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ダンジョン村で

8-10 飛竜との死闘

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    「ケント、ヒカル、すぐに私の後ろへ!」
    マリーが叫ぶ。
    とほぼ同時に飛竜の咆哮がダンジョンの空間をビリビリと揺さぶる。
    「マジックシールド!」
    マリーは盾に魔力をこめて特殊バリアを広げた。
    「空を飛ぶ相手では私の槍斧もケントの剣も届きません。魔法も私程度の攻撃など飛竜相手では相手を怒らす以上の効果は望めません。私は防御に徹します。ヒカル、貴女が頼りですわ!」
    「とにかく地上に落としてくれ、落ちたら俺が出る!」
    落とせ、と言われても……。
    思い付くまま、風の刃で翼を切り落とそうとしてみたり、氷の杭で翼を貫こうとしてみたりと試してみるけど、竜の鱗で補強された飛竜の翼は強靭で歯が立たない。
    「直接攻撃がダメなら……ダウンバースト!」
    「よし、落ちた!」
     ダメージは全く通っていないけど、落とすだけならと試した方法はどうやら有効だったらしい。
    体勢を立て直される前にと急いで周囲の地面を泥沼化させる。
    竜にしては軽い飛竜も、相応に重いから、一度泥にはまれば脱出は簡単じゃない。
    怒った飛竜は風のブレスを無差別に周囲に吐き散らし、モンスターごと森の木々を吹き払う。
    咄嗟にマリーとの合わせ技で結界を張っていなかったら私達も吹き飛ばされていた。
    鋭い爪のある手足、固い鱗に覆われた尻尾、頑丈な翼。ブレス以外にも沢山ある武器を持つ竜相手に、ケントは果敢に挑みかかっていく。
    私も。――再び空に戻られると面倒なので、今度こそ翼を折らなければ。
    さっきみたいな薄っぺらな風の刃で足りないなら、幾重にも刃を重ね、高速回転させてみよう。イメージはチェーンソーだ。
    ついでに刃に炎を纏わせたら焼き切れないかな?
    ん?    えげつない?    いやいや、今そんな温いこと言ってる余裕ないから!
    お、これはイイ感じに切れる。すごいすごい、良く切れるわー。
    なんか包丁の通販の宣伝みたくスパスパ切れる。気分イイ。
    片翼を落としたら、次は尻尾、そして残ったもう片方の翼。
    「ぐおぉぉぉ!」
     痛みにブレスを吐きまくるから、度々結界に魔力を取られて攻撃が鈍るけど、その分はケントが腕を切り落とし、本当に身動き出来なくし、ブレス攻撃の攻撃範囲を固定したことで一気に戦況はこちらへ傾いた。
    「マリー、一斉攻撃いくよ!」
    飛竜の首目掛けて武器を振り下ろす。
    断末魔の叫びが森をざわめかせたけど――
    「た、倒した……?」
    「――ええ。……せっかく竜を倒してもダンジョンの竜では竜素材が得られないのは痛いですわ」
    「でも、ほら見て……。これ」
     後には、巻物と竜の爪が残されていた。
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