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ざまぁの前哨戦

11-1 王との謁見

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    「――お前達の謁見の申請が通った。日時は明後日、13時からを予定している。当日は早めに昼飯を済ませて昼過ぎには城の門でこの証書を見せろ」
    イマルがその知らせを持って帰って来たのはあの日デート()に出掛けてから二日後の事だった。
    「手加減しない」
    何て言うから何するつもりなのかと戦々恐々してるけど、今のところ特に変わったことは……ない、はず……だ。無いと思いたい。
    「俺はその日は陛下の側に立ちアルソレスの貴族として対する。お前達の味方としての対応は期待するな」
    イマルはやけに冷徹にそう言い捨てる。
    それに戸惑うのはケントだ。
    「え、……でも――」
    けど、その言葉を遮るようにマリーが微笑む。
    「あら、それは当たり前の事ではありませんか。貴方はこの国の王より侯爵位を授かり、この国の民の血税で暮らしている身なのですから、この国の事を一番に考えて行動する義務があるのが当然でしょうに」
    「はは、この中で誰が一番あのご一行に物申したい事があるかなんて競うつもりはないけどさ、この中で勇者ご一行メンバーと一番かかわりがあったのってイマルでしょ?    ケントは幼なじみ、マリーは元婚約者、それぞれ因縁があるのは個人だけど……」
    スパイ任務を負っての仕事だったとはいえ、少なくとも聖女以外のメンバー全員と関わりがあったのは私達の中ではイマルだけなんだから、言いたい事もあるだろう。
    「それでも、イマルは私情だけで動けない立場なんだよ。でも、それは私達がこの国の国益を無視した要求をしたら反対しなきゃいけないけどさ、逆なら……」
    「ええ、むしろ後押しして援護するべき立場ですわね」
   「え、え?」
   「鈍いですわねぇ……」
   「あはは、イマルが素直に優しく手取り足取り『謁見時の注意事項』なんてレクチャーしてくれると思う?」
   「思いませんわねぇ。むしろそんな事されたら医者を呼ぶか、それとも偽物かと疑いますわ」
    「だからね、分かりにくいけどつまりは、ちゃんと考えて物を言えってアドバイスなんだよ」
    イマルの居ないところで後でそう説明してあげたら、ケントは頭を抱えていた。
    「うぅ、難しい話し合いは全面的にマリーとヒカルにお任せします……」
    うん。魔物相手に戦闘中フェイントをかけるのは上手くても、貴族相手のやり取りなんてケントは向かないだろう。……貴族相手の腹芸大会については私もちょっと自信ないけと、ここが踏ん張りどころだから気合い入れて頑張るよ! 
    ――そして。門を通されしばし前庭のテラスで待たされた後、衛兵に案内され通された謁見の間で。
    私は初めて魔王陛下としての王と対面したのだった。
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