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異世界へ

裸のお付き合い

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    赤い暖簾のかかった女湯の脱衣所で浴衣を脱いで、さっさと体を洗い、お湯に浸かりにいく。
    それだけの事が、どうしようもなく心地良い。
   「あー、こんな贅沢いつぶりだろう?」
    そして、人生最後の贅沢になるかもしれない。……その不安を押し込め、目を閉じる。
    しばらくそうしていると、貸し切り状態だった風呂場に一人、誰か入ってきた。
   「こんばんは」
   湯船に浸かろうと足を湯に浸けながら挨拶をされたアオイは慌てて挨拶を返す。
    「こんばんは」
    たぷんと豊かな胸を湯船に浮かべた彼女はにこにこと私を眺める。
    「あなたも一人?」 
    「いいえ、総勢六人の団体様ですよ。……女は私一人ですけど。けど、『も』と言うからには貴女は一人なんですか?」
    「今日のところは……ね。そろそろ連れも来る頃とは思うけど、それが明日か明後日か……分からないから」
    このお姉さんはどうもこの旅館で誰かと待ち合わせをしているみたいだ。
   「お城で下働きの求人が出ていてね。応募しようと思ってるの」
   「え?」
   「あら、興味がおありかしら?」 
   「それは……まぁ。でもお城の求人じゃ、身元確認とか色々あるんじゃ……」
   「侍女とか騎士みたいな上級の役職ならそうだけど、下っぱじゃ大した審査もないわ。仕事が出来るかどうか、それだけよ!」
   「それは……気になりますね……」
   「ふふ、じゃあ一緒に行きましょうよ」
   「――是非、お願いします!」
    そこで流石に暑くなってきた私は湯船を出て更衣室へと戻った。
     そそくさと着替え部屋へ戻ると、烏の行水で出てきたらしい王子達がゴロゴロとだらけていて。……いや、いいんだけどね?
    取り敢えず城に入れるかもしれない取っ掛かりが出来た事だけ報告して、私はさっさと布団に潜り込んだ。
    久し振りのふかふか布団にあっという間に眠りに落ち、――だからその後の彼らの会話を私は聞かないまま朝までぐっすり寝入った。
    「……にしても。これ、俺らにも読めればなぁ」
    和貴は例のノートの山の一つを手に取りパラパラとめくる。が、日本語という難解な異世界語は彼には読めない。
    「色々頑張っている様ですけど、頑張り過ぎない様に気をつけておかねばなりませんね」
    「これさ、こっちの情報さえ潰せば犯人が誰かなんて分からなかったー、じゃダメなのかな?」
    「確かにこの規模なら個人ではなく団体の責任という話になりそうですが……」
    「その責任者だってそもそもは国の人でしょ?」
    「そもそも俺らの任務は〝次〟の阻止、可能なら次の永久阻止だからな」
    「……とにかく、情報を集めましょう」
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