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第九章 後始末と未来の話

仮初の平穏

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 「済まない、我らだけでは答えが出ぬ。一度話を持ち帰り、国でよく話し合った後、また改めて機会を設けたいと思う」

 結局結論の出ないまま解散した竜王会議。

 葬儀も戴冠も結婚式も終わって、賓客達も去り、城にようやく日常が戻りつつあった。

 聖女?
 惚れた弱みなのか、火の竜王が引き取っていったよ?
 彼女は不満そうだったけどね。

 今日の仕事を終え、ゆっくりお風呂で疲れを癒やし、陛下の寝台に入る。
 ……初夜こそ恥ずかしくて色々慌てて馬鹿もやったけど。

 流石にもう慣れた。
 フォンセ――二人で居る時の様付け陛下呼びを禁じられました、どうしても名前で呼んで欲しいらしい――は絶対乱暴な事はしないし……その、最近は気持ち良さが、勝ってきてて……。
 何となくドキドキしながらフォンセを待つ。

 あ、来た。……けど、顔色悪いな。

 「フォンセ、辛いなら遠慮しなくて良いから私の血を飲みなよ?」
 「ああ。……前に一度我慢してしまったら余計にエルシエルを苦しめる事になってしまったからな。同じ過ちは繰り返さないよ」

 そう、フォンセってば私に痛い思いをさせるのは嫌だと苦痛を一人我慢してたんだ。もう少し我慢できる、って。
 けど、番の鱗を飲み込んでる私には、その苦痛が共有される。

 フォンセの中の苦痛の許容量の器が一杯になると、溢れた分が私に流れてくるって感じらしくて、私は常に苦痛に悩まされる訳じゃない。
 だけどその時はフォンセが我慢し過ぎた為に、私はまたあのイガイガが血管を流れていく様な痛み呻く羽目になった。

 アレ、マジで痛いです。
 あの痛みを感じる前に吸血で楽になってくれた方が私的にはずっと楽なのだと伝えてからはそういう事はなくなったけど。

 フォンセの暴走時は彼の理性も擦り切れてて乱暴な噛み方されて痛かったけど、こうして落ち着いて噛んでくれるなら、痛みは最小限に抑えられる。

 「ああ……相変わらず美味だな、エルシエルの血は。それでいて効果も抜群なんだ。元々その力が強いからと光の国からの嫁取りが根付いた訳だが……エルシエルの血は特に素晴らしい」

 「うう、自分で何かした訳じゃないからなぁ……。褒められるのは嬉しいけどちょっと複雑だよ」

 「そうか? ……ところでその、今夜は子作りは……?」
 「もう……。まぁ、良いよ」

 すると、ぱあぁぁっとフォンセが嬉しそうに微笑む。

 「そりゃ、生殺し期間が長かったからなぁ……。番と存分にいちゃいちゃ出来る今が嬉しいのは当たり前だろう?」

 ……今夜も私はフォンセに美味しくいただかれる運命らしい。
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