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第五章 嫁入り支度は慌ただしく
改めてのお話し合い
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「その、昨日は色々と取り乱しまして、申し訳ございません……」
一晩明けて再びやって来た礼部大臣にお父様が深々と頭を下げる。
「いえ、お気になさらず。我らは過去の事ではなくこれからの事を話し合いたくて来ているのですから」
「ハハハ、そうでしたな……。
はぁ、あの、本当にウチの娘で間違いないんで?
大して美人でもないですし、見た通りウチには身分も金もありません。
これの取り柄といえば研究馬鹿くらいのもので……、もし娘がご迷惑をおかけすると我々では償いきれるとは思えず……」
「何を仰る。こちらで用意した課題に、彼女はこちらの期待以上の成績を我らに提示なさいましたぞ。
何より我らが陛下がご執心で。我々の方が望むのです。
王妃に相応しい教養を身に着けていただかねばなりませんが、その為の教育は全てこちらが責任を持って行います。
それとてある程度の素地は第一課題の時点で見極めておりますから。
そちらの言う“研究馬鹿”も、課題のレポートにて将来性を見出しております。
急遽来年の予算案に組み込む予定でいますので、今年度中は王妃教育に専念していただかねばなりませんが、それを終えれば公務の時間以外は、予算の範囲内でなら好きに研究して貰って構いません」
「そ、それは……。エルシエルなら喜んで飛びつくでしょうなぁ……。はぁ。しかし支度金なども余り大金は用意できませんが……」
「それについては公爵家より支度金を頂いておりますので。
物については、お嬢様の私物や思い出の品などをお持ちいただければ、基本はこちらで全てご用意させていただきます」
「何と言うか……至れりつくせり……?」
「お姉ちゃんの時にはお金とかドレスとか宝石とか色々持たせたんだけど……? 要らないの……?」
「そうですね。王妃としてのドレスはこちらで仕立てますから。むしろ着慣れた部屋着等をお持ちいただけると、新たに仕立てるにも参考になりますから」
こうして細かい部分をお父様とお母様で詰めて、私は早速カレントと荷物の取り纏めにかかった。
「ところで……カレン、本当についてくるつもり?」
人については、馴染みの侍女やメイド数人は一応良しとされたけど、候補のお嬢様が具合悪くしていたように、適性がなければ送り返したほうが良いとも言われた。
私もそう言えば闇の国に入った直後は少し空気が重い気がした。
あれ、人によって感じ方が違って、酷いと本気で寝込むらしい。
第一課題の時に最低限の耐性は試されていて、大丈夫と判断されたから私達は闇の国に連れて行かれた。
それでも、あの三人は初日には寝込んだ。
あれと同じ、或いはもっとひどい症状が出るかもしれないって事だ。
「ええ。研究に没頭するお嬢様を研究から引き剥がして真っ当に人としての生活を送らせるなんて芸当、私でないと!」
けどカレンはこうして張り切っている。
……これは……断りきれませんでした。
いまは私の専属騎士のクルトとお喋りしてる。
それなりに話が弾んでいるようだ。
うん。支度を急ごうか。妙な話題が出る前に!
一晩明けて再びやって来た礼部大臣にお父様が深々と頭を下げる。
「いえ、お気になさらず。我らは過去の事ではなくこれからの事を話し合いたくて来ているのですから」
「ハハハ、そうでしたな……。
はぁ、あの、本当にウチの娘で間違いないんで?
大して美人でもないですし、見た通りウチには身分も金もありません。
これの取り柄といえば研究馬鹿くらいのもので……、もし娘がご迷惑をおかけすると我々では償いきれるとは思えず……」
「何を仰る。こちらで用意した課題に、彼女はこちらの期待以上の成績を我らに提示なさいましたぞ。
何より我らが陛下がご執心で。我々の方が望むのです。
王妃に相応しい教養を身に着けていただかねばなりませんが、その為の教育は全てこちらが責任を持って行います。
それとてある程度の素地は第一課題の時点で見極めておりますから。
そちらの言う“研究馬鹿”も、課題のレポートにて将来性を見出しております。
急遽来年の予算案に組み込む予定でいますので、今年度中は王妃教育に専念していただかねばなりませんが、それを終えれば公務の時間以外は、予算の範囲内でなら好きに研究して貰って構いません」
「そ、それは……。エルシエルなら喜んで飛びつくでしょうなぁ……。はぁ。しかし支度金なども余り大金は用意できませんが……」
「それについては公爵家より支度金を頂いておりますので。
物については、お嬢様の私物や思い出の品などをお持ちいただければ、基本はこちらで全てご用意させていただきます」
「何と言うか……至れりつくせり……?」
「お姉ちゃんの時にはお金とかドレスとか宝石とか色々持たせたんだけど……? 要らないの……?」
「そうですね。王妃としてのドレスはこちらで仕立てますから。むしろ着慣れた部屋着等をお持ちいただけると、新たに仕立てるにも参考になりますから」
こうして細かい部分をお父様とお母様で詰めて、私は早速カレントと荷物の取り纏めにかかった。
「ところで……カレン、本当についてくるつもり?」
人については、馴染みの侍女やメイド数人は一応良しとされたけど、候補のお嬢様が具合悪くしていたように、適性がなければ送り返したほうが良いとも言われた。
私もそう言えば闇の国に入った直後は少し空気が重い気がした。
あれ、人によって感じ方が違って、酷いと本気で寝込むらしい。
第一課題の時に最低限の耐性は試されていて、大丈夫と判断されたから私達は闇の国に連れて行かれた。
それでも、あの三人は初日には寝込んだ。
あれと同じ、或いはもっとひどい症状が出るかもしれないって事だ。
「ええ。研究に没頭するお嬢様を研究から引き剥がして真っ当に人としての生活を送らせるなんて芸当、私でないと!」
けどカレンはこうして張り切っている。
……これは……断りきれませんでした。
いまは私の専属騎士のクルトとお喋りしてる。
それなりに話が弾んでいるようだ。
うん。支度を急ごうか。妙な話題が出る前に!
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