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番外編 - 好きな人の攻略法 -
① 片想い
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あらあらあら。まあ、ヒカルさんてばとてもお綺麗ですわ。何より幸せそうです。
彼女もイマルも、私の祖国に多大なる迷惑をかけられた方です。
そのお二方がこうして幸せそうなのは私としても嬉しく思います。勿論、彼女の一番の友人としても。
「うう、凄く複雑な気分です……」
隣でぐずぐずと涙ぐんでいるのはケント。
彼はヘルナイトの者が城から放り出したヒカルさんを一番に見つけて保護した功労者で――ヒカルさんに片想いをしていました。
けど……。
私、マリーにはかつて婚約者が居りました。
……勇者パーティー等というものに入り、周囲から称賛を浴びて天狗になり、筋の通らない理由での婚約破棄を申し付けられました。
以前から調子に乗りやすく浅はかな方でしたので度々注意して参りましたけれど、あまり功をなさなかったようです。
まぁ、元々政略結婚でしたので、恋愛感情などありませんでしたもの。せいぜい長い付き合い故の情はあった気も致しますが、今となってはそれも枯れ果てましたわ。
これまでも、貴族として――軍部での鍛練の方が楽しかったのですけれど、彼らに会えたことで今はとても楽しいのですもの!
――彼ら……ヒカルとケント、それにイマル。銀の剣のメンバーは私にとって他に代えがたい存在です。
ヒカルは良いお友だちですし、イマルは……仲間としてはとても頼もしい人ですわ。……ええ。プライベートまで踏み込むととても面倒そうな男ではありますけれど。
そして……ケント。
彼らとの出会いは、ヘルナイト王国王都の冒険者ギルドでした。
王城では聖女召喚の成功に沸き、勇者パーティーの一員である私の元婚約者様と、それに追随するお父様によって伯爵家を追い出された私は、今後の食い扶持を稼ぐために冒険者ギルドの門を叩きましたの。
そこで〝無職〟だからと絡まれたケントと巻き込まれたヒカルを助けに入ったイマルと出会ったんですの。
……あの時にはちょっと頼りなさげな、けどとても善良な人、という印象しかなかったのですけれど。
いつからだったんでしょうね、私が彼に惹かれる様になったのは。
でも、〝元〟が付くとはいえ、貴族の力が強すぎるこの国の村人であるケントはずっと私に遠慮している風がありました。
それにしては同じ村人のはずのイマルは堂々としたものでしたけど。
……今の身分を知ったからこそ「ああ、そうだったのか」と思えても、あの頃は二人の差に戸惑いましたのよ?
ヒカルはヒカルでなかなかさん呼びを止めてくれないし。
そういう意味ではイマルに感謝してますわ。
彼の気持ちを確信したのもその時でしたけど。
……だから。
多分明確に意識し始めたのは私もあの頃でした。
祖国を出て隣国の町で過ごした一冬。あの日から、私の戦いが始まったのです。
彼女もイマルも、私の祖国に多大なる迷惑をかけられた方です。
そのお二方がこうして幸せそうなのは私としても嬉しく思います。勿論、彼女の一番の友人としても。
「うう、凄く複雑な気分です……」
隣でぐずぐずと涙ぐんでいるのはケント。
彼はヘルナイトの者が城から放り出したヒカルさんを一番に見つけて保護した功労者で――ヒカルさんに片想いをしていました。
けど……。
私、マリーにはかつて婚約者が居りました。
……勇者パーティー等というものに入り、周囲から称賛を浴びて天狗になり、筋の通らない理由での婚約破棄を申し付けられました。
以前から調子に乗りやすく浅はかな方でしたので度々注意して参りましたけれど、あまり功をなさなかったようです。
まぁ、元々政略結婚でしたので、恋愛感情などありませんでしたもの。せいぜい長い付き合い故の情はあった気も致しますが、今となってはそれも枯れ果てましたわ。
これまでも、貴族として――軍部での鍛練の方が楽しかったのですけれど、彼らに会えたことで今はとても楽しいのですもの!
――彼ら……ヒカルとケント、それにイマル。銀の剣のメンバーは私にとって他に代えがたい存在です。
ヒカルは良いお友だちですし、イマルは……仲間としてはとても頼もしい人ですわ。……ええ。プライベートまで踏み込むととても面倒そうな男ではありますけれど。
そして……ケント。
彼らとの出会いは、ヘルナイト王国王都の冒険者ギルドでした。
王城では聖女召喚の成功に沸き、勇者パーティーの一員である私の元婚約者様と、それに追随するお父様によって伯爵家を追い出された私は、今後の食い扶持を稼ぐために冒険者ギルドの門を叩きましたの。
そこで〝無職〟だからと絡まれたケントと巻き込まれたヒカルを助けに入ったイマルと出会ったんですの。
……あの時にはちょっと頼りなさげな、けどとても善良な人、という印象しかなかったのですけれど。
いつからだったんでしょうね、私が彼に惹かれる様になったのは。
でも、〝元〟が付くとはいえ、貴族の力が強すぎるこの国の村人であるケントはずっと私に遠慮している風がありました。
それにしては同じ村人のはずのイマルは堂々としたものでしたけど。
……今の身分を知ったからこそ「ああ、そうだったのか」と思えても、あの頃は二人の差に戸惑いましたのよ?
ヒカルはヒカルでなかなかさん呼びを止めてくれないし。
そういう意味ではイマルに感謝してますわ。
彼の気持ちを確信したのもその時でしたけど。
……だから。
多分明確に意識し始めたのは私もあの頃でした。
祖国を出て隣国の町で過ごした一冬。あの日から、私の戦いが始まったのです。
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