異世界で神様に農園を任されました! 野菜に果物を育てて動物飼って気ままにスローライフで世界を救います。

彩世幻夜

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1章 農園始めます!

第7話 カブの漬物

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 「出来た……。フフフ、獲ったどー!!」
 他に誰も居ない畑で、私は一人叫んだ。

 ……小屋にはアグリ様が居らっしゃるし、聞かれたら恥ずかしいから声は抑えたけれども。

 葉っぱは青々としてみずみずしく、付いた土を洗い流した白く丸い身は艶々と輝く様で。
 出来たカブ一個毎に収穫ポイントが入る。

 出来たカブは9個。900Pゲットだぜ☆

 さて、出来たカブをどうするか……なんだけど。

 「ま、取り敢えず最初の一個は食べるでしょ、当然」

 身の端から葉っぱの先隅々までキレイに土を洗い流してから自分の小屋のキッチンへと持ち込んだ。

 あ、この小屋、丁度都内のワンルームくらいの広さにベッドとキッチン、トイレとシャワーが付いてます。
 キッチンは小さな流しとガスコンロが一口のミニキッチンで、レンジはありません。
 デフォルトでついてきたのはヤカンが一つと深めのフライパン一つでした。
 まあ、異世界でガスコンロが使えるだけラッキーと思おう。

 さて、ポイント使ってまずは塩をゲット!
 ……流石に塩を採れる海も、岩塩を掘れそうな岩場もないので、塩だけはポイントで交換出来る事になっていた。
 1ポイントで10kgと良心的な交換レートになっています。

 そしてこちらもデフォで付いてた包丁(普通のご家庭に一本はあるだろう、極々普通の牛刀)とまな板で、カブの葉はザク切りに、身はいちょう切りする。

 ……ここで本当ならポリ袋が欲しい所だけど無いものは仕方が無い。

 フライパン(勿論火にはかけない)にカブの身と塩を入れてひたすら揉み込む。
 途中滲み出てくる水を捨てつつ……

 「そろそろ……良いかな? ちょっと味見を……うん、こんな作り方だけどその割に悪く無い」

 と言うかカブが美味い。
 「あれ、カブってこんな美味い野菜だったっけ?」

 大根はよく使うけど、実はカブをスーパーで買うことは殆どなく、買うとしたら既に漬かったカブの浅漬けくらいで。
 それがこんなに美味しいなんて……。

 同じフライパンに湯を沸かし、葉は塩茹でにする。
 醤油があればお浸しにしたいところだけど、無いので少し濃い目の塩で茹でるだけで我慢する。

 それを、アグリ様との夕食に出してみた。

 アグリ様との食事は基本パンと卵とベーコンかソーセージ。
 卵はそのときによってスクランブルエッグや目玉焼き、オムレツや茹で卵などがローテーションで出て来る。

 そこに、ようやく増えた野菜。

 「よければ、食べて下さい。塩で味付けしただけの、料理とも言えない物ですが、初めて採れた野菜なので」

 「ありがとうございます、ふふふ、美味しく出来ていますね」

 漬物の出来はともかく、カブは間違いなく美味しく出来てる。
 だから、褒められた私は嬉しくて、ここでやっていく自信が少しだけついたのだった。
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