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3章 農園カンパニー

第7話 カンパニー設立と彼氏候補

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 何故だが妙にモテている気がしなくもないというか。

 「……いや、生まれてこの方日本じゃ全く、彼氏のカの字の気配すら無かった私が、それはないでしょう」

 疑問に思った私はアグリ様を問いただしに行った。

 「それは……、その。全員とは言いませんが、私が喚び寄せた者たちはその多くが婚姻適齢期、そして子を生み育てるに相応しい年代です、が、如何せん男女比が……。
 何より今現在の私の世界では肉体的及び精神的に健康な成熟した大人であれば婚姻して子を成すのが当然という常識とされています。
 特に彼らには私が世界をリセットするつもりである事、そして新たな世界の始祖となっていただくと既に説明しておりますから……。
 その、婚姻や子作りに関してより切実な思いをお持ちの方が多くいらっしゃるのではないかと」

 つまり、あれか。

 地球最後にもし最後の二人になったら……と、それが男女であればどうなるか?
 そんな状況でもお前なんか! ……ってな場合も多々ある、それは地球の日本の話、で。

 ここは地球ではないけど、リアルにこの世界の終わりが迫っている今、可もなく不可もなくな私にも白羽の矢が立ちまくっていると、そういう訳かい?

 いや、マジでどこの乙女ゲームやねん、それ。
 いやでもキャピキャピお遊びのお付き合いなんかナシに、結婚と子作りが前提のアプローチだ、下手すると十八禁のゲームかもしれない。

 ……よし、取り敢えず今は置いておこう。そうしよう。問題は先送りにする事にして、だ。

 「こっちはもうそろそろ良いよね?」
 農園を一つの会社にしてしまう事。

 今、このアグリ様の神界には自分たち以外に居らず、競合他社なんてものもない。
 が、人が増えてきた為、明確に部署や担当の仕事を取り決めるのみならず、上意下達から給与や休暇の管理の為にも分かりやすく“会社”という組織として成立させたい、ユリの提案だった。

 しかしアグリ様の世界には商会などそれに準じた組織はあったようだが、地球の先進国の様な会社組織やその為の法も無かったようで。

 それでも人の上に立ち、組織を運営するのに長けたカークランドや、効率よく使用人を統率し、実際に動かすのに長けたセバスティアーノさんの助けを借りつつ、計画を形にしてきた。

 あとは、皆によく説明し実行に移すのみ。

 会社名は――

 『ファーム・カンパニー リリィ』

 アグリ様とユリの名前をもじっていた。

 自分の名前が付くなどあり得ないと抗議したものの、アグリ様からは「この計画は貴方が居たからこそですからね」と言い逃れられ、「アグリィとかつけたら何か怒ってるみたいな名前になるだろ?」と言われ。
 私は泣く泣くその名を受け入れるしかなかった……。
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