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4章 農園のヒロイン

第4話 私の選択

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 「あなたの能力は、この世界ではとても貴重なものなのです。
 本来貴族階級でも上級と称されるような爵位を持つ家の長男、あるいは次男までにしか与えられない様な。
 新しい世界では以前の様に家柄を誇っても意味はない。
 純粋に、今いる民をいかに導けるか、その能力こそが為政者に必要とされるもの。
 どうか私と共に新しい世界の礎を築いてみませんか?」

 「いやいやいや、生きる為に仕方なくってんならともかく、そうでもないのにそうそうあくせく働きたくねぇだろ。
 そりゃ働かざる者食うべからず、常に怠けてゴロゴロしてる様な奴はどうかと思うけどよ。
 無駄に忙しくするよりゃ、もふもふに囲まれて平和にのんびり仕事する方が良いに決まってるだろ。
 なぁ、俺ともふもふで一緒に暮らさないか?」

 あれ以来、彼らはこぞって私のどんな所が良くて口説いているのか、将来はこういう生活がしたいと具体的に挙げて迫って来るようになった。

 もう、私に完全な逃げ場はなく、誰かを選ばなければならない、そういう状況にまで外堀を埋められていた。

 赤華さんの口説き文句は……、その、一昔前のバトル漫画の主人公のようで、私には無理だと真っ先にお断りした。……キャッシーさんのお願いの件は一切思い浮かばない程、全く魅力的でないお誘いだったから仕方ないのだ。
 決して彼の顔が怖かったせいではないと言い訳しておきたい。

 青嵐君もな~、可愛く甘えてくると突き放し難いけど、結婚相手としては……ちょっと、ね。
 こちらもきっぱりお断りした。
 ……泣かせてしまって罪悪感が大いに刺激されたけど。

 他にも何人かお断りした結果。
 結果、情熱的に口説いてくるこの二人にまで候補は減っていた。

 片や、バリキャリウーマン的な将来が見えるカークランドか。
 もふもふに囲まれたスローライフな将来か見えるユージーンか。

 あ、何か恋愛ゲームのヒロインみたいとは言ったけど、やっぱり現実リアルの話だからいわゆる逆ハーエンドはあり得ない。

 この二人のうちどちらかを選ぶ必要がある訳で。

 先に断った候補たちがゾンビの如く蘇って来る前に、私も早く決めなくてはならなくて。

 「内政チートものか、スローライフものか。小説なら内政チートの方が痛快で好きなんだけど、現実に私のキャパを考えたらやっぱり……な……」

 例えこの世界では素晴らしい能力だとしても、やっぱり私の根っこはド庶民のもの。

 「……申し訳ないけど、カークランド君には諦めて貰おう」

 さんざん悩んだ結果、私は決断を下した。
 近々カークランドとユージーンにその事を告げに行かなくては……
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