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旅は道連れ世は情け

一人ゲーセンは朝飯前にござい!

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    ――身体がだるい。
    ここ連日奴らに血を吸われていたせいなのか、楽じゃない旅の疲れのせいなのか、あるいは両方……。
    正直イライラするし文句も言いたい。
    でも。そんな私より消耗しながらも、限界ラインの一歩手前で踏ん張り続ける彼らの意地と必死さを目の当たりにしてしまえばその気も萎える。
    本当ならもっと大量に血を吸いたい筈なのに、誤魔化すことなく必要最低限しか吸わない。
    ……ああ、嫌だ。彼らと居るとうっかり絆されそうになる。
    彼らがでも、地球の男達は今までのまま何も変わってないんだから。あの男達は私が嫌ったままの――。
    というか彼らの仕事や使命に対する姿勢や自分に対する厳しさは評価するけど、公ではないプライベートでのとしての部分まではまだ信用しきれない。
    だから。
    とにかく今はあの、やっぱり絵に描いたロケットもどきなアレをどうにかして、地球帰還にまた一歩近付くのが先なんだから。
    「幸守、今回は私の護衛は要らない。本来のポジションで自分の仕事をして欲しい。でも、必要になったら貴方達の力は遠慮なく借りるから」
    「……ああ。それが本来のスタイルなんだもんな」
    「では、貴女の事は私が気にかけておきましょう。必要なら名を呼んで下さい。――前衛まで聞こえなくとも、私が繋ぎます」
    「お願いします」
     前回と同じように馬車で特効をかける――が、ぬかるむ地面に車輪が取られ、今一スピードが乗らない。
    その分だけ馬車の傍らで魔物を牽制している和貴と幸守の負担が増える。
    前回以上に早さを求められるミッションだけど……。
    馬車から飛び降り、やはり逆さになっている扉に張り付く。――あった。アラビア数字のテンキー!
    なら。窓に息を吹き掛ける。――冬氷の国に比べて温暖なここで上手くいくか不安だったけど、過度な湿度が幸いして現れた数字は。――1992! 
    ……前回同様見覚えのある数字の並びに冷えていく物を感じつつも急いで入力、ロックを解除し中へ侵入する。
    内装までも全く同じで、私は悩む暇も惜しいとパソコンの電源を入れる。
   「……タイピングソフトの次はリズムゲーム!?」
    これまたゲームしか出来ない仕様の画面に現れたのは打楽器のイラスト10種とそれに対応した譜面だ。
    ――譜面といっても五線譜じゃない。音楽の授業で習う音符も休符も記号も一つもない。
    ただ、最近のカラオケで見るようになったシーケンスタイプの譜面。
    それに対応するキーのラベルが片隅に表記されている。……ある意味タイピングゲームとも言えるのか、これは?
    まあいい。ゲーセンで一人太鼓叩きまくってストレス発散しつつ鍛え上げた私のリズム感、惜しむことなく披露してやろうじゃないか!    観客は居ないけどな!
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