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断罪
14-5 断罪 - 貴族 - ①
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……ここまで、兵士や騎士、神官に魔術師達はその代表者のみだったけれど、貴族達はあの時議会場に居た貴族家当主全員がここに並べて膝を付かされていた。
立て、と魔王様に命じられても素直に応じない。
ふん、とおっさんが拗ねて見せたって可愛くもない、つーか余計イラつかせるだけだから止しとけ?
ああ、ほら魔王様が衛兵に命じて強引に立たせてるけど……。……うん、気のせいじゃない。魔王様の居る私の背後からじゃなく、私の隣……イマルの方から熱と冷気を同時に感じる。
あー、イマルが完全に怒ってらっしゃる。怖くてうかつに横向けない。いや、マリーの笑顔も怖いんだけどさ。それでもその比じゃない位にイマルがお怒りです。
「……何とも頭の悪い連中よの」
ね。素行の悪い生徒の多い学校での全校集会のがまだマシな気すらする光景なんだもん。……いい大人が情けないよねー。あれが貴族、特権階級ですとか……。こいつらに使い潰された兵士の嘆きを聞いた後だけに、余計に気分の悪くなる光景だ。
「はぁ。起立の号令に従わせるだけに要した時間は十分、か。これ程頭の悪い連中には処罰だけ言い渡しても理解できんだろうて」
魔王様が嘲笑を隠さずに謂えば、たちまち連中からブーイングが飛んでくる。
「……陛下、ご許可を」
すかさずイマルが感情のこもらない平坦な、けどとてつもない悪寒を伴う冷たい声で魔王様に許可を求めた。
「あー、うん。程々にしとけよ?」
「ええ、それは勿論。……さて、ヒカル。奴等を黙らせるならどうするのが一番効率的だと思う?」
「……イマル。何故それを私に尋ねるの?」
「お前は俺も知らない知識を沢山持っているからな。魔法の使い方も独創的で、とても効率的だ。魔物相手の戦闘ではまだ経験不足から来る判断ミスもあるが、先日の手腕は実に見事だった。……期待しているぞ?」
……イマルに頼りにして貰えるのは嬉しいけど……こんなんで……ってあんまり嬉しくない。
でも、期待を裏切るのは嫌だし何より今は怖すぎるから。必死に頭を働かせる。
単なる氷漬けじゃバカの一つ覚えの様だし、何かないかな……。
あ、そうだ。
「イマル、ニールとネイアを貸してくれる?」
「ああ」
イマルが召喚している隙に、私は氷で作ったトゲ付き茨で連中を縛り上げて天井から吊り下げた。うん、見事なみのむしっぷりだ。しかも自重で氷のトゲが余計に食い込む鬼畜仕様である。
「ちゃんとお話聞けない子が一人でも居たら、ニール、あいつらに吹雪をお見舞いしてやりなさい。ええ、連帯責任よ。勿論当人にはきちんと別に責任はとってもらうわ。ねぇ、ネイア。貴女の弓の腕なら奴等の急所や命綱くらい余裕で狙えるでしょ?」
「ほぉ。氷で出来た命綱が切れれば下は硬い床板、落ちて怪我で済めば良いな?」
イマルが満足そうに笑っているから、取り敢えず合格点を貰えた様だと胸を撫で下ろす。
「では陛下、続きをお願い致します」
「う、うむ……」
なんか魔王様の顔がひきつってるようだけど……気のせいだよね!
立て、と魔王様に命じられても素直に応じない。
ふん、とおっさんが拗ねて見せたって可愛くもない、つーか余計イラつかせるだけだから止しとけ?
ああ、ほら魔王様が衛兵に命じて強引に立たせてるけど……。……うん、気のせいじゃない。魔王様の居る私の背後からじゃなく、私の隣……イマルの方から熱と冷気を同時に感じる。
あー、イマルが完全に怒ってらっしゃる。怖くてうかつに横向けない。いや、マリーの笑顔も怖いんだけどさ。それでもその比じゃない位にイマルがお怒りです。
「……何とも頭の悪い連中よの」
ね。素行の悪い生徒の多い学校での全校集会のがまだマシな気すらする光景なんだもん。……いい大人が情けないよねー。あれが貴族、特権階級ですとか……。こいつらに使い潰された兵士の嘆きを聞いた後だけに、余計に気分の悪くなる光景だ。
「はぁ。起立の号令に従わせるだけに要した時間は十分、か。これ程頭の悪い連中には処罰だけ言い渡しても理解できんだろうて」
魔王様が嘲笑を隠さずに謂えば、たちまち連中からブーイングが飛んでくる。
「……陛下、ご許可を」
すかさずイマルが感情のこもらない平坦な、けどとてつもない悪寒を伴う冷たい声で魔王様に許可を求めた。
「あー、うん。程々にしとけよ?」
「ええ、それは勿論。……さて、ヒカル。奴等を黙らせるならどうするのが一番効率的だと思う?」
「……イマル。何故それを私に尋ねるの?」
「お前は俺も知らない知識を沢山持っているからな。魔法の使い方も独創的で、とても効率的だ。魔物相手の戦闘ではまだ経験不足から来る判断ミスもあるが、先日の手腕は実に見事だった。……期待しているぞ?」
……イマルに頼りにして貰えるのは嬉しいけど……こんなんで……ってあんまり嬉しくない。
でも、期待を裏切るのは嫌だし何より今は怖すぎるから。必死に頭を働かせる。
単なる氷漬けじゃバカの一つ覚えの様だし、何かないかな……。
あ、そうだ。
「イマル、ニールとネイアを貸してくれる?」
「ああ」
イマルが召喚している隙に、私は氷で作ったトゲ付き茨で連中を縛り上げて天井から吊り下げた。うん、見事なみのむしっぷりだ。しかも自重で氷のトゲが余計に食い込む鬼畜仕様である。
「ちゃんとお話聞けない子が一人でも居たら、ニール、あいつらに吹雪をお見舞いしてやりなさい。ええ、連帯責任よ。勿論当人にはきちんと別に責任はとってもらうわ。ねぇ、ネイア。貴女の弓の腕なら奴等の急所や命綱くらい余裕で狙えるでしょ?」
「ほぉ。氷で出来た命綱が切れれば下は硬い床板、落ちて怪我で済めば良いな?」
イマルが満足そうに笑っているから、取り敢えず合格点を貰えた様だと胸を撫で下ろす。
「では陛下、続きをお願い致します」
「う、うむ……」
なんか魔王様の顔がひきつってるようだけど……気のせいだよね!
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