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ダンジョン村で

8-4 ダンジョンかフィールドか

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まだ解体作業もしていないのに、証明部位と魔石を残して角ウサギの死体が消えて無くなる。
    これじゃまるでゲームみたいだ。
    「ああ、ダンジョンの魔物は普通の生まれをしてねぇからな。死体もダンジョンが喰っちまうんだとさ。だから表の魔物の証明部位ってのはダンジョン産魔物が落とす部位って決まってる。――表の魔物の証明部位は本当に倒した証明の意味しかねえが、ダンジョン産のコレは効能付きの素材アイテムだ。……流石に角ウサギ程度の雑魚のじゃそれもクズアイテム扱いだが、下層の稀少魔物のだとそれだけで一攫千金狙えるのもあるらしいぜ」
    「詳しいのですね」
    「まあ、俺はダンジョンメインの冒険者だからな。逆にフィールドでの採取はお前らの方が情報通だったろ?」
    「そう言えば……。確かに実力が伴うなら、下手な単発依頼や常時依頼より儲かりそうですし何より楽しそうですわ」
    「その代わりリスクも高けーけどな」
    フィールドでの仕事は常時依頼も単発依頼も共に情報収集は比較的簡単に行える。特に魔物の情報は冒険者のみならず、一般人の生活にも深く関係してくるため、下手に情報を秘匿すると罰則があるくらいだ。
    特に魔物の異常行動やユニーク個体の発見情報の報告を怠ると冒険者としての罰則で済まず、国の法で裁かれるレベルの犯罪扱いだから、冒険者も自分の実力を正確に把握できていれば比較的安全な冒険が出来る。
    ……それでも突発的な要因での危険はあるんだけど。
    その点ダンジョンは戦いの心得がある者が挑むものであり、中の事は基本自己責任とされる。
    故に、表にも被害が及ぶ可能性のあるスタンピートに繋がりそうな情報以外は秘匿するのが当たり前。
    酒場で集められた情報程度は特に価値ある情報と見なされなかったものか、フェイクニュースの可能性すらある。
    ダンジョン攻略に於いての情報収集とその見極めと活用は文字通りに死活問題なのだ。
    そして何より。
    「ダンジョンで死んだら何も残らないからな」
    ……死体が消えるのは何も魔物だけじゃない。ダンジョンで死ねば、その場で即仲間が遺体を担いで帰ってくれない限りは荷物や衣服ごとダンジョンに喰われ、何も残さず消えてしまう。
    フィールドであれば獣に食い荒らされたとしても遺骨や遺品程度は残り、冒険者の嗜みとして見つけた遺骨やはギルドに引き渡す暗黙の了解がある。……遺品は引き取り手が無い場合は発見者の物になり、遺骨の引き取り手が無い場合はそれを受け付けたギルドのある町の教会が管理する共同墓地に埋められる。
    ――リスキーだけど、ゲーム的なダンジョン攻略と現実味に溢れるけど最低限のセーフティネットがあるフィールド依頼。
    どちらが好きかは人によるんだろうけど。
    「……魔物の死骸をいじらなくて良いのは嬉しいけど、私じゃまだ初心者過ぎてうっかり物語のモブみたいなテンプレな死に方しやしないか不安だわ」
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