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第六章 闇の国の王妃教育

宮殿を貰いました

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 「え、本当にここなの? 間違ってない?」

 闇の国ダルク・アンダーに戻ってまず案内された場所。
 私の部屋だと言われた場所は、先日の選考会の時に宛がわれた客間ではなく。

 建物丸々一つ。

 勿論城本体に比べれば随分と小さいけど、本館までは屋根付きの連絡通路ですぐの立地の塔一つ自由にして良いって……。

 「すみません、正式な婚姻がまだの為、陛下の側近くの部屋にはまだご案内出来ず……」
 「いや、それは当たり前だからね? 私、結婚前から盛る様な破廉恥娘じゃないからね?」
 「そうですか……。我々としては少しでも早く陛下と契っていただきたいのですが……」
 「うっ、お、王妃教育ガンバリマス……」

 そんな問答をしている内にうっかり貰ってしまったこの建物。

 「陛下と婚姻後はここをエルシエルさまの研究所としてお使い下されば宜しいかと」

 そう、居室のみならず部屋が一杯あるんだよ、この塔。
 専用の厨房も付いてるし。

 私の部屋にと整えられた部屋だって、あんなに広いと思っていたあの客間さえ狭く思える広さ。

 廊下を入ってまず応接室。続き間――そう、続き間があるんだよ!――を経て執務室、居間、食堂と繋がる。
 応接室からみて正面が居間、右が執務室、左が食堂。
 居間の奥には寝室。居間の右隣にトイレや風呂、洗面等の水回り。左にクローゼット。

 ちなみに応接室の左右にはそれぞれ使用人控室と騎士の控室がある、らしい。
 控室の中には入れてもらえなかったが。

 ちなみに王妃教育は、執務室に先生が来てくれるんだそうだ。
 ただしマナーレッスンだけは、私の部屋の隣にある広間でやるんだって。

 ……ははは、私の部屋の隣って言うけど、宮殿ごと私の物なので広間も私の部屋同然なんだって。
 クローゼットにはドレスやアクセサリーが沢山入ってた。

 お付きの侍女とメイドは、サーリャとキキ、ララの下に数人付き、騎士もクルトの下に部下がつくらしい。
 カレンは暫くはサーリャの下で、闇の国の侍女のお作法とか学ぶそうだ。

 更に専属で執事まで付いた。
 「初めまして。私はロナルド。代々王家に執事として仕える家系の者。何なりとお申し付け下さいませ」

 具合は……、少し顔色が悪いけど、花嫁候補者達程酷くはないようでホッとしている。

 竜便に乗せてきた荷物を片付け、一部屋を私の研究室にする。

 食事は――

 「この厨房で作ったものをこの部屋で食べても良いし、本館の食堂で召し上がっていただいても結構ですよ。……その、嫌でなければ、陛下のご都合のつく日は本館で一緒に食べていただけると……」

 「ええ、構わないわよ。と言うかそれが当然なんじゃ?」

 流石に激務だろうからいつもは無理でも、夫婦になるならご飯くらい一緒に食べるのが当たり前では?
 少なくとも家じゃあ家族皆でご飯は当たり前だった。

 「はい、そうですね。ではその様に取りはからいますね」
 ロナルドは嬉しそうに答えた。
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