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第四章 第二次選考会
評価といじめ
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「……規格外です」
報告書を見るまでもなく、昼の騒ぎは皆の知るところであった。
勿論そういう課題をやるという事は城中に周知徹底していたし、令嬢達に本格的な危険が及ばないよう人員も配置されていた。
特に戦闘訓練を受けているだろうスーザンには注視していた。
「思わぬ伏兵……。知識面では期待していましたけど、まさかこれ程ポテンシャルが高いとは、良い意味で期待を裏切ってくれましたね」
「ああ。見る限り戦闘訓練は受けていないだろうし、素手は勿論武器を持っての戦いには明らかに向いとらん。……だが、逃げっぷりと容赦ない小道具使いは中々の物だ。影の隊長が、我らが要らんなら暗器使いとして育てたいからくれとまで言ったぞ」
「スーザン殿も健闘はしましたが……最後には体調不良が祟って捕縛されたとの事。最後まで逃げ切ったのはエルシエル様のみです」
「……鬼役が全力で追ってそれだからな。今は体力切れで寝込んでいるとか。奴らも流石にやりすぎたと侘びの品を部屋に届けたらしいぞ。さて、何を贈ったやら」
「これ、もう決まりでは?」
「ですが、一応第三課題までという決まりですから。やりますよ、第三課題」
「ふふふ、今度は何が起こるか。今から楽しみだよ」
そんな、朗らかな会議の場とは一転。
エルシエルは一人、部屋で寝込んでいた。
「うう、健康にだけは自信があったのに……不覚……」
流石のエルシエルも、あれだけ暴れれば全身を襲う筋肉痛からは逃れられなかったのだ。
「お嬢様は無茶のしすぎですよ! 課題の為とはいえ、追手役もやり過ぎです!」
「ああ、その事なんだが……、鬼役だった連中がやり過ぎたと侘びの品を置いていったぞ」
クルトが箱を四つ持ってやって来た。
箱を開けてみる。
一つはお茶、一つはお菓子。……うん、お嬢様に贈る消えものなら無難なところよね。
だけど……
「何、これ?」
薬瓶の詰め合わせと、短剣と呼びたくなるナイフ。
「……その、暗器使いの才能があると、影の隊長が」
いや、要らんし!
「取りあえずお茶とお菓子をいただきましょう」
サーリャに言って、お茶の支度をしてもらう。
「わぁ、このお菓子王都の街で人気のお菓子屋さんの看板商品じゃないですか! いいなぁ」
「並ばないと買えないんです! しかも結構いいお値段していて!」
メイドのキキとララが目を輝かせる。
「なら一緒に食べる? 貰い物だし」
「わぁ、良いんですか!」
「お嬢様良い人!」
メイドとお菓子を分けて口に運ぶ。
マドレーヌに似た焼菓子で、シンプルなのに美味しい。
お茶も香りは良いわね。
ん、味は……何か、変……? あれ、何か……おかしい――
「お嬢様!? お嬢様!」
私の意識はふっと途切れ、暗闇に呑まれていった。
報告書を見るまでもなく、昼の騒ぎは皆の知るところであった。
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特に戦闘訓練を受けているだろうスーザンには注視していた。
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「ああ。見る限り戦闘訓練は受けていないだろうし、素手は勿論武器を持っての戦いには明らかに向いとらん。……だが、逃げっぷりと容赦ない小道具使いは中々の物だ。影の隊長が、我らが要らんなら暗器使いとして育てたいからくれとまで言ったぞ」
「スーザン殿も健闘はしましたが……最後には体調不良が祟って捕縛されたとの事。最後まで逃げ切ったのはエルシエル様のみです」
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「これ、もう決まりでは?」
「ですが、一応第三課題までという決まりですから。やりますよ、第三課題」
「ふふふ、今度は何が起こるか。今から楽しみだよ」
そんな、朗らかな会議の場とは一転。
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「ああ、その事なんだが……、鬼役だった連中がやり過ぎたと侘びの品を置いていったぞ」
クルトが箱を四つ持ってやって来た。
箱を開けてみる。
一つはお茶、一つはお菓子。……うん、お嬢様に贈る消えものなら無難なところよね。
だけど……
「何、これ?」
薬瓶の詰め合わせと、短剣と呼びたくなるナイフ。
「……その、暗器使いの才能があると、影の隊長が」
いや、要らんし!
「取りあえずお茶とお菓子をいただきましょう」
サーリャに言って、お茶の支度をしてもらう。
「わぁ、このお菓子王都の街で人気のお菓子屋さんの看板商品じゃないですか! いいなぁ」
「並ばないと買えないんです! しかも結構いいお値段していて!」
メイドのキキとララが目を輝かせる。
「なら一緒に食べる? 貰い物だし」
「わぁ、良いんですか!」
「お嬢様良い人!」
メイドとお菓子を分けて口に運ぶ。
マドレーヌに似た焼菓子で、シンプルなのに美味しい。
お茶も香りは良いわね。
ん、味は……何か、変……? あれ、何か……おかしい――
「お嬢様!? お嬢様!」
私の意識はふっと途切れ、暗闇に呑まれていった。
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