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第十章 闇の吸血竜王に嫁入りします!

〈番外編〉迷い犬の里親探し ⑤

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 「おやおや、どうしました?」

 次にエルシエルがダメ元で訪れたのは、礼部大臣フィリップ=ブレイズの執務室だった。

 彼は他の側近と違い、唯一伯爵家の当主だった。

 「なる程、里親探しですか……」

 と苦笑いをするフィリップ。
 「確かに我が家にも息子はいますが……」
 「ええ、もうそろそろ成人だったかしらね」

 伯爵は竜人族ではなく、当然息子も同じく。
 故に、年齢的には他の側近達の息子と大差ない年齢でも、その中身はまるで異なる。

 「我が家で飼っていた犬は既に老犬。息子が動物好きなら新たな犬を迎えても……と思うのですが、我が子は動物にはそれ程興味を持たず……。今飼ってる犬は幼い頃からの付き合いの為情を見せますが、他の犬猫には殆ど興味を持ちません。植物には興味があるらしく、趣味で敷地に自ら温室を建てる程なのですが……」

 「それは……、幼い仔犬など飼えば、心配が絶えなくなりますね……」

 似た理由で飼えないと判断したエルシエルにはよく分かる。

 「申し訳ありません」
 「いいえ、もしかしたらと言う程度の気持ちで声をかけたのだもの、謝ることはないわ。私こそごめんなさいね」
 「いえいえ、それこそ謝る事ではございませんよ。息子が動物好きだった可能性だってあった訳ですからね」

 さて、ここも空振りとなると、残るは……
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