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私、ざまぁ系ヒロインに転生してしまったかも……!?

カッコ良いお姉さんは好きですか?

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 「ようこそ、エンゲル辺境伯爵家へ」
 「お招きいただき、ありがとうございます」

 定形の挨拶を済ませ、勧められた席へ着く。

 今日はマルグリット様が主催のお茶会に招かれて来ている。
 勿論お義姉様も一緒に。
 ただ、ジークリンデ様は今日は王族教育があるらしく不参加だそうで、私と3人だけのお茶会だ。

 何と言うか古めかしいばかりの物が多いコルネリウス侯爵家の屋敷と比べ、見慣れない珍しい物がちらほら見受けられる。
 「我が家は辺境伯家なのでね。国境を任される家柄、他国との交流も役目の一つ。だから、他家に比べれば輸入品も周りに多くなるのさ」

 「……その点、我が侯爵家の領地は海と川を隔てて竜人族の国、ドラゴニア共和国と国境を接していますが、あちらの岸はドラグノフ峡谷の険しい岩山の断崖絶壁となっていて、直に行き来は出来ません。
 加えてウェイン丘陵から流れてくる賊どもによる被害で、領地経営はあまり思わしくない状況です。
 幸いにも我が侯爵家は古くから代々継がれた由緒正しき家ですから、やたらと新しい物にてを出さずとも困りませんからね」

 「エンゲル辺境伯領は、川を隔てた向こうは獣人達の国だから。モノ以上に食料品の輸入品が多いんだよ。
 ……国境を接していると言う意味ではフライハイト王国もそうかんだが……ね」

 バーンズ湖という巨大な湖の対岸にある国、フライハイト王国とこの国セイントランド聖国は仲が悪いらしい。
 戦争するまではいかないが、バーンズ湖に接する領地の大半は王家に近い公爵や辺境伯が治めていて、常ににらみ合う中、民間の商船が細々と交易を行っている様な状態だと言う。

 「獣人の国は農業が盛んなのでしたね。もしかしてこのタルトのフルーツも?」
 色とりどりの宝石の様に輝くフルーツがふんだんに使われたタルトケーキが、本日のメインのお茶菓子だ。
 「ああ、そうだよ。彼らは妖精達との相性が良い。
 自然と共にある妖精が彼らに惹かれて集うから、作物もよく育つし品質も上がる」

 「我が国では精霊女王ティタニア様を特に敬う方が多くいらっしゃって、妖精を下に見る者も少なくありませんが、妖精とて欠かせばその土地は立ち行かなくなりますのにね……」

 「だが、幼い妖精を目にするには素養が必要になる。……獣型をとれるようになる大妖精にまで成長してくれれば私の目にも見えるようになるのだが。
 ……時に、先日コルネリウス侯爵家に訪れた際に見かけた黒猫はもしかして?」

 「はい、お察しの通り私の契約している闇の精霊ルノーの配下の闇の大妖精ルドルフです」

 「ほぉ、大妖精だけでなく精霊とも契約を交わしているのか」
 「はい。……彼らの能力を買われたからこそ侯爵家の養女にとお声がけ頂いたので」

 「光の素養は体の傷を癒やし、闇の素養は精神の傷を癒やす……のだったか。……それはトラウマ的な事にも対応できるのか?」
 「はい。ただ、私の方の技量が未熟ですので、どの程度対応可能かはまだ未知数なのですが……」

 「そう、か。……実は先日屋敷で働くメイドがブルーノ様の不興を買ってしまってね。すぐに執事が庇ったんだが、それから夜にうなされまともに眠れなくなってしまった様で、いつも疲れた顔をするようになってね」

 マルグリット様は言葉を濁したけれど、ブルーノ様は騎士団長のご子息で、将来は軍人を目指す方。……その不興を買ったとなれば何か乱暴を働かれそうになったのだろう。そりゃトラウマにもなるよね。
 そもそもゲームでも俺様キャラが過ぎて横暴ではないかとで嫌われた攻略対象だったからね。

 「その、お力になれるかどうか確約は出来ませんが、試すだけでもお許しいただけるなら、練習にお付き合いいただいても宜しいですか?」

 取りあえず悪役令嬢3人組とは仲良くしておいて損はない、とミヒャエルにも言われたしね。

 「……! 良いのか、助かる!」

 何より、カッコ良い系の美女マルグリット様に微笑みかけられると……、私、何か開けてはいけない扉を開きそうになるくらいドキドキするって言うか……、

 いや、マジ惚れます、マルグリット様!
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