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断罪

14-6 断罪 - 貴族 - ②

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    「では、改めてそなたらへの処罰を説明しよう」
    魔王様は天井からぶら下がる面々を見上げながら、悠々と声を張る。
    これ見よがしに弓をちらつかせたり、ちょっと鼻息荒くふんすと小雪混じりの冷風吹かせて命綱をキシキシさせちゃったりしたからか、今だけだろうけど彼らはとってもお利口さんになってるからね。
    「まず、ここに居る全ての者は爵位剥奪。……その爵位に付随する義務を怠り権利ばかりを貪った挙げ句に禁忌の術の行使を決め実行を命じ、その上他国に侵略せんと企んだ。その様な者に今後貴族を名乗られては迷惑千万。故に、お前達から爵位を剥奪する」
    陛下はいかにも面倒な、と言いたげにしながらも懇切丁寧な説明を加えて処罰を言い渡していく。
    「次。お前達の家が有する資産の全額没収。お前達はその権利を乱用し、本来無用な戦に民を使い、禁忌の薬物にて民を害した。彼らの救済には相応の資金が必要だ。無論、我らの軍にも小なりとはいえ犠牲は出ておる。こちらの補償にも金は要る。これらの資金を賄うため、お前達の資産を没収する」
    連中がブーイングの声を挙げようとした瞬間、イマルが視線でニールに命じ、軽く吹雪の旋風を叩きつければ、はらはらと雫が降ってくる。
    げっ、と慌てて防水結界を辺りに張り巡らせる。私たちと王さま含む各国重鎮達にあれを浴びせかけられては大変だ。
    ……ついでにかわいそうだから既に処罰を言い渡された兵士さんにも結界を張る。
    ん、ヘルナイト王?    当然放置ですよ!
   「いい判断だ。良くやったな」
    イマルがニコニコ笑いながら私の頭を撫でくり回す。……あの、人前なんで止めてくれませんかね?    ほら、魔王陛下が生ぬるい目でこっち見てるから、ね?
    「げふん。あー……それと……だな」
     無理矢理咳払いをして話を進める陛下に、周囲のお偉方からの視線が刺さる。……陛下、頑張って下さい!
    「げふんげふん。それと、強制労働を課す。爵位も財も失ったお前達がこぞって賊にでも堕ちたりすれば面倒だ。つまらぬ二度手間はごめんだが、かといって騎士や魔術師らと同じ任務につけてもただの足手まといにしかならんだろうし、鉱山送りにしても役立たずだろうて。故に、机仕事を手配してやった。しっかり励めよ?」
    机仕事と言っても政務とは直接関係のない、地味な書類仕事をひたすらこなすだけ。そういうのに向いてる人ならともかく、相性が悪いと一日持たずにキーッってなるやつ。
    データ入力とか、資料作成とかそんな雑用的デスクワークをひたすらに、監視付きでやらされる。
    周りはおっさんばかり。綺麗なお姉さんが淹れてくれるお茶休憩も、タバコ休憩も無し。仕事上がりの一杯も勿論禁止。
    実質、お務めの内容が書類仕事なだけの日本の刑務所生活に近い。……元お貴族様に生活能力なんてあるはずないから、その辺は多少お情けで整えられるらしいけど、これまでの悠々自適な生活とはかけ離れた日々が待っている。
    彼らにとっては屈辱だろう。
   「ああ、逃げたら即処刑だから。死にたくなかったら大人しくしとけよ?」
    それに抗議の声を上げようとした男に、イマルがネイアをけしかける。
    ……直後。
    男の人の大事な部分をネイアの放った矢が貫くと、この世の終わりのような絶叫が響き、謁見の間に居た男達が青い顔で両膝をしっかり閉じ合わせた。
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