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第二章 第一次選考会

備品の確認

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 ピカピカに磨かれた真っ白なお皿。

 その上に芸術品の様に美しく盛り付けられた前菜は水の国ディーノ・アクアから輸入した新鮮なお魚を使ったカルパッチョ。
 香味野菜とソースが生の魚の生臭さを消し、見た目に彩りを添えている。

 うん、美味しい。

 輸入品だけあって、こんな生で食べられるような新鮮な魚介は高いから、家で食べるのはもっぱら火を通すか加工済のお魚ばかりだからね。

 夕食は部屋まで運んでもらって、侍女のユーリカさんに給仕をして貰いながらのコース料理。

 ……ウチじゃあ最低限の給仕はして貰えても、こんなコース料理なんてお祝い事の時じゃなきゃ出て来ないですよ?

 その後のお風呂も、お風呂の支度は使用人がやってくれるけど、こんなつきっきりであちこち洗って貰うとか、それこそ昨日や今朝みたく何処か――王城やそれに匹敵するような場所へ出かける前だけ。

 着心地の良いネグリジェに着替えさせられ、ベッドに寝かしつけられて。

 こんなお嬢様扱い、貴族生まれ貴族育ちの私も初体験だよ。……しがない男爵家の次女だけどさ。公爵家や侯爵家みたいな高位貴族はこれが当たり前なんだろうか?

 まぁ、この国の――と言うかこの世界の王族と高位貴族様は全て竜人様が担っているから、人族の私達は勿論、妖精族や獣人族なんかは中位貴族以下の身分なんだけど。

 え、何でかって?

 そりゃこの世界は神竜様がお創りになった世界で、今も各国に一匹の神竜様が留まり、この世界を守護してくださっているから。
 その神竜様の血を引く竜人様は神竜様にお仕えすると同時にその補佐として世界を正常に保ち回す仕事を担っているから。

 私達中位から下位貴族は竜人様の手の届かない部分の補佐をして国の民を守り育む。

 我がプランツ男爵家は第一次産業に特化した家。
 その職務は多岐に渡るけど、私には研究職が肌に合った。

 だから、こんなお嬢様扱い、たまにして貰うなら良いんだけど。これが日常だとしたら……正直疲れる。

 いつもカレンにお嬢様らしくないと叱られ、お母様に窘められるけど。
 半日にも満たないお嬢様生活で、私は身を以て実感した。
 私にお嬢様生活は向いてない、と。

 ……まぁ今夜は寝不足気味だしとっととぐっすり眠るけどさ。

 本当、どうして私は候補に入れられたんだろう?

 何度考えても答えの出ない疑問は、即座に襲いかかってきた強力な睡魔に意識ごと食い尽くされ、次に私が気付いたのは、翌朝ユーリカさんに起こされた時。

 「本日は何をお召になりますか?」

 ――女の戦いが、始まろうとしていた。
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