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第五章 嫁入り支度は慌ただしく
再びの吸血といちゃいちゃタイム
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腕を取られ、口元に運ばれる。
一連の動作が自然過ぎて、何となく見守ってしまったエルシエルは、肌に触れる唇のリアルな感触に思わず顔に血が上るのを感じ、そっと人の居ない方を向いた。
ぶつりと牙が肌を破る痛みが襲うが、覚悟していた割に痛みが大した事はなく拍子抜けした。
……もっと痛いと思っていたのに。
この程度なら、バラのトゲを指に刺した時とか、蜂に刺された時の方がよっぽど痛かったよ!
二口、三口啜っだ所で、陛下は吸血を止めた。
私の腕を解放し、溜息を吐いた。
あれ、もしかして不味かった?
「……君の血は美味すぎて止め時を見失わない様にするのが実に大変だ」
へぇ、美味しいのか。まあ不味いと言われるよりは良いのか?
「はぁ、ありがとうございます?」
医師が新しく包帯を巻いてくれるのを見ながら答える。
「ふっ、今度こそ文句なく合格で良いな、レイン?」
「ええ、勿論です」
「と、そういう訳だ。研究は好きにして良い。勿論予算の範囲内で、と言う条件は付くが……。それと研究の成果は是非国で役立てたいと思うか……。エルシエル、私の妻としてこの国の王妃になって欲しい」
真面目な顔して陛下が宣う。
え、本当に私で良いの?
しかも研究にゴーサインが出た。え、予算? それは当然だよね? 国庫を浪費する気はありませんって! 成果は勿論民に還元して欲しいし、何も問題ない。
しかもイケメン。王様だからお金もあるし身分もある。
実年齢は知らないけど、見た目はとても若々しい。
これ、断れないお願いなの分かってるけど。
仮に断れたとして。これ以上条件の良い男が私に求婚してくるなんて奇跡はもう二度とないだろう。
「え、えっと……。男爵令嬢なので、王妃に足るか色々不安なので……むしろこちらこそご迷惑を色々おかけしそうなんですが……それでも良ければよろしくお願いします……?」
そう頭を下げたら。
「良い返事が聞けて良かった」
陛下がほっこりと微笑んだ。
え、何その笑顔。可愛い……。
「それでは私は仕事がありますので、先に退室させていただきます」
宰相閣下が立ち上がる。
「ああ。頼んだ」
陛下は……座ったまま。
「お茶の用意を致しますね。もう油断は致しませんので、ご安心してお召し上がり下さい」
あ、陛下も一緒にお茶するのか。……何だか凄く機嫌が良さそうな。
その綺麗な顔で笑うから、私はドキドキしっぱなしだ。
お茶を飲んで誤魔化すけど。
キキとララが、お茶菓子を並べた皿を用意してくれる。
「陛下はどれを食べますか?」
「……出来ればフォンセと呼んで欲しい。菓子は君の好きな物を食べると良い。私はどれでも構わないから」
「なら、私もエルシエルと呼んで下さい、フォンセ陛下。ならこのフィナンシェをいただきますね」
「ああ。こっちのフロランタンも美味いぞ」
と、陛下がまさかのあーんをしてくれる。
陛下、私を恥ずか死にさせる気ですか!
一連の動作が自然過ぎて、何となく見守ってしまったエルシエルは、肌に触れる唇のリアルな感触に思わず顔に血が上るのを感じ、そっと人の居ない方を向いた。
ぶつりと牙が肌を破る痛みが襲うが、覚悟していた割に痛みが大した事はなく拍子抜けした。
……もっと痛いと思っていたのに。
この程度なら、バラのトゲを指に刺した時とか、蜂に刺された時の方がよっぽど痛かったよ!
二口、三口啜っだ所で、陛下は吸血を止めた。
私の腕を解放し、溜息を吐いた。
あれ、もしかして不味かった?
「……君の血は美味すぎて止め時を見失わない様にするのが実に大変だ」
へぇ、美味しいのか。まあ不味いと言われるよりは良いのか?
「はぁ、ありがとうございます?」
医師が新しく包帯を巻いてくれるのを見ながら答える。
「ふっ、今度こそ文句なく合格で良いな、レイン?」
「ええ、勿論です」
「と、そういう訳だ。研究は好きにして良い。勿論予算の範囲内で、と言う条件は付くが……。それと研究の成果は是非国で役立てたいと思うか……。エルシエル、私の妻としてこの国の王妃になって欲しい」
真面目な顔して陛下が宣う。
え、本当に私で良いの?
しかも研究にゴーサインが出た。え、予算? それは当然だよね? 国庫を浪費する気はありませんって! 成果は勿論民に還元して欲しいし、何も問題ない。
しかもイケメン。王様だからお金もあるし身分もある。
実年齢は知らないけど、見た目はとても若々しい。
これ、断れないお願いなの分かってるけど。
仮に断れたとして。これ以上条件の良い男が私に求婚してくるなんて奇跡はもう二度とないだろう。
「え、えっと……。男爵令嬢なので、王妃に足るか色々不安なので……むしろこちらこそご迷惑を色々おかけしそうなんですが……それでも良ければよろしくお願いします……?」
そう頭を下げたら。
「良い返事が聞けて良かった」
陛下がほっこりと微笑んだ。
え、何その笑顔。可愛い……。
「それでは私は仕事がありますので、先に退室させていただきます」
宰相閣下が立ち上がる。
「ああ。頼んだ」
陛下は……座ったまま。
「お茶の用意を致しますね。もう油断は致しませんので、ご安心してお召し上がり下さい」
あ、陛下も一緒にお茶するのか。……何だか凄く機嫌が良さそうな。
その綺麗な顔で笑うから、私はドキドキしっぱなしだ。
お茶を飲んで誤魔化すけど。
キキとララが、お茶菓子を並べた皿を用意してくれる。
「陛下はどれを食べますか?」
「……出来ればフォンセと呼んで欲しい。菓子は君の好きな物を食べると良い。私はどれでも構わないから」
「なら、私もエルシエルと呼んで下さい、フォンセ陛下。ならこのフィナンシェをいただきますね」
「ああ。こっちのフロランタンも美味いぞ」
と、陛下がまさかのあーんをしてくれる。
陛下、私を恥ずか死にさせる気ですか!
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