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ラムレアの街で過ごす冬

5-7 聖職者研修……?

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    初日こそ簡単なカリキュラム説明と講師と生徒の自己紹介で終わったものの、次からはひたすら予習で叩き込んで来た内容の確認と補助解説が中心の座学でみっちみちの濃ゆい授業が続く薬師研修。
    それに比べて。
    「……では、神に祈りなさい」
     教師もクラスメイトも居ない。
     毎回一人教会の個室に放り込まれてひたすら神に祈らされるだけ。
    ……正直コレって何か意味あんの?    と疑問しか感じない。コレで2万も取るのかよ、と日本ならクレーム必至案件だと思う。
    思うが、しかし。
    信心深く祈れば祈る程経験値的なものが与えられ、その総量が一定値に達するごとに回復術の威力や精度が上がるらしい。
    ……けどね、私は宗教的な意味では完全に典型的日本人なわけですよ。
    正月には神社に初詣。節分には鬼に豆撒いて、七五三もやったし、夏祭り秋祭りにも神社に行く。
    けど、両親の実家で法事に参加すれば家に坊さん呼ぶし、お盆には寺に墓参りに行く。
    で、12月にはクリスマスパーティー。……あ?    当然家族や女友達とだよ、決まってるでしょ!
    ――とまあ、宗教ちゃんぽんが得意な日本人らしく生きてきた女子高生が、突然異世界の神様に祈りなさいって言われてもねぇ……。
    神様にお祈りって……神社でお願い事した事しかないんだけど。
    「回復術下さい」と願えばいいんだろうか?
    等と試行錯誤する事既に三回。
    成果……?    あったら悩んでないわよ。
    ――まあ、いまいち信じきれてない自覚はあるんだけど。
    「……ここの神様ってどんな方なんでしょう?」
    「ん?    ここの……とはどういう意味だ?」
    煮詰まった私はある日、夕食の席で皆に尋ねてみた。
    「どんな……と言われても……全てに於いて人の及ばぬ超越した存在を神と呼称するのでしょう?」
    「ですよね?    ヒカルさんの仰り様ではまるで複数いて、しかもそれが人みたく人格があるような……?」
    曰く。
    この世界で信じられている神とはある意味唯一神だけど、キリスト教やイスラム教とも違う。
    天地創造から原初の命の創造、人々に職業や能力を与え、気候や天変地異まで全ての事象を司る、超越した存在で、人間のような思考や感情は持たないものとされるらしい。
    だから、神への祈りとは自分を含めた全てのものへの感謝を伝え述べる意味合いが強いようだ。
    だから、私が地球に存在する主だった宗教について素人知識を披露するととても驚いていた。
    特に八百万も神が存在し、自分の願い事を祈る日本の神道の考えには驚愕された。
    「か、神様に個人的なお願い事……ですか。いや、そりゃ職業鑑定を受ける時に良い職業に当たると良いな~とかは考えてたりはしましたけど……」
    「――うん。コレで根本から考えが違ってた事が良く分かったよ」
    それを踏まえて臨んだら――はい、あっさり手に入りました回復術。
    ……こんなお手軽で本当に良いのか?    いや金額的にはちっともお手軽じゃないけど。
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