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第二章 第一次選考会

二日目

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 「昨日は疲れたけど楽しかったわ」

 課題については――特に午前中の茶会は精神的にかなりキツかったが、筆記試験の後で案内してもらった王宮図書館、その蔵書の豊富さにエルシエルは狂喜乱舞した。

 早速閲覧室に本の山を築き読書に没頭した。
 夕飯だと告げに来てくれた騎士が居なければ、エルシエルは寝食を忘れて本を読み続けただろう。
 実に楽しい時間であった。
 勿論、今日も課題が終われば王宮図書館に直行するつもりだった。

 ……が、まずは二日目の課題が先。

 今日も身支度から始まる。
 ドレスはやっぱり無難にAライン、色だけ変えて少し濃い目のグリーンに。髪型はそのまま。アクセサリーも物は変えても系統は同じまま。

 そうして出向いた広間で申し渡された本日の予定は――

 「本日はマナー講習を受けていただきます。午前中は基礎的な事、午後は舞踏会を想定したダンスレッスンを受けていただきます」

 ……うん。これがデビュタントがまだの子供なら分かるんだけど、私達位の年齢になると出来て当たり前、なのに今更講習? となるのは当然の流れであった。

 まぁ、要はその出来栄えについての試験なんだろうね。

 まずは歩き方やカーテシー、椅子の座り方を始めとするエスコートのされ方、諸々。
 そして今日は部屋に戻される事なく一緒に摂る事になった昼食で食事のマナーを見られ。

 そして、午後。

 ……一度目のダンスは、皆流石に美しかった。
 誰もが満点に近いダンスを披露していた。

 が。

 教官役は、続けて二度目を踊るよう皆に指示した。
 三度目、四度目も。

 優雅に見えて、社交ダンスというのは結構体力を使うものだ。
 連続で踊ればどうしても出来栄えに疲れが出て来る。

 夜会で何度もダンスを踊るお嬢様は居るだろうが、それは合間に飲食や歓談の時間を挟みながらの事。
 こんなに連続で何度も踊る経験なんて滅多にないのでは?

 私はそもそも踊る経験なんて滅多に無いのだけど、そこはフィールドワークで鍛えた基礎体力と足腰がある。
 社交ダンスの十回位大した事はない。

 スーザン様も、普段剣術の稽古で鍛えているから、まだ疲れは見えない。

 が、その他のお嬢様はもう限界らしく、回を重ねるごとに脱落者が現れ始める。

 そういう私も、流石に体を鍛えることを主目的として普段から稽古をされているスーザン様に体力で勝てるはずもなく、最後に残ったのは彼女だった。

 ……あー、これ。マナーだけでなく体力測定的な意図もあったな、と気づいたのはダンスレッスンが終わったあとだった。

 そうだよね、貴族のお嬢様に短距離走とか長距離走とかやらせられないよね……。

 この日の夜は、流石の私も筋肉痛に苛まれたよ、トホホ……。
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