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1章 農園始めます!
第2話 迷い人らしいです。
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……まぁ、ね。
目を覚まして一番に見た景色から、何となくその可能性を考えなかった訳じゃないけど。
あんなに、地平線が見渡せる草原なんて、北海道でも行かない限り日本には無いよね?
そんな草原のありそうな外国に攫われた……ってのも現実的じゃないし。
だけど異世界って、アニメやラノベ界ではあるあるだけど現実的には外国パターンより非常識だしね。
「……ちなみに、元の世界に帰るのは――」
「無理、ですね。私の世界はあなたの世界と比べて下位なのです。これが逆なら帰る事も不可能では無かったのですが」
どうやら帰るのは無理みたい。
まぁ、それそのものには思った程のショックはない。
元々家族や親戚とは疎遠だし、友人も親友と呼べる様な相手は居らず、たまに映画やランチに付き合う程度の関係でしかない。
まして仕事は派遣で、職場に愛着なんかないし、むしろいつ派遣切りに合うか、昨今の景気状態では日々要らないスリルを味わう日々だ。
だけど、未練がないわけじゃない。
少ない収入からコツコツ貯めた貯金。……世間一般からすれば大した額面でもないが、ぎりぎり3桁に届いたばかりとはいえ、日々カツカツの生活だった身としてはかなり惜しい金額だ。
そして、アパートの部屋に積まれた未読の漫画にラノベにDVD、そして積みゲーの数々。
なけなしのお金をはたいて買ったにも関わらず暇がなくて積まれたままのあれこれ。
しかし……
「迷い人、ってそもそも何です? 誰かが私を召喚したとかじゃないんですか?」
「違いますねぇ、少なくともあなたについては」
と、その人は言う。
異世界の人間を召喚する術が無いとは言わないが、それはこの世界より下位の世界の者を無理やり召し上げ隷属させる魔法なのだと。
上位の世界の者を拐かすなんて、ほぼ無理だひ、その無理を通すなら国一つどころか大陸一つの全ての生命を生贄にして、ようやく……と言った所なのだと。
「ですが、時に世界と世界を隔てる壁に綻びが出来、運悪く世界を越えてしまう人が居るのです。その場合、必ずその方の住まう世界より下位の世界に落ちる。その逆はあり得ません。そうして世界を越えた方の事を、我々神の間では迷い人、と呼称しているのです」
帰れない。
しかも理不尽な召喚をした相手でも居ればそいつを恨めば良いけど、それもない。
と、なれば今一番に心配すべきなのは――
「私……これからどうやって暮らしていけば良いの!?」
……うん、これに尽きるよね。
目を覚まして一番に見た景色から、何となくその可能性を考えなかった訳じゃないけど。
あんなに、地平線が見渡せる草原なんて、北海道でも行かない限り日本には無いよね?
そんな草原のありそうな外国に攫われた……ってのも現実的じゃないし。
だけど異世界って、アニメやラノベ界ではあるあるだけど現実的には外国パターンより非常識だしね。
「……ちなみに、元の世界に帰るのは――」
「無理、ですね。私の世界はあなたの世界と比べて下位なのです。これが逆なら帰る事も不可能では無かったのですが」
どうやら帰るのは無理みたい。
まぁ、それそのものには思った程のショックはない。
元々家族や親戚とは疎遠だし、友人も親友と呼べる様な相手は居らず、たまに映画やランチに付き合う程度の関係でしかない。
まして仕事は派遣で、職場に愛着なんかないし、むしろいつ派遣切りに合うか、昨今の景気状態では日々要らないスリルを味わう日々だ。
だけど、未練がないわけじゃない。
少ない収入からコツコツ貯めた貯金。……世間一般からすれば大した額面でもないが、ぎりぎり3桁に届いたばかりとはいえ、日々カツカツの生活だった身としてはかなり惜しい金額だ。
そして、アパートの部屋に積まれた未読の漫画にラノベにDVD、そして積みゲーの数々。
なけなしのお金をはたいて買ったにも関わらず暇がなくて積まれたままのあれこれ。
しかし……
「迷い人、ってそもそも何です? 誰かが私を召喚したとかじゃないんですか?」
「違いますねぇ、少なくともあなたについては」
と、その人は言う。
異世界の人間を召喚する術が無いとは言わないが、それはこの世界より下位の世界の者を無理やり召し上げ隷属させる魔法なのだと。
上位の世界の者を拐かすなんて、ほぼ無理だひ、その無理を通すなら国一つどころか大陸一つの全ての生命を生贄にして、ようやく……と言った所なのだと。
「ですが、時に世界と世界を隔てる壁に綻びが出来、運悪く世界を越えてしまう人が居るのです。その場合、必ずその方の住まう世界より下位の世界に落ちる。その逆はあり得ません。そうして世界を越えた方の事を、我々神の間では迷い人、と呼称しているのです」
帰れない。
しかも理不尽な召喚をした相手でも居ればそいつを恨めば良いけど、それもない。
と、なれば今一番に心配すべきなのは――
「私……これからどうやって暮らしていけば良いの!?」
……うん、これに尽きるよね。
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