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ラムレアの街で過ごす冬
5-9 単発依頼に挑戦しましょう
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どんなに忙しくとも、無視できない――避けては通れないものというのはあるわけで。
「さあ、行くぞ」
その最たるモノがお金である。
風呂付きの高級物件に住まわせて貰ってる以上は稼がなきゃいけない。
「今日の依頼は討伐依頼だ。南へ向かう街道に度々出現するボアの変異種の討伐と、念のため仲間が近くに居ないかの調査が仕事だ」
現場近くまではギルドで借りた馬車で行き、拠点を作って近くを捜索、ターゲットと接触し次第討伐の予定だと言う。
「ボアの肉、討伐証明部位以外は好きにして良いとありましたもの、しばらくお肉に困りませんね」
マリーさ……げふん、マリーはご機嫌だ。
――あー、うん。イマルだけを呼び捨ててたら、当然だけどマリー達に突っ込まれたんだよね。
んで訳を話したら、じゃあ私も、俺も! ……てな訳で、マリーもケントも呼び捨てOK出ました。
「とにかく巨大~とは聞きましたけど、実際どんなかはっきりとは分からないんですよね?」
「まあ、仕方ないんじゃないかな……周りはこんな何もない平原じゃ比較対象になるものが無いし、パニックしてると怖いものって妙に大きく見えたりするし」
「ボア系は突進攻撃が十八番だからな。猛スピードで突っ込んで来られればそりゃどんどん大きくなってるみたく見えるからな。――あんな風に」
索敵に放っていたニールが見覚えのある魔物を追い立ててくる。
「あ、ホーンゴート」
「お肉! ここはお任せを!」
早速ケントが飛び出して行く。
うん。ニールだから怖くないけど、あれが巨大ボアの猪突猛進攻撃なら、そら戦う術のない一般人には恐怖しか感じないわな。
ホーンゴートだってあの角で突かれれば馬車の車体に穴くらい空くし。
私だってちょっと前までゴブリン一匹にも怯えてたんだもんなぁ……。
これ、もし百万が一日本に戻れるとなっても、ここで馴れた感覚をもう一度あちらのものに直すの、大変そうだなあ……。
水は低い方に流れるって言うから、生活水準はあっという間に戻るだろうけどね。
「あ、収納空間の使い方、やっと分かってきたんで! これ、解体して凍らせてからこの魔道具に入れて空間に入れとくと、解凍していつでもお肉が食べられるようになりますよ」
「まあ! そうと聞いたら働かないわけにはいきませんわね。ケント!証明部位は私とイマルで集めるから、貴方は解体に専念なさい! ヒカルは加工に専念! いいわね!」
「ラジャ!」
元気良く敬礼するケントとやれやれと肩を竦めるイマル。
血抜きはケントがしてくれるとは言えスーパーのパック肉には無いワイルド感溢れる肉の塊を平気で凍らせる私が居る。
解体だって、ケントみたいに上手くは出来なくても、作業自体は出来るよう教えられたんだから。
……今なら狩猟免許取ってマタギにだってなれそうだけど――親に言ったら目ぇひん剥いて驚いて終いには卒倒しそう。
毎日同じように学校や仕事に行って、帰ったら寝るだけなんて、安全で便利だけど退屈な日々に戻れるとは思えないんだよね。
今だってまだ慣れ切らない事も一杯あるんだけどさ、何だかんだ言ってもこのパーティーは、クラスメートと下らないお喋りするより楽しくて居心地が良くて。
退屈なあの毎日に耐えられる気がしない。……まあ高校大学までは我慢しても……結局バックパッカーとか始めたりして?
うん、親はひっくり返るな。
中身はともかくさ、もうこの体型じゃ喪女とか名乗るの無理あるし。……筋肉、付いたもんなー。完全に体育会系女子だよ、体だけ見たら。
でも、この世界じゃまだこれでも足りないんだ。
「今日の夕飯はゴート肉の肉野菜炒めだよ」
「……それは」
「コンロの魔道具、真似してポータブルサイズの作っちゃいました! 流しもセットで付いてます☆」
通じないの分かっていながら通販風に紹介してみる。
「まあ、もう成果が出てますの? 素晴らしい向上心ですわ!」
「うん、やっぱりヒカルさんは体張るより頭脳戦のが得意なんだね~」
イマルは……無言だったけど……何か一人ドヤ顔してるんだけど。アレ、何?
「さあ、行くぞ」
その最たるモノがお金である。
風呂付きの高級物件に住まわせて貰ってる以上は稼がなきゃいけない。
「今日の依頼は討伐依頼だ。南へ向かう街道に度々出現するボアの変異種の討伐と、念のため仲間が近くに居ないかの調査が仕事だ」
現場近くまではギルドで借りた馬車で行き、拠点を作って近くを捜索、ターゲットと接触し次第討伐の予定だと言う。
「ボアの肉、討伐証明部位以外は好きにして良いとありましたもの、しばらくお肉に困りませんね」
マリーさ……げふん、マリーはご機嫌だ。
――あー、うん。イマルだけを呼び捨ててたら、当然だけどマリー達に突っ込まれたんだよね。
んで訳を話したら、じゃあ私も、俺も! ……てな訳で、マリーもケントも呼び捨てOK出ました。
「とにかく巨大~とは聞きましたけど、実際どんなかはっきりとは分からないんですよね?」
「まあ、仕方ないんじゃないかな……周りはこんな何もない平原じゃ比較対象になるものが無いし、パニックしてると怖いものって妙に大きく見えたりするし」
「ボア系は突進攻撃が十八番だからな。猛スピードで突っ込んで来られればそりゃどんどん大きくなってるみたく見えるからな。――あんな風に」
索敵に放っていたニールが見覚えのある魔物を追い立ててくる。
「あ、ホーンゴート」
「お肉! ここはお任せを!」
早速ケントが飛び出して行く。
うん。ニールだから怖くないけど、あれが巨大ボアの猪突猛進攻撃なら、そら戦う術のない一般人には恐怖しか感じないわな。
ホーンゴートだってあの角で突かれれば馬車の車体に穴くらい空くし。
私だってちょっと前までゴブリン一匹にも怯えてたんだもんなぁ……。
これ、もし百万が一日本に戻れるとなっても、ここで馴れた感覚をもう一度あちらのものに直すの、大変そうだなあ……。
水は低い方に流れるって言うから、生活水準はあっという間に戻るだろうけどね。
「あ、収納空間の使い方、やっと分かってきたんで! これ、解体して凍らせてからこの魔道具に入れて空間に入れとくと、解凍していつでもお肉が食べられるようになりますよ」
「まあ! そうと聞いたら働かないわけにはいきませんわね。ケント!証明部位は私とイマルで集めるから、貴方は解体に専念なさい! ヒカルは加工に専念! いいわね!」
「ラジャ!」
元気良く敬礼するケントとやれやれと肩を竦めるイマル。
血抜きはケントがしてくれるとは言えスーパーのパック肉には無いワイルド感溢れる肉の塊を平気で凍らせる私が居る。
解体だって、ケントみたいに上手くは出来なくても、作業自体は出来るよう教えられたんだから。
……今なら狩猟免許取ってマタギにだってなれそうだけど――親に言ったら目ぇひん剥いて驚いて終いには卒倒しそう。
毎日同じように学校や仕事に行って、帰ったら寝るだけなんて、安全で便利だけど退屈な日々に戻れるとは思えないんだよね。
今だってまだ慣れ切らない事も一杯あるんだけどさ、何だかんだ言ってもこのパーティーは、クラスメートと下らないお喋りするより楽しくて居心地が良くて。
退屈なあの毎日に耐えられる気がしない。……まあ高校大学までは我慢しても……結局バックパッカーとか始めたりして?
うん、親はひっくり返るな。
中身はともかくさ、もうこの体型じゃ喪女とか名乗るの無理あるし。……筋肉、付いたもんなー。完全に体育会系女子だよ、体だけ見たら。
でも、この世界じゃまだこれでも足りないんだ。
「今日の夕飯はゴート肉の肉野菜炒めだよ」
「……それは」
「コンロの魔道具、真似してポータブルサイズの作っちゃいました! 流しもセットで付いてます☆」
通じないの分かっていながら通販風に紹介してみる。
「まあ、もう成果が出てますの? 素晴らしい向上心ですわ!」
「うん、やっぱりヒカルさんは体張るより頭脳戦のが得意なんだね~」
イマルは……無言だったけど……何か一人ドヤ顔してるんだけど。アレ、何?
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