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ダンジョン村で

8-7 フロアボス

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    翌日。既に鍵を手に入れている私達はまっすぐ服のフロアボスのボス部屋を目指して歩いていた。
    ――まっすぐ、とはいっても勿論そこはダンジョン。複数回の戦闘や罠の回避という足止めはある。
    「だからこそ、ダンジョンてのはフィールドより厳しく自分の実力を知って限界を見極めないと、ちょっと調子に乗って奥まで行きすぎてダンジョンに食われる初心者、多いんだよな」
    「調子に乗りすぎて死ぬ初心者はフィールドでも普通に居るだろ?」
    「フィールドの魔物は一度退治すればすぐには復活なんかしないだろ?    けど、ダンジョンってのは無限に魔物が湧くんだ。フィールドなら頭数任せに山狩りなんて力業も通用するけど、ダンジョンじゃ精鋭の軍隊突っ込んだって魔物を狩り尽くすなんて不可能だ」
    そう。ダンジョンなんてゲームしないみたいだけど、リソースだのリポップ確率だのそんな言葉は存在しない。
    そこだけ狩り続けていると魔物が湧きにくくなるなんて事は無いから、延々と戦ってもキリがないのだ。
    そして。
    「ここがボス部屋だ」
    それは、つい「開けゴマ!」って呪文を唱えたくなりそうな大岩で塞がれた部屋で。岩戸には取ってきたカギをはめるくぼみがある。
    ……一階層のボスならそう強くはなさそうだけど。
    ここでしくじって怪我してもリセットは効かず、死んだらそこで終わりで、コンテニューリプレイなんか出来ないんだから。
    緊張しながら、轟音をたててスライドしていく大岩の向こうの景色を覗くと――
   「またウサギか!」
    ミニ豚サイズから一気に象さんレベルの体躯になった針ウサギ。名の通り、針ネズミみたいに切れ味鋭い角のような刺を身にまとうウサギの魔物だ。 
    けど……大きい分ウサギの強みの俊敏が大幅にダウン。スピードを犠牲にしたあの体躯でこちらを潰そうとしてくる。重さで潰れる前に刺で殺られそうだけど。
    けど、こんなに鈍いんじゃ―― 
   「やぁ!」
    ケントの一閃と。
    「おらよ!」
    レンお得意の急所突きであっという間に倒される。
   「よし、次行くぞ」
    アイテムを忘れずに拾い、階段を降りる。次も森――だけど、一階層に比べると熱帯の森にありそうな景色が広がっていた。
    「きっ!」
     早速魔物が現れる。
     木の枝をひょいひょい器用に渡り歩きながら泥団子を投げつけてくる、片腕で抱えられそうな猿。
    魔物の格が一階に比べて上がったね。
   「ここから十階層まではマイナーチェンジしつつこんな森の階層が続くらしいよ」
    面倒なのでさっさと氷の槍でハリセンボンにしてやる。
    「ギャ!」
     ――うん。二階層のエリアボスもフロアボスも猿だったよ。
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