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第七章 竜王会議と異界の娘

ここは何処?

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 視界が黒く染まる。それは、お茶に薬を入れられた時に一度体験した。

 しかし、今回はそのまま意識を失うような事にはならず、すぐに別の景色に視界が切り替わった。


 そこは薄暗い荒野。……しかし空ではなく岩肌の目立つ天井が高い所にあるのを見ると、どうやらここは闇の国のどこからしい。

 「転移魔法……」
 あの魔法陣は、つまりそういう事だったのだろう。

 勿論私は人間だ。単独で魔法を使えない種族の私が、そんな芸当できるはずもない。
 人間が魔法を使うなら、精霊や妖精と契約を交わし、精霊魔法を使うしか無いんだけど、当然私に契約精霊そんなものは居ない。

 だから誰かに嵌められた――この場合、あの聖女様とやらの予言を現実にしたい誰かの陰謀なんだろうけど……。

 既に起きてしまった事を、ここで幾らウダウダ考えたところで何も解決しない。
 さしあたってはここがどこだか把握しなくては。

 闇の国である事は分かるけど、闇の国は国土だけは世界一広い国だ。
 国の端から端まで、私の足で歩いて一体どれだけかかるか。

 一応数字は教わったから、数字通りに歩き続けられるならばおおよその予想はつく。
 が、そこらのお嬢様よりは体力あるとはいえ、所詮人間の女。
 丸一日歩き通しなんて何日も保たないだろうし、疲労が溜まればその分歩く速度も変わるだろう。

 第一ずっと平坦な道があるなんて訳もない。
 遠回り回り道が必要な場合もあるだろう。

 途中で荷馬車をヒッチハイク出来たら嬉しいけど……

 現状、ここが何処だか特定できる様な物は何もない。

 「とりあえず動くか」

 ……遭難した場合、基本その場で待機。動かないで助けを待った方が良いと聞いた事はあった。
 だけどそれって私が遭難した事を知ってる人が居て、しかもおおよそでも場所が特定できる場合に限るよね?
 あとその場が安全な事も。

 闇の国にも猛獣はいるし、会議に出席していた私は水も食料も上着も何も持っていない。
 このままここに居たら、獣に食い殺されるのが先か、餓え死に渇き死にが先か、凍死が先か。

 「……せめて川とか無いかな」

 一番切羽詰まってるのは水。

 人の体は飢えは最悪何日か耐えられるけど、喉の乾きはあまり耐えられないから。

 ここが荒野じゃなく森なら、食べられる草とか水分を多く含む草とかあったかも知れないのに。

 履いてた靴のヒールを折って、少しでも歩きやすくする。

 ……ゴメンナサイ、高い靴なの分かってるけど緊急事態なの。後で謝るから職人さん役人さん許して。

 そして、私は前へと歩き始めた。
 この先に何があるかも分からないまま――
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