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ダンジョン村で
8-3 いざ、ダンジョン初挑戦!
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それは。聞いていた以上にちゃっちい……いや、頑張ったらしい事は認めるけどね……?
実際は本当にただの穴ぐらで、正直いつ崩れてもおかしくないと危惧されたんだろう。だから必死に補強工事した上に少しばかり見栄え良くしようとしたんだろうけど、所詮は見てくれなんて大して気にしない荒くればかりの冒険者が集うダンジョン村。……補強工事だけで済ませておけば良かったのに、って出来で……それが余計にショボさを引き立てちゃってるというか……。うん、蛇足って正にこういう事よね。
マリーも残念なものを見る目になっていたけど、ケントとレンはそんなものには目もくれず、ダンジョンへ降りる階段に一直線だ。
――ああ。ここがこんなな理由がよく分かる。
ふと目があったマリーと肩を竦め合い苦笑を交わして彼らの後に続く。
岩を荒く削った様な階段は、気を付けないと足を滑らせてしまいそうだ。手すりなんてモノは勿論無いから、自然と足下に視線が向く。
だから。
一番下まで降りきって視線を上げた時。
「う、わぁ……」
思わず感嘆の声をあげてしまったのは仕方なかったと思う。
「凄い……」
あのショボい入り口が嘘みたいにだだっ広い空間が広がり、そこには深い緑に覆われた森が存在しているんだから。
しかも天井は闇に覆われ実体が見えない。そのモヤっとした闇の中を鳥やコウモリ形の魔物が飛んでいるのも見える。
ああ、本当にここはダンジョン――リアルにダンジョンなんだと実感する。
「私もダンジョン攻略は初めてですけど……。いいですわね、ダンジョン! 冒険者らしくて楽しそうですわ!」
「うん。この階は森のステージみたい。動物系の魔物が多そうだから、魔物は僕に任せて。レンは索敵を――特に罠に気を付けておいて欲しい。うちは君以外ダンジョンは初めてだから、罠を見つけたら解除する前に一言伝えてくれると助かる。君の領分を侵すつもりはないけど、生き残る確率は少しでも上げておきたい」
「ああ、分かったよ。流石に上層階には無いだろうが、先へ進むと複数の罠を絡めた複合的な罠も出てくる。全くの無知はむしろ俺が困るからな」
「お願いしますわ」
「おう。……でさ、早速なんだけど……お客さんだぜ。魔物……小動物系の団体客だ」
「分かった。それじゃ、ダンジョン発の戦闘だ。まずは肩慣らしから、気楽に行こう。でも油断はしないで」
ケントが剣を抜き、マリーが槍斧を構え、レンは懐を探る。
私も杖を構え備える。
「角ウサギだ!」
「……! 槍斧では不利ですわね。私は盾に徹しますわ。ケント、ヒカル、お願いしますわ!」
「任せて! 渦巻け吹き上げろ、旋風!」
小規模な竜巻で巻き上げた兎をケントの剣が薙ぎ払う。
「ウィンドカッター!」
そこから漏れたウサギの牽制にマリーが魔法を放ち、それでも仕留めきれなかった残りのウサギにはレンの投げた投てき用のナイフが急所を突く。
――瞬殺だ。
「さあ、行きましょう。まだまだこれからですわ!」
ああ、わくわくする。楽しい。次は何が出るか……。
「――て、あれ? 死体が消えた……?」
実際は本当にただの穴ぐらで、正直いつ崩れてもおかしくないと危惧されたんだろう。だから必死に補強工事した上に少しばかり見栄え良くしようとしたんだろうけど、所詮は見てくれなんて大して気にしない荒くればかりの冒険者が集うダンジョン村。……補強工事だけで済ませておけば良かったのに、って出来で……それが余計にショボさを引き立てちゃってるというか……。うん、蛇足って正にこういう事よね。
マリーも残念なものを見る目になっていたけど、ケントとレンはそんなものには目もくれず、ダンジョンへ降りる階段に一直線だ。
――ああ。ここがこんなな理由がよく分かる。
ふと目があったマリーと肩を竦め合い苦笑を交わして彼らの後に続く。
岩を荒く削った様な階段は、気を付けないと足を滑らせてしまいそうだ。手すりなんてモノは勿論無いから、自然と足下に視線が向く。
だから。
一番下まで降りきって視線を上げた時。
「う、わぁ……」
思わず感嘆の声をあげてしまったのは仕方なかったと思う。
「凄い……」
あのショボい入り口が嘘みたいにだだっ広い空間が広がり、そこには深い緑に覆われた森が存在しているんだから。
しかも天井は闇に覆われ実体が見えない。そのモヤっとした闇の中を鳥やコウモリ形の魔物が飛んでいるのも見える。
ああ、本当にここはダンジョン――リアルにダンジョンなんだと実感する。
「私もダンジョン攻略は初めてですけど……。いいですわね、ダンジョン! 冒険者らしくて楽しそうですわ!」
「うん。この階は森のステージみたい。動物系の魔物が多そうだから、魔物は僕に任せて。レンは索敵を――特に罠に気を付けておいて欲しい。うちは君以外ダンジョンは初めてだから、罠を見つけたら解除する前に一言伝えてくれると助かる。君の領分を侵すつもりはないけど、生き残る確率は少しでも上げておきたい」
「ああ、分かったよ。流石に上層階には無いだろうが、先へ進むと複数の罠を絡めた複合的な罠も出てくる。全くの無知はむしろ俺が困るからな」
「お願いしますわ」
「おう。……でさ、早速なんだけど……お客さんだぜ。魔物……小動物系の団体客だ」
「分かった。それじゃ、ダンジョン発の戦闘だ。まずは肩慣らしから、気楽に行こう。でも油断はしないで」
ケントが剣を抜き、マリーが槍斧を構え、レンは懐を探る。
私も杖を構え備える。
「角ウサギだ!」
「……! 槍斧では不利ですわね。私は盾に徹しますわ。ケント、ヒカル、お願いしますわ!」
「任せて! 渦巻け吹き上げろ、旋風!」
小規模な竜巻で巻き上げた兎をケントの剣が薙ぎ払う。
「ウィンドカッター!」
そこから漏れたウサギの牽制にマリーが魔法を放ち、それでも仕留めきれなかった残りのウサギにはレンの投げた投てき用のナイフが急所を突く。
――瞬殺だ。
「さあ、行きましょう。まだまだこれからですわ!」
ああ、わくわくする。楽しい。次は何が出るか……。
「――て、あれ? 死体が消えた……?」
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