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冒険者ランクを上げましょう
3-16 未知なる国への期待
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国境へ向けての道程の途中。これまでの森から一転、日本ではまず無いような、中国の長江や黄河レベル以上の大河が行く手を阻んでいた。
この川の中程が国境線とは言うけど……これ、本当に川なんですかね?
確かに水は私の目の前を左から右にゆったりと流れてはいるけれど、向こう岸なんかさっぱり見えやしない。
見えるのは水平線ばかり。
水平線なんて海でしか見たこと無いんだけどなー。
……日本の川程は透明感のない水だけど、本物の長江や黄河に比べれば割りと綺麗な水。
でもここを自力で歩くとか泳ぐとかは……うん、確実に事故るよね。
となると、有料の渡し船を利用するか、イマルさんのカイル君にお願いするかの二択になる。
……と、思っていたんだけど。
「他ならともかくここは国境も兼ねた川だからな。正規の船で渡らないと入国手続きが出来なくて、あちらで拘束される」
……と、いうわけで。
馬車ごと乗れる、地球で言うところのフェリー的な定期船に乗ることになった。
うーん、あの綺麗なカイル君に一度乗ってみたかったんだけどなぁ。
ちなみに船の出港は一日一便のみで、一泊二日の旅になる。
昼過ぎの出港で翌昼前の到着、あちらから出港した船と夜中にすれ違い――という具合になっているそうだ。
「という訳で出発は明日だ。今日はこの港に泊まるぞ」
そう考える者が毎回大半なのだろう、町と言うには小規模過ぎるが、宿泊用の施設は充実していた。
ついでに密入国の違法な渡し船を見張るための高い見張り搭が印象的で。
自前の小舟や騎獣が認められるのは討伐依頼を受けた冒険者があそこに詰める国の兵士を通じて正式な許可を得た場合のみなんだそう。
「と、言う訳でだ。明日は他の客も居て落ち着けないだろうからな。……今日の内にたっぷり訓練しとくぞ」
せっかく貴重な水場での訓練ができるのだからと、みっちりしごかれ、夕食には川魚をふんだんに使った料理を食べて過ごし。
この国で過ごす本当に最後の日の日の出を拝んで、出港時間の前まできっちり稽古に励まされて。
私はこの世界に来て初めて船――と言うか「乗り物」に乗った。
……この世界の文明レベルから、カリブの海賊的な帆船をイメージしていたら、白黒ミ○キーが口笛吹きながら操縦する汽船みたいな、船体の両脇に巨大な水車の様な輪で水を掻いて進むタイプの船で驚いた。
おそらくは木船なんだろうけど、白い塗装の完成度が高くて遠目にパッと見るだけなら金属で出来ている様にも見えた。
「……運が良かったな。これはあちら側の船だ。――今頃あちらの港に居るはずのうちの国の船はもっとボロいからな」
まずは運んできた人と荷物を下ろす様子を眺めながらイマルさんが機嫌良く微笑した。
全て下ろし、簡単なメンテナンスが済めば私達が乗船する番だ。
――ようやくこの国を離れられるからか。
イマルさんの表情がいつもより柔らかい気がした。
この川の中程が国境線とは言うけど……これ、本当に川なんですかね?
確かに水は私の目の前を左から右にゆったりと流れてはいるけれど、向こう岸なんかさっぱり見えやしない。
見えるのは水平線ばかり。
水平線なんて海でしか見たこと無いんだけどなー。
……日本の川程は透明感のない水だけど、本物の長江や黄河に比べれば割りと綺麗な水。
でもここを自力で歩くとか泳ぐとかは……うん、確実に事故るよね。
となると、有料の渡し船を利用するか、イマルさんのカイル君にお願いするかの二択になる。
……と、思っていたんだけど。
「他ならともかくここは国境も兼ねた川だからな。正規の船で渡らないと入国手続きが出来なくて、あちらで拘束される」
……と、いうわけで。
馬車ごと乗れる、地球で言うところのフェリー的な定期船に乗ることになった。
うーん、あの綺麗なカイル君に一度乗ってみたかったんだけどなぁ。
ちなみに船の出港は一日一便のみで、一泊二日の旅になる。
昼過ぎの出港で翌昼前の到着、あちらから出港した船と夜中にすれ違い――という具合になっているそうだ。
「という訳で出発は明日だ。今日はこの港に泊まるぞ」
そう考える者が毎回大半なのだろう、町と言うには小規模過ぎるが、宿泊用の施設は充実していた。
ついでに密入国の違法な渡し船を見張るための高い見張り搭が印象的で。
自前の小舟や騎獣が認められるのは討伐依頼を受けた冒険者があそこに詰める国の兵士を通じて正式な許可を得た場合のみなんだそう。
「と、言う訳でだ。明日は他の客も居て落ち着けないだろうからな。……今日の内にたっぷり訓練しとくぞ」
せっかく貴重な水場での訓練ができるのだからと、みっちりしごかれ、夕食には川魚をふんだんに使った料理を食べて過ごし。
この国で過ごす本当に最後の日の日の出を拝んで、出港時間の前まできっちり稽古に励まされて。
私はこの世界に来て初めて船――と言うか「乗り物」に乗った。
……この世界の文明レベルから、カリブの海賊的な帆船をイメージしていたら、白黒ミ○キーが口笛吹きながら操縦する汽船みたいな、船体の両脇に巨大な水車の様な輪で水を掻いて進むタイプの船で驚いた。
おそらくは木船なんだろうけど、白い塗装の完成度が高くて遠目にパッと見るだけなら金属で出来ている様にも見えた。
「……運が良かったな。これはあちら側の船だ。――今頃あちらの港に居るはずのうちの国の船はもっとボロいからな」
まずは運んできた人と荷物を下ろす様子を眺めながらイマルさんが機嫌良く微笑した。
全て下ろし、簡単なメンテナンスが済めば私達が乗船する番だ。
――ようやくこの国を離れられるからか。
イマルさんの表情がいつもより柔らかい気がした。
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