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冒険者ランクを上げましょう
3-1 お買い物をしましょう
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「……あの、貴方は確か勇者パーティーの魔物使いイマルさんですよね?」
一同の鑑定結果を出した神官がその結果に顔をひきつらせた。
……ああ、分かるよ。私も叫び出したいもの。
ケント君の言う通り第一職は賢者だったけれど、第二職が聖女。
これ、私が聖女なのか、私も聖女だったのか。
「……神官は、通常鑑定結果を口外してはならない。――そうだな?」
あわあわするしかない私と違い、イマルさんは即座に腰の剣を抜いて切っ先を神官の喉元に突き付けひんやりと釘を刺す。
「ははは、はい! 式典での鑑定等の例外を除いてはその通りで……!」
「では、今ここで見聞きした事は全て一切他言無用だ。墓まで持っていけ」
「は、はい!」
「――では行くか。買い物と……しばらくの宿を確保しよう」
今ここで鑑定内容の議論をするつもりは無さそうだ。
サッと先に立って歩き教会を後にする。
「まずは馴染みの武具屋を紹介しよう」
文明の程度としては中世ヨーロッパの様だけど、魔法がある分世界史で習った当時の様子よりは技術的に発展しているらしい。
綺麗な石畳で舗装された道を馬車が行き交う大通り。冒険者ギルド近くの広場に面した店にイマルさんは私達を連れて入る。
「旦那、初心者用の武具一式を三人分揃えたいんだが」
「おう。イマルじゃねーか! 良いのか、こんな所で油売っててよぅ」
「……ああ。俺はもう勇者パーティーの一員じゃないからな。今日は新しい俺のパーティーメンバーの装備を揃えに来たんだよ」
「おいおい、多種多様な魔物を使いこなす『死角無し』が、か?」
「……旦那、俺の話よりこいつらを頼むよ。明日には外へ出るつもりなんだからな」
「あ、ああ……。で、その嬢ちゃん達の職は何だ?」
「剣士、盾職、魔術師の装備一式を頼む。武器は片手剣と槍斧に……そうだな……杖と短剣が無難か。あと盾と――ケントには革鎧、ヒカルはローブを。……マリーはどうする?」
「金属鎧――全身鎧でなく部分鎧を見せて下さる?」
「……大丈夫かいお嬢さん? 初心者なんだろう? 金持ちの坊やが金に任せて全身鎧で固めて出掛けて、装備の重さに振り回されて――ってな事はたまーに、けど確実に居るんだよ、何人かはな」
「ええ、鎧を身に着けての訓練は日々行っておりましたからその様な無様は晒しませんわ。幸い私達にはイマルが居ますから」
「そうか。……では――」
店主はイマルさんの注文と私達を吟味した上で幾つかの商品を見繕い、その中からイマルさんが見立てた物を選んで購入する。
「――悪いが防具ならともかく女の服は分からん。服屋の集まる通りまで案内するからお前達で選べ。俺は先に宿を取りに行く。こいつを連れていけ」
イマルさんはスライムを私達に渡し。
「ケントは護衛に残れ」
「あっ、イマルさんずるいです!」
「おほほほほ、さあ早速参りましょう!」
「あ、はい!」
イマルさんは自分の従魔の居場所が遠くからでも把握できるそうで。
私達は三人で買い物を存分に楽しんだ。
(お、俺は全然楽しくないです……! イマルさん一人で逃げましたね!)
夕暮れ時になってようやくスライムの蒼夢の案内で宿に着いた頃にはケント君は何故かぐったりしてたけど。
一同の鑑定結果を出した神官がその結果に顔をひきつらせた。
……ああ、分かるよ。私も叫び出したいもの。
ケント君の言う通り第一職は賢者だったけれど、第二職が聖女。
これ、私が聖女なのか、私も聖女だったのか。
「……神官は、通常鑑定結果を口外してはならない。――そうだな?」
あわあわするしかない私と違い、イマルさんは即座に腰の剣を抜いて切っ先を神官の喉元に突き付けひんやりと釘を刺す。
「ははは、はい! 式典での鑑定等の例外を除いてはその通りで……!」
「では、今ここで見聞きした事は全て一切他言無用だ。墓まで持っていけ」
「は、はい!」
「――では行くか。買い物と……しばらくの宿を確保しよう」
今ここで鑑定内容の議論をするつもりは無さそうだ。
サッと先に立って歩き教会を後にする。
「まずは馴染みの武具屋を紹介しよう」
文明の程度としては中世ヨーロッパの様だけど、魔法がある分世界史で習った当時の様子よりは技術的に発展しているらしい。
綺麗な石畳で舗装された道を馬車が行き交う大通り。冒険者ギルド近くの広場に面した店にイマルさんは私達を連れて入る。
「旦那、初心者用の武具一式を三人分揃えたいんだが」
「おう。イマルじゃねーか! 良いのか、こんな所で油売っててよぅ」
「……ああ。俺はもう勇者パーティーの一員じゃないからな。今日は新しい俺のパーティーメンバーの装備を揃えに来たんだよ」
「おいおい、多種多様な魔物を使いこなす『死角無し』が、か?」
「……旦那、俺の話よりこいつらを頼むよ。明日には外へ出るつもりなんだからな」
「あ、ああ……。で、その嬢ちゃん達の職は何だ?」
「剣士、盾職、魔術師の装備一式を頼む。武器は片手剣と槍斧に……そうだな……杖と短剣が無難か。あと盾と――ケントには革鎧、ヒカルはローブを。……マリーはどうする?」
「金属鎧――全身鎧でなく部分鎧を見せて下さる?」
「……大丈夫かいお嬢さん? 初心者なんだろう? 金持ちの坊やが金に任せて全身鎧で固めて出掛けて、装備の重さに振り回されて――ってな事はたまーに、けど確実に居るんだよ、何人かはな」
「ええ、鎧を身に着けての訓練は日々行っておりましたからその様な無様は晒しませんわ。幸い私達にはイマルが居ますから」
「そうか。……では――」
店主はイマルさんの注文と私達を吟味した上で幾つかの商品を見繕い、その中からイマルさんが見立てた物を選んで購入する。
「――悪いが防具ならともかく女の服は分からん。服屋の集まる通りまで案内するからお前達で選べ。俺は先に宿を取りに行く。こいつを連れていけ」
イマルさんはスライムを私達に渡し。
「ケントは護衛に残れ」
「あっ、イマルさんずるいです!」
「おほほほほ、さあ早速参りましょう!」
「あ、はい!」
イマルさんは自分の従魔の居場所が遠くからでも把握できるそうで。
私達は三人で買い物を存分に楽しんだ。
(お、俺は全然楽しくないです……! イマルさん一人で逃げましたね!)
夕暮れ時になってようやくスライムの蒼夢の案内で宿に着いた頃にはケント君は何故かぐったりしてたけど。
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