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2章 仕事仲間が出来ました。
第6話 食事の誘い
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四季の畑の次は小麦畑と稲作の田んぼ。そしてまだ育成中の果樹園。
そして、最後に動物小屋と放牧地へと案内する。
「あれが牛小屋、あっちが鶏小屋よ」
牛達が黙々と草を食む放牧地の前に立ち、私はそれぞれの小屋を指差し教える。
「で、あっちはまだ空だけど、近々羊と豚と肉牛を入れる予定よ。これまでは人手が足りなくて諦めてたけど、貴方が一通りの仕事を覚えたら動物入れて稼働させるから」
一通りの場所を案内したら、次はお仕事の説明。
「じゃあこれ、神様仕様のマジックバッグと道具一揃え。色々と神様仕様でチートな道具だけど、取り敢えずこれはこういうものだって割り切って慣れて」
私はラノベやアニメで耐性があったけど、日本ですらその手のジャンルに疎いどころじゃ済まないお年寄りなんかにこんな道具渡したら……説明に困るのが目に見える。
だから敢えて使い方や機能以外は詳しい説明を敢えてせず、無理矢理こういう物なのだと納得させる。
「畑の水やりは朝晩2回。雑草取りなんかは随時。トマトやキュウリの収穫は私がやるけど、カブやキャベツみたいに一度に収穫しないといけない野菜については手を貸してくれると嬉しいわね」
もう一度四季の畑に連れて行って、まずは畑仕事の説明。
それから各小屋を巡って、小屋の掃除の仕方や餌の保管場所を教え、さらに動物たちのブラッシングの仕方を教える。
「で、夕方になったら動物達を小屋に戻して一日の仕事は基本終了ね。ただし、出産なんかは時間を選んでくれないから、その時だけは真夜中だろうと叩き起こすから覚悟してね?」
「……承知した。今日教わった程度の仕事で良いなら、慣れれば問題なくこなせると思う」
「期待してるわよ。それで、仕事が終わったら後は翌朝の仕事開始時間までは好きに過ごして貰って構わないんだけど……」
そこまで言って、私はジッと隣に建つ男を見た。
「……何だ?」
「ユージーンさん、料理出来る? これからお昼御飯なんだけど。私はいつも自分で適当に料理して食べてるから、貴方も料理できるなら食材渡すから好きに食べれば良いんだけど、料理出来ないとなると……。見ての通り店なんか無いから」
「なるほど、一日二日なら生野菜でも齧ってりゃ良いが、流石にこのままずっと毎日ソレはキツイな。眼の前にこれだけ豊富な食い物があるなら尚更に」
「……私もそんな褒められた腕じゃないけど、最低限食べられる物は作れるから、貴方が良いなら3食自分の作るついでにアグリ様も呼んで一緒にご飯する?」
「出来れば、頼みたい。俺は元々傭兵で……、食事も洗濯も人を雇ってやって貰うのが常だったからな」
そして、最後に動物小屋と放牧地へと案内する。
「あれが牛小屋、あっちが鶏小屋よ」
牛達が黙々と草を食む放牧地の前に立ち、私はそれぞれの小屋を指差し教える。
「で、あっちはまだ空だけど、近々羊と豚と肉牛を入れる予定よ。これまでは人手が足りなくて諦めてたけど、貴方が一通りの仕事を覚えたら動物入れて稼働させるから」
一通りの場所を案内したら、次はお仕事の説明。
「じゃあこれ、神様仕様のマジックバッグと道具一揃え。色々と神様仕様でチートな道具だけど、取り敢えずこれはこういうものだって割り切って慣れて」
私はラノベやアニメで耐性があったけど、日本ですらその手のジャンルに疎いどころじゃ済まないお年寄りなんかにこんな道具渡したら……説明に困るのが目に見える。
だから敢えて使い方や機能以外は詳しい説明を敢えてせず、無理矢理こういう物なのだと納得させる。
「畑の水やりは朝晩2回。雑草取りなんかは随時。トマトやキュウリの収穫は私がやるけど、カブやキャベツみたいに一度に収穫しないといけない野菜については手を貸してくれると嬉しいわね」
もう一度四季の畑に連れて行って、まずは畑仕事の説明。
それから各小屋を巡って、小屋の掃除の仕方や餌の保管場所を教え、さらに動物たちのブラッシングの仕方を教える。
「で、夕方になったら動物達を小屋に戻して一日の仕事は基本終了ね。ただし、出産なんかは時間を選んでくれないから、その時だけは真夜中だろうと叩き起こすから覚悟してね?」
「……承知した。今日教わった程度の仕事で良いなら、慣れれば問題なくこなせると思う」
「期待してるわよ。それで、仕事が終わったら後は翌朝の仕事開始時間までは好きに過ごして貰って構わないんだけど……」
そこまで言って、私はジッと隣に建つ男を見た。
「……何だ?」
「ユージーンさん、料理出来る? これからお昼御飯なんだけど。私はいつも自分で適当に料理して食べてるから、貴方も料理できるなら食材渡すから好きに食べれば良いんだけど、料理出来ないとなると……。見ての通り店なんか無いから」
「なるほど、一日二日なら生野菜でも齧ってりゃ良いが、流石にこのままずっと毎日ソレはキツイな。眼の前にこれだけ豊富な食い物があるなら尚更に」
「……私もそんな褒められた腕じゃないけど、最低限食べられる物は作れるから、貴方が良いなら3食自分の作るついでにアグリ様も呼んで一緒にご飯する?」
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