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1章 農園始めます!
第12話 念願の……
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鶏を飼い始めて三十日。
待ちに待ったこの日がやってきました。
「はぁ……、愛しの愛しのお米ちゃん♪」
そう、田んぼのハウスでついに……ついにたわわな稲穂を讃えた稲が黄金色に輝き、収穫時を迎えたのだ。
苦節……というと流石に怒られそうだけど、日本では当たり前に食べられた米の飯を食べられなくなって、日本の暦で約半年。
ようやく白いご飯が食べられそうで、ユリは興奮が止まらない。
いそいそ収穫を済ませる。
……て言っても鎌で稲を刈るだけなのだが。
本来ここから脱穀やら精米やらの前にも色々と作業がある筈なんだけど、そこはチートに稲を刈れば即玄米になる。
流石に玄米から白米に加工するにはポイント交換の精米機が必要だったけど。
「日本人たるもの、米のためには出費を惜しんではいられない……」
これからのご飯ライフの為、米は一粒たりとも出荷はせず備蓄する。
……流石にアイテムボックスじゃ容量足らずなので、敢えて米用の倉庫まで建てて――
「くっ、スペースが足りない……、果樹園をもう少し小屋から離して作るべきだったなぁ」
「ああ、それなら。ハウスごとの移動なら設定から可能ですよ」
はい、おなじみチート能力判明しました!
早速アグリ様の小屋と果樹園の間に備蓄倉庫を設置。
米を積み上げます。
そして空になった田に再び稲を植える。
普通なら来年の春まで待つところ、チートな能力のおかげですぐに次が育てられるのはやっぱりありがたいよね。
さて。畑仕事が終わったらいよいよ……
「忘れず卵を用意して……、ああ、あとお醤油があればなー」
実は、ポイント交換リストに醤油や味噌を作るアイテムがあるんだけどね。
まだそこまで手を伸ばせていない。
やむを得ず、炊きたてご飯の上の生卵に塩を振る。
「えぇと……それは?」
「卵かけご飯です。私の故郷の超簡単手抜き飯のくせして超絶美味しい小憎らしいヤツです。ホントは醤油で食べるんだけど、今日は塩でいただきます」
「ほぉ……?」
「興味あります? 食べてみますか? 口に合うかは分かりませんけど」
「よろしいのですか? ならば食べてみたいですね。貴女がそれ程までに食べたいと望む料理ですから」
「……確かに美味しいですけど、手抜き料理の代表みたいな、料理とも言えない料理ですからね? そこ忘れないでくださいよ?」
アグリ様に、ご飯と卵を用意し、
「塩はお好みの分だけかけて下さい」
と、塩を食卓に置いた。
……アグリ様の小屋もアレだけど、ボロっちいままの私の小屋に彼を招くのは……ちょっと複雑な気分だわ。
ポイント使えば改装もできるんだけど、今は農園関係ばかりにポイントつかってるからなぁ……
待ちに待ったこの日がやってきました。
「はぁ……、愛しの愛しのお米ちゃん♪」
そう、田んぼのハウスでついに……ついにたわわな稲穂を讃えた稲が黄金色に輝き、収穫時を迎えたのだ。
苦節……というと流石に怒られそうだけど、日本では当たり前に食べられた米の飯を食べられなくなって、日本の暦で約半年。
ようやく白いご飯が食べられそうで、ユリは興奮が止まらない。
いそいそ収穫を済ませる。
……て言っても鎌で稲を刈るだけなのだが。
本来ここから脱穀やら精米やらの前にも色々と作業がある筈なんだけど、そこはチートに稲を刈れば即玄米になる。
流石に玄米から白米に加工するにはポイント交換の精米機が必要だったけど。
「日本人たるもの、米のためには出費を惜しんではいられない……」
これからのご飯ライフの為、米は一粒たりとも出荷はせず備蓄する。
……流石にアイテムボックスじゃ容量足らずなので、敢えて米用の倉庫まで建てて――
「くっ、スペースが足りない……、果樹園をもう少し小屋から離して作るべきだったなぁ」
「ああ、それなら。ハウスごとの移動なら設定から可能ですよ」
はい、おなじみチート能力判明しました!
早速アグリ様の小屋と果樹園の間に備蓄倉庫を設置。
米を積み上げます。
そして空になった田に再び稲を植える。
普通なら来年の春まで待つところ、チートな能力のおかげですぐに次が育てられるのはやっぱりありがたいよね。
さて。畑仕事が終わったらいよいよ……
「忘れず卵を用意して……、ああ、あとお醤油があればなー」
実は、ポイント交換リストに醤油や味噌を作るアイテムがあるんだけどね。
まだそこまで手を伸ばせていない。
やむを得ず、炊きたてご飯の上の生卵に塩を振る。
「えぇと……それは?」
「卵かけご飯です。私の故郷の超簡単手抜き飯のくせして超絶美味しい小憎らしいヤツです。ホントは醤油で食べるんだけど、今日は塩でいただきます」
「ほぉ……?」
「興味あります? 食べてみますか? 口に合うかは分かりませんけど」
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「……確かに美味しいですけど、手抜き料理の代表みたいな、料理とも言えない料理ですからね? そこ忘れないでくださいよ?」
アグリ様に、ご飯と卵を用意し、
「塩はお好みの分だけかけて下さい」
と、塩を食卓に置いた。
……アグリ様の小屋もアレだけど、ボロっちいままの私の小屋に彼を招くのは……ちょっと複雑な気分だわ。
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