異世界で神様に農園を任されました! 野菜に果物を育てて動物飼って気ままにスローライフで世界を救います。

彩世幻夜

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1章 農園始めます!

第14話 箱舟の乗員

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 「今日で350日。地球時間でほぼ一年か……」

 農園には四季の作物が植わるハウスが並び、放牧地には牛と鶏が居て。
 養蜂の為と、出来の良いものは切り花として出荷出来るので花畑も拡張したし、果樹もだいぶ育ってきている。

 チートがあるとはいえ、そろそろ一人でこの農園を管理するのはギリギリだろう。
 だけど、ポイント交換リストに人手を増やす様な項目などない。
 コ○ボックルさん的な妖精みたいなお手伝いもない。

 だとすれば、今の農園規模を保ちゆっくりポイントを貯めていくべきなのか?

 それは、そんな事を思い始めたある日の事。

 「少し……お話、良いですか?」
 畑仕事を終えたあと、夕飯に誘われた。

 初心者サポートが切れて久しいけれど、時たまこうしてアグリ様がご飯に誘ってくれることがある。
 私もたまにやるから、お互い様だし、と思ってその日も普通について行った。

 今日のメニューは白身魚のムニエルをメインに据えた洋食メニュー。
 おぉ、魚はまだ入手出来ないからありがたい。

 でもまずはサラダから……いただきます、うんうんうまうま……

 「……ところでお話とは?」
 「はい。……あなたの農園の人手に、びたい者がおりまして」
 「人ではとてもありがたいのですが……、その、“喚ぶ”とは?」

 自分は迷い人としてここへ来てしまったけど、今度は明確に召喚するつもりなのだろうか?

 「確かに使用するのは召喚に近い術ですが、喚ぶのは異世界人ではありません。今、まさに私の管理するこの世界で生きている者です」
 「え……」

 アグリ様の世界といえば、アグリ様から聞いた話しか知らないけど、それでもアグリ様がリセットしかないと思う程に酷いもので。
 そんな中生活してる人……。

 私も、多少人より苦労した過去があるけれど、所詮平和で豊かな日本レベルの酷い話だ。
 地球ですら中南米やアフリカなどもっと酷い話はいくらでも溢れていた。それでも地球は普通に存在していたし、私にとっては遠い外国の話だったのだ。

 それを修羅のような世界にお住まいの方……。

 当人の心配もあるが、自分も上手くやっていけるか甚だ疑問であるが、人手が欲しいのは確かで。

 「ああ。性根の事はご安心ください。リセットした後の世界で、他の模範となってほしいと思う者ですから」

 あー、つまりあれか。異世界版ノアの箱舟をやりたいと?

 「ノアの箱舟? ああ、月刊神の徒然で読んだことがあります。あなたの故郷である地球の神が為したあれですね。……確かに、私がしたい事と似ていますね。勿論今回の事案との差異は多々ありますが」

 
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