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ざまぁの前哨戦

11-2 まずは自己紹介を

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    広い。
    学校の体育館くらいには広い場所の段上の豪奢な椅子には魔王陛下。
    ――あの夜や先日対面したのが実は影武者でしたと言われた方が納得できるような、威厳溢れる威風堂々とした王がその玉座に腰を下ろし、こちらを見下ろしていた。
    その彼より一段低い場所に立つのは先日イマルの知らせを受けて飛んできた御仁だ。……その立ち位置的に宰相だろうか。
    ……宰相に叱られ仕事に連れ戻される王――。
    いや、ダメだ。これ以上深く考えちゃいけない気がする。うん。忘れよう。
    同じ段の反対に立つのは明らかに武装した武人だし、近衛か騎士団の偉い人だろう。
    そしてその二人より更にもう一段低い場所に居並ぶ面々の中にイマルが居る。あれがこの国の貴族達。……全員揃っているのかは分からないけど、ざっと目に入るだけでも二桁は居る。
    そして彼らは皆、この部屋の豪奢さに負けないくらいきらびやかな衣装に身を包んでいる。
    あのイマルでさえ。
    あの時に見た萌え満載の服よりも尚綺羅綺羅しい衣装を着ている。
    そんな彼らに見下ろされる、段の無い一番低い場所で、私はマリーに倣い跪く。
    「よい、面を上げよ」
    あの時の様に荒っぽくも軽くもない、重みある王者の声に命じられ、私達は床に膝を付いたまま顔だけ彼らへ向けた。
    「まず問おう。そなたらは何者だ。……ああ、無論先に提出された資料に目は通しておるが、ここに居る者達へ周知させるためにも名乗りをあげよ」
    「――承知いたしました。では、まずは私から」
    マリーは手慣れた感のある受け答えをしながら一つ頷いた。
    「私はヘルナイト王国バルト伯爵家長女として生を受けた者。……ですが、二年と少々前に、当時私の婚約者であったカルロ・ジューク子爵子息様に婚約破棄を言い渡され、実家から勘当された身にございます」
    まず名を名乗り、その出自を明かす。
    「そして、そのカルロ様は今、ヘルナイト王国が国が大々的に集めた勇者パーティーとして、国が召喚した聖女と行動を共にしております」
    自らの身の上話に絡めて元婚約者の話から禁忌に手を出した祖国の咎を暴露する。
    ざわつく貴族達をギャラリーに、ひかし怯むことなく続けるマリー。
    「そして、こちらの彼女――ヒカルは、その聖女が召喚された折りに共に召喚されてしまった者。しかし、我が故国は愚かにも彼女を鑑定することもせず無用と判断し、ほぼ身一つに近い形で放り出しましたが、彼女もまた聖女の力を持つ者。異世界より我が故国の傲慢により彼女の意思に反しこの世界に喚び出された上棄てられた被害者にございます」
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