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ラムレアの街で過ごす冬
5-2 新居はなかなか快適です。
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3LDKトイレ・風呂付――。
学生の独り暮らしには贅沢な間取りも、ファミリー向けマンションならごく普遍的な間取り。……これが戸建てとなるとちょっと良い仕事してないと厳しいけど……まあ庶民的な間取りの範疇には入るだろう。――日本でなら。
けれど。
この世界で個人宅に風呂があると言うのは、日本の感覚的には自宅にプールがあるレベルの話。
つまり超高級住宅に当たる。
「い……イマルさん……本当に、ここで良いんですか?」
寝室はツインルームが二つ、それとは別にもう一部屋ある。
更にダイニングとリビングが別にあって、水回りも完備。
特にトイレは魔道具式の一応水洗トイレ。
一応と言うのは便器は水洗だけど、流石に日本みたいに下水道が完備されている訳じゃないから、最終的には便器から流された先の肥溜めからの汲み取り式だからだ。
ヘルナイト王国の宿場町では離れのように建物から離れた場所にあるボットン式汲み取り式トイレだった。――便器が和式でなく洋式だったのだけは幸いだった。
それが室内水洗トイレ。
この形式がこの辺りの一般的水準らしく、汚物回収は行政サービスの一環としてゴミ回収と交互に週一で回ってくるそうで。
風呂も魔力さえ注げば簡単に水張り湯沸かしが可能。
「これ、家賃いくらです……?」
パーティーを組んでもうこの世界では半年経つ。
いい加減イマルさんの財布にばかり頼るのは良くない。――そう思うのに。
「何言ってる? 家賃はパーティー費用から出してるだろうが。これから稼ぐんだから、問題なんかないだろう」
……そうですか。高級住宅賃貸料に見合う稼ぎをと仰るのですね、イマルさん。
ちっちゃいけれど色とりどりの花が咲き、バーベキューを楽しむくらいなら十分な広さの庭付の3LDK。
「さあ、それじゃあ食材の買い出しに行くか。夕飯、楽しみにしてるぞ」
昼は物件巡りの後で店で済ませたけれど、今夜からはこの台所で私が食事を作ることになっている。ちなみに手伝いの要請は可。
週一でお休みを貰い、その一日は当番制で私以外の三人で回すらしい。
この世界の台所を見た事がない私は、日本郷土資料館的な所で見るような、土間にかまどというレベルの設備だったらどうしようと戦々恐々としていたのだけど。
私は、魔道具の存在に心から感謝したい。
流石に電子レンジや食洗機は無いけど、魔道具式のコンロはあった。
「……風呂のもそうだが、この手の魔道具はかなり魔力を食うんだ。便利な上借り手を選ぶ分普通は家賃が上がるんだが、冒険者に魔法使いはつきものだからな。他より借りては多いが、必要魔力を満たせない者はふるい落とされる。故に需要と供給のバランスが合って普通より安くかりられるのさ」
――イマルさんはそう言うけれど。
それでも風呂がなければもっと安い物件はあったはず。
「……ありがとうございます」
――初日からメシマズさんにならずに済むよう頑張ろう!
学生の独り暮らしには贅沢な間取りも、ファミリー向けマンションならごく普遍的な間取り。……これが戸建てとなるとちょっと良い仕事してないと厳しいけど……まあ庶民的な間取りの範疇には入るだろう。――日本でなら。
けれど。
この世界で個人宅に風呂があると言うのは、日本の感覚的には自宅にプールがあるレベルの話。
つまり超高級住宅に当たる。
「い……イマルさん……本当に、ここで良いんですか?」
寝室はツインルームが二つ、それとは別にもう一部屋ある。
更にダイニングとリビングが別にあって、水回りも完備。
特にトイレは魔道具式の一応水洗トイレ。
一応と言うのは便器は水洗だけど、流石に日本みたいに下水道が完備されている訳じゃないから、最終的には便器から流された先の肥溜めからの汲み取り式だからだ。
ヘルナイト王国の宿場町では離れのように建物から離れた場所にあるボットン式汲み取り式トイレだった。――便器が和式でなく洋式だったのだけは幸いだった。
それが室内水洗トイレ。
この形式がこの辺りの一般的水準らしく、汚物回収は行政サービスの一環としてゴミ回収と交互に週一で回ってくるそうで。
風呂も魔力さえ注げば簡単に水張り湯沸かしが可能。
「これ、家賃いくらです……?」
パーティーを組んでもうこの世界では半年経つ。
いい加減イマルさんの財布にばかり頼るのは良くない。――そう思うのに。
「何言ってる? 家賃はパーティー費用から出してるだろうが。これから稼ぐんだから、問題なんかないだろう」
……そうですか。高級住宅賃貸料に見合う稼ぎをと仰るのですね、イマルさん。
ちっちゃいけれど色とりどりの花が咲き、バーベキューを楽しむくらいなら十分な広さの庭付の3LDK。
「さあ、それじゃあ食材の買い出しに行くか。夕飯、楽しみにしてるぞ」
昼は物件巡りの後で店で済ませたけれど、今夜からはこの台所で私が食事を作ることになっている。ちなみに手伝いの要請は可。
週一でお休みを貰い、その一日は当番制で私以外の三人で回すらしい。
この世界の台所を見た事がない私は、日本郷土資料館的な所で見るような、土間にかまどというレベルの設備だったらどうしようと戦々恐々としていたのだけど。
私は、魔道具の存在に心から感謝したい。
流石に電子レンジや食洗機は無いけど、魔道具式のコンロはあった。
「……風呂のもそうだが、この手の魔道具はかなり魔力を食うんだ。便利な上借り手を選ぶ分普通は家賃が上がるんだが、冒険者に魔法使いはつきものだからな。他より借りては多いが、必要魔力を満たせない者はふるい落とされる。故に需要と供給のバランスが合って普通より安くかりられるのさ」
――イマルさんはそう言うけれど。
それでも風呂がなければもっと安い物件はあったはず。
「……ありがとうございます」
――初日からメシマズさんにならずに済むよう頑張ろう!
応援ありがとうございます!
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