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冒険者ランクを上げましょう
3-6 都会育ちの現代っ子
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丸一日歩き通し。
都市部に暮らす女子高生にとってそんな経験滅多にあるものではない。
小学校時代の春の遠足で山登りした時だって、通常の登校時間と大差ない時間に出掛けて夕方には学校で解散してた。
そも、山の前までは電車かバスで往復してるんだから、実際に山登りしてる時間なんて3~4時間位だし。
子供の足で登れると判断された程度の山だし。
――つまり何が言いたいかっていうと……朝、朝食後すぐに宿を出て街を後にしてから夕暮れ時まで、途中休憩を挟みつつとはいえ歩き通しなんて、ただの女子高生にはキツ過ぎ! ってこと。
パーティーメンバーとのお喋りに興じる余裕もなくなった。
しかも昨日一日歩いても次の町に辿り着かなかった。――つまり昨夜は野宿をしたのだ。
レジャーキャンプでなく、リアル野宿だ。
テントやバーベキュー用品を積んだキャンプカーも無ければシャワーやトイレや調理場なんて当然あるはずもない。
あるのは寝袋と簡易保存食だけ。……かろうじてアイテムボックス的な能力があるからかさばるものを持ち歩かなくて済んでるけど……。
そして明日もまた歩き通しなのが確定してるんだ。
それを皆さん、涼しい顔でさも当然とばかりにこなすんだ。移動の全ては馬車だったんじゃないかと思われる元お嬢様のマリーさんまでも。
というか、道中に襲ってきた魔物相手に戦ってすらいた。
歩くだけで精一杯でヘロヘロだった私はもし一人でいたら確実に奴らの餌食になっていた。
……職業チートどころか戦闘以前の根本的な部分の基礎が出来てない。
能力的にはいずれチートも可能かもしれないけど、どうやらそこに至るまではゲームみたいにポンポンレベルアップ出来るものじゃないらしい。
「……戦闘経験が無いとは聞いたが、武器を握った経験が無いだけでなく、本当に戦闘経験全般が無いとはな」
この世界にも戦闘能力の無い者は大勢居る。――が、こう身近に魔物がいる世界故に、戦闘の様子を見聞きした事の無い者はまず居ない。
直に肉を断つ感触を恐れる戦闘未経験者は、冒険者の初心者に一定数居るものらしい。
からこそ、まずは既に事切れた魔物から証明部位を切り取る作業で馴れさせるつもりだったらしい。
……けど、これまで宿では男女別部屋だったのに、野宿で雑魚寝したせいで、イマルさんに毎夜の悪夢にうなされてるのがバレたワケで。
「自分で戦えずとも、それこそ俺ら冒険者を雇って討伐させるのが当然というのがここでの常識だ」
人間の賊相手の命のやり取りに吐き気を覚える人は居ても、魔物の死はあまりに日常過ぎて何も思わないのが普通、らしい。
……まあ私達だって犬猫の虐待には心を痛めても、蚊やハエを叩き潰したところで罪悪感など無い。……どころか、あの黒いGを果敢に退治した者はある意味英雄扱いなのと同じなんだろう。
ただ、その基準値が違うだけで。
「……な、慣れます」
この世界で暮らすなら、郷に入っては郷に従え。
基礎をどうにかしない限り実戦どころじゃない事を思い知らされて。
「今日も見張り番はやらなくて良い。明日の為にもとにかく休め」
「ふふふ、戦闘はともかく野宿は流石に私もまだ慣れませんわ。……見張り番は私が最初でもよろしいかしら? ちょっと途中で起きれる自信がありませんの……」
「大丈夫ですよ! 俺、学はないけど体力はあるんで」
皆の会話を聞きながら一人、毛布に包まると即座に遠退いていく意識の中で、基礎体力を上げようと決めたのだった。
都市部に暮らす女子高生にとってそんな経験滅多にあるものではない。
小学校時代の春の遠足で山登りした時だって、通常の登校時間と大差ない時間に出掛けて夕方には学校で解散してた。
そも、山の前までは電車かバスで往復してるんだから、実際に山登りしてる時間なんて3~4時間位だし。
子供の足で登れると判断された程度の山だし。
――つまり何が言いたいかっていうと……朝、朝食後すぐに宿を出て街を後にしてから夕暮れ時まで、途中休憩を挟みつつとはいえ歩き通しなんて、ただの女子高生にはキツ過ぎ! ってこと。
パーティーメンバーとのお喋りに興じる余裕もなくなった。
しかも昨日一日歩いても次の町に辿り着かなかった。――つまり昨夜は野宿をしたのだ。
レジャーキャンプでなく、リアル野宿だ。
テントやバーベキュー用品を積んだキャンプカーも無ければシャワーやトイレや調理場なんて当然あるはずもない。
あるのは寝袋と簡易保存食だけ。……かろうじてアイテムボックス的な能力があるからかさばるものを持ち歩かなくて済んでるけど……。
そして明日もまた歩き通しなのが確定してるんだ。
それを皆さん、涼しい顔でさも当然とばかりにこなすんだ。移動の全ては馬車だったんじゃないかと思われる元お嬢様のマリーさんまでも。
というか、道中に襲ってきた魔物相手に戦ってすらいた。
歩くだけで精一杯でヘロヘロだった私はもし一人でいたら確実に奴らの餌食になっていた。
……職業チートどころか戦闘以前の根本的な部分の基礎が出来てない。
能力的にはいずれチートも可能かもしれないけど、どうやらそこに至るまではゲームみたいにポンポンレベルアップ出来るものじゃないらしい。
「……戦闘経験が無いとは聞いたが、武器を握った経験が無いだけでなく、本当に戦闘経験全般が無いとはな」
この世界にも戦闘能力の無い者は大勢居る。――が、こう身近に魔物がいる世界故に、戦闘の様子を見聞きした事の無い者はまず居ない。
直に肉を断つ感触を恐れる戦闘未経験者は、冒険者の初心者に一定数居るものらしい。
からこそ、まずは既に事切れた魔物から証明部位を切り取る作業で馴れさせるつもりだったらしい。
……けど、これまで宿では男女別部屋だったのに、野宿で雑魚寝したせいで、イマルさんに毎夜の悪夢にうなされてるのがバレたワケで。
「自分で戦えずとも、それこそ俺ら冒険者を雇って討伐させるのが当然というのがここでの常識だ」
人間の賊相手の命のやり取りに吐き気を覚える人は居ても、魔物の死はあまりに日常過ぎて何も思わないのが普通、らしい。
……まあ私達だって犬猫の虐待には心を痛めても、蚊やハエを叩き潰したところで罪悪感など無い。……どころか、あの黒いGを果敢に退治した者はある意味英雄扱いなのと同じなんだろう。
ただ、その基準値が違うだけで。
「……な、慣れます」
この世界で暮らすなら、郷に入っては郷に従え。
基礎をどうにかしない限り実戦どころじゃない事を思い知らされて。
「今日も見張り番はやらなくて良い。明日の為にもとにかく休め」
「ふふふ、戦闘はともかく野宿は流石に私もまだ慣れませんわ。……見張り番は私が最初でもよろしいかしら? ちょっと途中で起きれる自信がありませんの……」
「大丈夫ですよ! 俺、学はないけど体力はあるんで」
皆の会話を聞きながら一人、毛布に包まると即座に遠退いていく意識の中で、基礎体力を上げようと決めたのだった。
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