だし、私達がフライハイト王国の学校の入学試験を受ける話は聞いていた……と思うんだけど。
彼も典型的なこの国の男性貴族らしく、女性を下に見ていたからまさか受かるとは思ってなかったんだろうな。
それが、ロジーネお義姉様に合格通知が届き、正式に出国の手続きが住んだ事を聞いたのだろう。
もしくはジークリンデ様のお話をフリードリヒ様から聞いたか。
当然お義姉様はこの展開を予想していた。
そして、この国には制度を快く思っておらず、頓挫すれば良いと思っている者が多い事を、ミヒャエルの義父である大使もよく理解していた。
「トビアス様、御紹介致します。
先日より、私がこの国を離れるまでの期間限定で私のサポートに就いて下さるフライハイト王国大使館にお勤めの外交官、リチャード=アンデルセン殿ですわ」
「何度か社交の場でお見かけは致しましたが、こうして対面するのは初めてでしたな。
フライハイト王国にて伯爵家の末席に名を置いております、リチャードと申します」
ちなみに私、フィリーネにも同じアンデルセン家からお世話係が派遣されている。
「よろしく! アタシ、ジョゼフィーネ。ミヒャエル坊ちゃんと同じく養子だけど、一応アンデルセン伯爵家の者って事になってるから」
と、背は低めだが存在感が半端ない賑やかな、ツインテールがチャームポイントの少女が。
「あ、リチャードはこの国出るまでの期間限定だけど、アタシはフライハイト王国までついていくし、学校でもお世話する予定だから。
ニシシシ、ミヒャエル坊ちゃんってばパパに頼りなく思われちゃってない? 大丈夫~?」
「う、うるさい、僕だってちゃんと努力はしてる!」
「いや、努力してなきゃとっくに別の道を勧められてるでしょ。そこんとこはとことんドライだからね、フライハイト王国は」
何でも実力主義な彼の国は、優秀であればその者に必要な資金や身分を保障するために貴族の養子に迎えることがままあるのだという。
ただし、その実力が見合わなくなれば当然養子縁組は解消される。
無論、一方の都合だけで一文無しに放り出されるなんて無体は許されないけれど、貴族を名乗るには相応の能力が必須なのは当然、という考え方はかの国では一般的なものらしい。
なるほど、これは私もうかうかしてばかりはいられなそうだ。
それはさておき。
階下ではリチャード様にトビアス様が相変わらず食ってかかっている。
……しかし分かってるのかな?
リチャード様は伯爵家の縁の方、しかも正式な外交官として働いている方なのに。
一方のトビアス様は伯爵家の子息とはいえまだ学生ですらないオコチャマだ。
「ある程度の暴言は子供の戯言と聞き流しますが、あまり酷いと外交問題になりますよ?
セイントランド聖国はどうも我が国と戦争をしたいようですが。
我が国とて戦を厭うてはおりますが、何も無抵抗のまま居るとはおりません。
それを、王や宰相でもない貴方が勝手に決めてよろしいのですかね?
かの王はメンツを潰されたと烈火の如くお怒りになる様が私にも容易に想像がついてしまうのですが……?」
と言われれば黙るしかない。
そう、少なくともトビアス様や三馬鹿に出来ることなど彼らの内で愚痴を吐くのが関の山。
後の祭り、と言うものだ。
これを見越して外交官を貸してくださった大使様は、実に仕事の出来る有能な人らしい。
……うん。味方にすれば心強い事この上ないけど、敵に回せば恐ろしい事この上ないタイプの人だよね?
うっかり喧嘩売るような事がないよう気をつけよう……。
「おい、ロジーネ!」
と、騒がしくがなり立てる声が侯爵家に響いた。
声の発生源はこの屋敷の玄関。
つい数分前、随分慌てた様子の馬車が玄関前のロータリーに滑り込んできた、その直後のことだ。
声の主は勿論トビアス様だ。
一応宰相子息だし、私達がフライハイト王国の学校の入学試験を受ける話は聞いていた……と思うんだけど。
彼も典型的なこの国の男性貴族らしく、女性を下に見ていたからまさか受かるとは思ってなかったんだろうな。
それが、ロジーネお義姉様に合格通知が届き、正式に出国の手続きが住んだ事を聞いたのだろう。
もしくはジークリンデ様のお話をフリードリヒ様から聞いたか。
当然お義姉様はこの展開を予想していた。
そして、この国には制度を快く思っておらず、頓挫すれば良いと思っている者が多い事を、ミヒャエルの義父である大使もよく理解していた。
「トビアス様、御紹介致します。
先日より、私がこの国を離れるまでの期間限定で私のサポートに就いて下さるフライハイト王国大使館にお勤めの外交官、リチャード=アンデルセン殿ですわ」
「何度か社交の場でお見かけは致しましたが、こうして対面するのは初めてでしたな。
フライハイト王国にて伯爵家の末席に名を置いております、リチャードと申します」
ちなみに私、フィリーネにも同じアンデルセン家からお世話係が派遣されている。
「よろしく! アタシ、ジョゼフィーネ。ミヒャエル坊ちゃんと同じく養子だけど、一応アンデルセン伯爵家の者って事になってるから」
と、背は低めだが存在感が半端ない賑やかな、ツインテールがチャームポイントの少女が。
「あ、リチャードはこの国出るまでの期間限定だけど、アタシはフライハイト王国までついていくし、学校でもお世話する予定だから。
ニシシシ、ミヒャエル坊ちゃんってばパパに頼りなく思われちゃってない? 大丈夫~?」
「う、うるさい、僕だってちゃんと努力はしてる!」
「いや、努力してなきゃとっくに別の道を勧められてるでしょ。そこんとこはとことんドライだからね、フライハイト王国は」
何でも実力主義な彼の国は、優秀であればその者に必要な資金や身分を保障するために貴族の養子に迎えることがままあるのだという。
ただし、その実力が見合わなくなれば当然養子縁組は解消される。
無論、一方の都合だけで一文無しに放り出されるなんて無体は許されないけれど、貴族を名乗るには相応の能力が必須なのは当然、という考え方はかの国では一般的なものらしい。
なるほど、これは私もうかうかしてばかりはいられなそうだ。
それはさておき。
階下ではリチャード様にトビアス様が相変わらず食ってかかっている。
……しかし分かってるのかな?
リチャード様は伯爵家の縁の方、しかも正式な外交官として働いている方なのに。
一方のトビアス様は伯爵家の子息とはいえまだ学生ですらないオコチャマだ。
「ある程度の暴言は子供の戯言と聞き流しますが、あまり酷いと外交問題になりますよ?
セイントランド聖国はどうも我が国と戦争をしたいようですが。
我が国とて戦を厭うてはおりますが、何も無抵抗のまま居るとはおりません。
それを、王や宰相でもない貴方が勝手に決めてよろしいのですかね?
かの王はメンツを潰されたと烈火の如くお怒りになる様が私にも容易に想像がついてしまうのですが……?」
と言われれば黙るしかない。
そう、少なくともトビアス様や三馬鹿に出来ることなど彼らの内で愚痴を吐くのが関の山。
後の祭り、と言うものだ。
これを見越して外交官を貸してくださった大使様は、実に仕事の出来る有能な人らしい。
……うん。味方にすれば心強い事この上ないけど、敵に回せば恐ろしい事この上ないタイプの人だよね?
うっかり喧嘩売るような事がないよう気をつけよう……。
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