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終焉

神の怒り

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    目が、耳が、一瞬誰もが機能しなくなっていた。
    それ程の光と音とがその場を支配した。
   「……お前たち、己らが何をしたか分かっておるのか!」
    そして、大音声が世界中に響き渡った。
    まだチカチカする目を見開けば、処刑台があった舞台の上に、蜃気楼のような朧気な――しかし圧倒的な存在感を放つ白い爺様が居て。
    それがこちらを恐ろしい顔付きで睨み下ろしているではないか。
    「姫よ、これはどう言う事か今すぐ説明せよ!」
    そして、やはり世界に響く声で命じた。
    「は、ははは、はい~!    た、只今!」
    それに答える声は、酷く甲高く、先の声に比べるとやけに幼く感じられた。
    ぽん、と現れたのは空を覆わんばかりの爺様の掌に乗ってしまいそうな小さな女神だった。
    いや、比較相手が悪いのであって、一応人と同じだけの背丈はあるのだけれど……。
   「では。我が愛し子がこの様にされたのはどう言う事か、説明せよ!」
   「はいっ、この世界の問題解決のために異世界召喚を行いました!    ……で、……えーと、何で処刑しちゃったの!?」
    涙目の女神が間近にいた和貴に問いかけた。
    「俺が知るか!    俺は止めろと何度も言った!    今も止めようとして……、失敗したがな……。主犯は第二皇子だ、奴に聞け!」
    話を振られた第二皇子は、それを受けて自信満々に答えた。
    「我らが世界は長年に渡り異世界に搾取され続けていた!    ……我らだけで解決出来れば良かったが、そうもいかず、女神様のご命令にて異世界召喚を行った……。が、奴はそれを拒み、果ては元凶の関係者だったのだ、立派に罪人ではないか!    それを罰して何が悪い!」  
    「……お前に流れるその血もまた異世界人の血であるにもかかわらず、か?」
    「我々は国の為に身命を賭している!    だがあの娘は……!」
    「ったりめーだろ、俺達は異世界の一般人を召喚したんだ。ここに集う誰かに、同じ事を命じてみろ。容易く頷ける奴がどれだけ居る!?」
   それに和貴が噛みついた。
   「あいつには、元の世界での生活があった!    それを無理矢理連れてきて無茶を言ったのは俺たちの方だ!    どうしてそれを責められる!」
   「だが、奴は元凶の……!」
   「それは。そいつがあっちの世界に召喚された後の話だ。それがどうして彼女が責められなきゃならん!    ……多少民が騒ぐくらいなら仕方ないで済むかもしれんが、これはやりすぎだ!」
   「うるさいっ、異世界の人間などこの世界に必要ない!」
   「だったら、帰せば良い!    彼女もそれを望んでいた……!」
   「それまで……その時まで十年も待てるか!    その間の衣食住はこの世界で賄わねばならんなど我慢できるか!」
   「は?」
   「そ、そのぅ……、今回の異世界移動に力を使ってしまって……」
   えへ、と可愛らしく笑う女神が、和貴には毒婦に見えた。
   「ふざけるな……!」
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