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銀の剣の仲間達

2-5 オールマイティーなイケメンテイマー

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    「……さて、俺の名前がイマルってのは流石にもういいよな?    俺も山ン中の農村――というか牧場で畜産やら酪農やらをやってる村の出身だから家名はない。歳は26、職業は魔物使いテイマーだ」
    彼は炭酸水を追加で注文し、ジョッキで出てきたそれをぐいっと煽る。
    「俺の職業は第一職のそれだけ。他には無い。……ヒカルの為にも一応説明しとくと、魔物使いって職は基本テイムした魔物を使って戦闘をする。……このスライムの蒼夢ソウムも俺の従魔だ。無論自衛のため最低限の剣術と体術は身に付けているが、俺は他の戦闘職を得られなかった。――故に勇者パーティーに居るには力不足と言われてな」
    職業を得られないと言うことは、能力も無いという事。
    ……勿論訓練次第である程度身に付くものはあるが、能力持ちかどうかでその成果と最終到達点の差が凄まじいと言う。
    「だが、複数の職業に気を取られる事もなく一つに集中出来たおかげで俺の職業レベルはかなり高いし、従魔も前衛・遊撃・中衛・後衛は勿論、斥候や荷物持ちまで揃ってる」
    「あのー、それもうパーティー組む必要は無いのでは?」
    叱られたばかりのケント君が恐る恐る尋ねる。
    「……確かに従魔のバリエーションは揃っているが、一度に扱える数は今のレベルでは3体が限度だ。それに従魔に戦わせている間はどうしても自分の身が疎かになりがちなのでな」
    「その分をパーティーメンバーのサポートで補うと言う事でよろしいかしら?」
    「そうだ。テイマー同士であれば常識だからな、競技会では問題とされなかったが、勇者パーティーの他職の者の理解は得られなかった」
    ……。
    勇者パーティーって……。
   「では、剣神の前衛に賢者の後衛が居る『銀の剣』は貴方にとって理想的なパーティーですわね、経験を積んでレベルを上げさえすれば」
    「ああ、勿論盾職のお嬢さんにも期待はしてるぞ」
    「あら、ありがとう。期待に応えられるよう努力しますわ。――さて、ではこれで自己紹介も済みましたし、後は教会と……買い物も必要そうですわね」
    マリーさんが私を見て言う。
    「ああ、ヒカルの装備を揃えなければな」
    ……そうでした。
    もとの世界の学校の制服は、中世ヨーロッパ風のこの世界では目立つからか、城を追い出される時に剥ぎ取られて、この世界の服を着せられて。……着替えすら持たせて貰えないまま放り出されたから、昨日は風呂も入れずで……私、臭ってる……?
    でも、お金……これ、いくらくらいあるんだろう?
    「心配するな、パーティーメンバーの装備はパーティーの予算から支払うべきだろう。……今日、パーティー登録した時点で俺が勇者パーティーで貯めた分の金が『銀の剣』の口座に移されている。初心者用の装備代くらい、余裕で出せるぞ」
    「あら、それなら私も後で入金しておきましょう。手切れ金としてそれなりの金額をおと――伯爵様からいただいておりますの。私も平民として恥ずかしくないお洋服が必要ですもの、一緒にお買い物しましょうね」
    「お、おおおお俺も!    魔物狩りで稼いだ金が……!」
    「ケント、無理するな。スライムやゴブリンでは大した額は貯められまい。……今後依頼報酬の半分はパーティー予算として口座に貯め、残りを人数で割って個人報酬とする。今はそれで良い」
    飲み干したジョッキをテーブルに置き、イマルさんは席を立つ。
    「さあ、そろそろ行こうか」
    サッと全員分の会計を済ませたイマルさんの後を追うように店を出て。
    「あ、あの、ありがとうございます。ご、ご馳走さまでした!」
    私は頼もしい先輩冒険者に頭を下げた。
    
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