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お約束が果たされる時

12-4 勇者パーティーの実力

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    キン、とケントの幼馴染みだと言う剣士――一応先に名前を聞いたところによるとアルムというらしい男が、ケントと交えた剣の剣圧に腰を沈め、何とか耐える。
    マリーの槍斧から彼女の元婚約者――魔術師カルロ・ジュークを庇うべく慌てて飛び出してきた槍使いウォルコットが武器を払うが、あちらはただの――いや金だけはかかってそうな槍。
    重い槍斧の一撃をいなすにも手痛い反動があったらしく顔をしかめ、更にその後ろでカルロを庇うのはあちらの盾職らしき重戦士イアン。
    すかさず弓術士のエリオットが牽制の矢を放ち、治療師のキースが回復術をアルムとカルロにかける。
    その後ろで彼らに庇われているのは……あれがクロード、かな?
    うわぁ、さっきイマルがって言ってたけど……討伐任務ならいざ知らず、戦争の戦場に非戦闘員連れてくるなんて!
    いや、勿論非戦闘員ったって冒険者なんだから、魔物相手の自衛は出来て当たり前だから厳密には非戦闘員とは言えないかもしれないけど。
    でも、ヒト同士の戦争は、本来冒険者の仕事じゃない。そんなのは傭兵の仕事だ。
    それをどうして……。
    やっぱり馬鹿だわ、と思うんだけど。
     けど、厄介なことにこいつら、確かに勇者パーティーなんだな、とムカつくけど分かってしまう。
     ムカつくけど、強い。
     一人一人の技量は間違いなく一流なんだ。
     ケントとアルムがほぼ一騎討ちみたくなってて、あの二人の戦いっぷりだけ見れば、一流と鬼才の戦いって感じでケントが押してるんだけど……ね。
    マリーの相手をしているウォルコットは、武器の相性で互角に見えてるけど、槍の扱いをよく見ているとマリーより上手い。そこにエリオットの矢による牽制やや暗器使いのオルコットの不意討ちが加わると流石のマリーも分が悪い。
     勿論私もフォローをするけど、私一人で治癒も魔法もと忙しくしている前で、カルロは魔術を、キースは治癒術を放ってくる。
    一人で色々出来るのはメリットでもあるけど、こういう場面ではデメリットにもなる。
    マリーとルミナが盾になってくれてるから何とか回せてるけど……。
    「ニール、戻れ。ネイア、ヒカルの補助をしろ」
    ああ、イマルのフォローが有り難い。
    「ヴァルも、レムと代われ」
    更に魔法要員が増える。
     「ヒカル、分かっているな?」
    はい。こういう場合のお約束。まずは回復役を潰すのがセオリーですよね、分かってますとも!
    ネイアが矢の雨を降らせ、レムが氷のつぶてを無数に降らせるから、私はそれを風を操り一点集中させる。
     「キース!」
     仲間のピンチに気付いても、前衛は抑えられていて動けない。
    カルロが術の詠唱を始めるけど、到底間に合わない。
    氷雪で動きを鈍らせ矢で地面に張り付けてやる。
    治療師が片付いたら次は術師の番。
    彼には先程の毒針攻撃がまだ効いているらしく、さっきから動きが鈍い。なら、奴は詠唱さえさせなきゃ無力だ。
    拳大の氷球で顔面を集中的に攻撃してたらついうっかり奴の口に詰めちゃったんで、そのまま荊を猿轡代わりにして地面に引き倒してやった。
    「……なかなかえげつない事をするな」
    とか言いますけどね、イマルさん。だったらその笑顔引っ込めてから言ってくれませんかね?
    「いや、良くやった」
     ……イマルは余計に笑みを深めて私の頭を乱暴に撫でた。
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