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第二章 第一次選考会
四日目、五日目
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「おはようございます」
ユーリカさんが良い笑顔で起こしに来た。
……今晩も読書を、と思っていたのに、ベッドに入る時間になると、ユーリカさんが私の本を取り上げてしまった。
「明日にして下さい」
と、そう言って。
ちなみに今日の課題は……
「健康診断、ですか……」
「はい、健康診断です」
身長、体重測定含めた身体測定も兼ねた健康診断。
各々に一人ずつ医者と看護師が部屋に派遣され、侍女とメイドが手伝う中、各種検査が行われる。
身長測定、体重測定、心電図に血液検査、その他諸々。
……総合的な結果は後で、と言う話だったが、今この場で分かる結果からすると、まあ健康優良児であると言う事が証明された。
体の隅々まで診られたエルシエルの疲労感は、初日の茶会とどちらの方が多かったか、自分でも迷うところだが。
そして五日目。
お茶会、再び。
ただし初日のと決定的に違うのは――
「改めて自己紹介しよう。闇の国の竜王になる予定の者だ。今は姓が曖昧なのでな、名で呼んでくれて構わない」
闇の国のお客様を交えてのお茶会である、と言うこと。
お茶会は基本、貴婦人同士で行うもので、たまに男性が加わることはあっても、滅多にある事ではない。
初日にはスムーズに私達の舵取りをしてらしたリュセ様も今日は上手く言葉が出ないらしい。
闇の竜王陛下はと言えば、優雅にお茶を飲んでいる。
お菓子には手を伸ばしていない辺り、甘いものは苦手かもしれない。
……それにしても相変わらず綺麗な顔だ。
側近の方も見目は良いのだけど、竜王陛下は格別で。ついつい目が行くんだよね……。
しかし静まり返ったままなのは気不味い。
「――竜王陛下はもしかして、甘いものはお嫌いですか? 何を好んで食すのか、お伺いしてもよろしいですか?」
美形に話しかけるのには勇気が要ったが、何とか声に出し話題を提供する事に成功した!
……男爵令嬢ごときが、と言われるとアレだけど……良いんだよね、この場に呼ばれて居るんだから。
「……好き嫌いはなく食べる……が、必要なく甘いものはあまり食べぬな。闇の国ではキノコがよく育つ。故にキノコ料理のラインナップは多いな」
「キノコですか! 光の国ではあまりキノコは育たないので現物は見た事があまり無いのですが、図鑑では見たことがあります。風味や食感が独特であると……」
「ああ。もやしもよく育つ。故にモヤシとキノコをバター醤油で炒めたものは一般家庭でもよく食される」
「それは、山で採取するのではなく栽培していると?」
エルシエルがその話題に目の色を変えた。
「あ、ああ……」
ここにカレンが居たならば、「ああ、また……お嬢様の悪いクセが……」と嘆いただろうが、ここに居るのはエルシエルの取り扱いに慣れない者ばかり。
故に茶会はエルシエル無双の場と化したのだった……。
ユーリカさんが良い笑顔で起こしに来た。
……今晩も読書を、と思っていたのに、ベッドに入る時間になると、ユーリカさんが私の本を取り上げてしまった。
「明日にして下さい」
と、そう言って。
ちなみに今日の課題は……
「健康診断、ですか……」
「はい、健康診断です」
身長、体重測定含めた身体測定も兼ねた健康診断。
各々に一人ずつ医者と看護師が部屋に派遣され、侍女とメイドが手伝う中、各種検査が行われる。
身長測定、体重測定、心電図に血液検査、その他諸々。
……総合的な結果は後で、と言う話だったが、今この場で分かる結果からすると、まあ健康優良児であると言う事が証明された。
体の隅々まで診られたエルシエルの疲労感は、初日の茶会とどちらの方が多かったか、自分でも迷うところだが。
そして五日目。
お茶会、再び。
ただし初日のと決定的に違うのは――
「改めて自己紹介しよう。闇の国の竜王になる予定の者だ。今は姓が曖昧なのでな、名で呼んでくれて構わない」
闇の国のお客様を交えてのお茶会である、と言うこと。
お茶会は基本、貴婦人同士で行うもので、たまに男性が加わることはあっても、滅多にある事ではない。
初日にはスムーズに私達の舵取りをしてらしたリュセ様も今日は上手く言葉が出ないらしい。
闇の竜王陛下はと言えば、優雅にお茶を飲んでいる。
お菓子には手を伸ばしていない辺り、甘いものは苦手かもしれない。
……それにしても相変わらず綺麗な顔だ。
側近の方も見目は良いのだけど、竜王陛下は格別で。ついつい目が行くんだよね……。
しかし静まり返ったままなのは気不味い。
「――竜王陛下はもしかして、甘いものはお嫌いですか? 何を好んで食すのか、お伺いしてもよろしいですか?」
美形に話しかけるのには勇気が要ったが、何とか声に出し話題を提供する事に成功した!
……男爵令嬢ごときが、と言われるとアレだけど……良いんだよね、この場に呼ばれて居るんだから。
「……好き嫌いはなく食べる……が、必要なく甘いものはあまり食べぬな。闇の国ではキノコがよく育つ。故にキノコ料理のラインナップは多いな」
「キノコですか! 光の国ではあまりキノコは育たないので現物は見た事があまり無いのですが、図鑑では見たことがあります。風味や食感が独特であると……」
「ああ。もやしもよく育つ。故にモヤシとキノコをバター醤油で炒めたものは一般家庭でもよく食される」
「それは、山で採取するのではなく栽培していると?」
エルシエルがその話題に目の色を変えた。
「あ、ああ……」
ここにカレンが居たならば、「ああ、また……お嬢様の悪いクセが……」と嘆いただろうが、ここに居るのはエルシエルの取り扱いに慣れない者ばかり。
故に茶会はエルシエル無双の場と化したのだった……。
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