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勇者Side - Spin off - ②
β-1 信頼できない仲間達
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――怖い。
そう思ってしまっても、私は逃げられなかった。
だってそうでしょう?
町へ出れば皆が私の顔を知っているんですもの。
町を出て逃げようにも外は魔物が出る。……勇者パーティーが居ても、私に出来るのは彼らが弱らせた瀕死の魔物にとどめを刺すくらい。
聖女のお仕事は戦う事じゃなく、戦い疲れた仲間や民を癒し、魔物に穢された地を浄化し癒す事。
前者は治療師でも出来るけど、後者は聖女にしか出来ない事。
それに前者の癒しも効果は似てるけど、厳密には違うもので、見る人が見ればバレてしまう。
パーティーの皆は、流石に勇者パーティーと言われるだけあって強い。
剣士のアルム。
重戦士のイアン。
槍使いのウォルコット。
イアンが壁になって、アルムとウォルコットが武器で物理攻撃担当するのがウチの前衛職。
弓術士のエリオット。
暗器使いのオルコット。
エリオットが弓で牽制し、オルコットが遊撃するのがウチの中衛職。
そして魔術師のカルロ・ジューク。
治療師のキース。
多彩な魔法を使い分けるカルロと回復役のキースがウチの後衛職。
そして案内役から斥候、荷物持ちにおさんどん役とサポート専門の何でも屋なクロード。
私の指導役としてついてるケヴィン先生。
私も含めて正規メンバーが8名、総勢10名の勇者パーティー。
……実はもう何人か、私が来る前までは居たらしいんだけど。
「いや、聖女様がいらっしゃるまで、貴女様に相応しくあるよう一年程修行の旅をして回ったのですが……」
その職を持つ人間としては最優秀でも、職業自体が不要と判断されて辞めさせられた人が何人か居たみたい。
……それって。私もいつか「聖女として相応しくない」って思われたら捨てられちゃうんじゃないの?
――そういえばすっかり忘れてたけど、一緒にこっちへ来ちゃったあの子はどこへ行っちゃったの?
「ああ、事故でくっついて来ちゃった人ならお金渡されて出てったって聞いたけど?」
「まあ、不幸な事故だったけど……仕方ないよね。要らない人間いつまでも養えやしないし、食い扶持は自分で稼いで貰わないと」
「でも、もし可愛い子だったら俺ちょっと見てみたかったかも!」
「いやぁ、その場に居た親父の話じゃブスだったって話だぜ?」
「あ? あのゴージャス美人を振るお前がブスって言うなら信憑性薄いぜ。お貴族様の目にはブスでも村娘に比べたら美人だったかもしれねぇのに」
「いやいや、俺だってアレも見た目はキライじゃなかったぜ? 黙って立ってりゃ良い女だったしな。けどダメだよ、気は強いし生真面目すぎて面倒臭ぇんだよあいつは」
……戦闘面では強いし頼りになる人たちだけど。
話してる内容は下品なもの。
影ではどうか知らないけど、流石に女子の前でこんな話するバカはうちの高校には居なかったわ。……中学には一部底辺男子で居たけどね、こういうモテない僻み野郎。
こんな奴らに頼らないと生きていけない現実に目眩がするけど……。
「――おい、そろそろ近場の訓練を修了して、正式に旅立って貰うぞ」
……そう。まだ今は物語の序章でしかないんだ。本当の試練はまだこれから始まる。
私は自分の不運を嘆くしかなかった。
そう思ってしまっても、私は逃げられなかった。
だってそうでしょう?
町へ出れば皆が私の顔を知っているんですもの。
町を出て逃げようにも外は魔物が出る。……勇者パーティーが居ても、私に出来るのは彼らが弱らせた瀕死の魔物にとどめを刺すくらい。
聖女のお仕事は戦う事じゃなく、戦い疲れた仲間や民を癒し、魔物に穢された地を浄化し癒す事。
前者は治療師でも出来るけど、後者は聖女にしか出来ない事。
それに前者の癒しも効果は似てるけど、厳密には違うもので、見る人が見ればバレてしまう。
パーティーの皆は、流石に勇者パーティーと言われるだけあって強い。
剣士のアルム。
重戦士のイアン。
槍使いのウォルコット。
イアンが壁になって、アルムとウォルコットが武器で物理攻撃担当するのがウチの前衛職。
弓術士のエリオット。
暗器使いのオルコット。
エリオットが弓で牽制し、オルコットが遊撃するのがウチの中衛職。
そして魔術師のカルロ・ジューク。
治療師のキース。
多彩な魔法を使い分けるカルロと回復役のキースがウチの後衛職。
そして案内役から斥候、荷物持ちにおさんどん役とサポート専門の何でも屋なクロード。
私の指導役としてついてるケヴィン先生。
私も含めて正規メンバーが8名、総勢10名の勇者パーティー。
……実はもう何人か、私が来る前までは居たらしいんだけど。
「いや、聖女様がいらっしゃるまで、貴女様に相応しくあるよう一年程修行の旅をして回ったのですが……」
その職を持つ人間としては最優秀でも、職業自体が不要と判断されて辞めさせられた人が何人か居たみたい。
……それって。私もいつか「聖女として相応しくない」って思われたら捨てられちゃうんじゃないの?
――そういえばすっかり忘れてたけど、一緒にこっちへ来ちゃったあの子はどこへ行っちゃったの?
「ああ、事故でくっついて来ちゃった人ならお金渡されて出てったって聞いたけど?」
「まあ、不幸な事故だったけど……仕方ないよね。要らない人間いつまでも養えやしないし、食い扶持は自分で稼いで貰わないと」
「でも、もし可愛い子だったら俺ちょっと見てみたかったかも!」
「いやぁ、その場に居た親父の話じゃブスだったって話だぜ?」
「あ? あのゴージャス美人を振るお前がブスって言うなら信憑性薄いぜ。お貴族様の目にはブスでも村娘に比べたら美人だったかもしれねぇのに」
「いやいや、俺だってアレも見た目はキライじゃなかったぜ? 黙って立ってりゃ良い女だったしな。けどダメだよ、気は強いし生真面目すぎて面倒臭ぇんだよあいつは」
……戦闘面では強いし頼りになる人たちだけど。
話してる内容は下品なもの。
影ではどうか知らないけど、流石に女子の前でこんな話するバカはうちの高校には居なかったわ。……中学には一部底辺男子で居たけどね、こういうモテない僻み野郎。
こんな奴らに頼らないと生きていけない現実に目眩がするけど……。
「――おい、そろそろ近場の訓練を修了して、正式に旅立って貰うぞ」
……そう。まだ今は物語の序章でしかないんだ。本当の試練はまだこれから始まる。
私は自分の不運を嘆くしかなかった。
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