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第二章
……やっぱりかー!
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「その、申し訳ございませんが、その……クロード様というお名前に聞き覚えがなく……」
だけど。“聖女”と呼ばれる方が口にした名前。
そしてその直前に聞いていた話の流れから、ちょっとだけ心当りはあった。
しかし、それが外れて欲しいという願いから、敢えて名前の方から記憶にございませんとすっとぼける。
彼の名を聞いた事はないのだから、これは嘘じゃないし。
しかし、そんなささやかな願いは次の彼女の言葉で見事に粉砕された。
「ああ、そう言えば彼の名前はあまり有名ではありませんでしたね。
あれだけ自己主張の強い男があまり名乗らないものだから、肩書ばかりが有名になって……。
クロードと言うのは勇者の名ですわ」
わー。やっぱりかー。
…………くっ、これは逃げられないか。
「ええ、はい。以前山姥姉妹に絡まれていたところをお助けいただき、そのお礼としてご飯をお出ししました」
「まあっ、ではやはり貴女方があの……!」
「……はい。ですが、私達は見ての通りの零細商人でして。あまり大事になると大変なので、あまり公言はしていないのですよ」
だから声を抑えて下さい、と直に言う事は出来ないので、何とか察して貰おうと言葉を選ぶ。
幸いにも聖女様はあの勇者と違い、ちゃんと考える事の出来る頭脳をお持ちの様で。
しかし、感覚や常識は私達平凡な庶民とは異なるのだろう。
「あらそうなの?」
と、分かったような分からなかったような、不思議そうな表情をしつつも、「なら、仲間内以外にはあまりお話ししないようにしましょう」と請け負ってくれた。
そして美味しそうにスパゲティを食して下さっているんだけど……、
それ、庶民向けパスタなんですよね……
今更説明し難いけど。
ほら、私達以上にジークとルイーゼさんが頬をひきつらせている。
いや、大変お上品にお召し上がりいただいているんですけどね。
なんかいたたまれない……
日本の感覚で言うなら、皇后陛下に学食ランチを出しちゃった様な……
しかし、最後の一口までぺろりと平らげた聖女様。
満足気に微笑んで、
「美味しかったですわ。ご馳走さま。これでクロードの一方的な自慢話に一矢報いて差し上げられますわ」
と、一言。
そして。
「実は……クロードの自慢話に辟易している者が、他にもまだ居りまして……。
その内、賢者らも貴女方を探してやって来るかもしれません。
出来ましたら何か食べさせてやって下さいませんか?」
……えー。この類のイベントまだ続くの?
私達は平和を愛するしがないただの商人なのに!
だけど。“聖女”と呼ばれる方が口にした名前。
そしてその直前に聞いていた話の流れから、ちょっとだけ心当りはあった。
しかし、それが外れて欲しいという願いから、敢えて名前の方から記憶にございませんとすっとぼける。
彼の名を聞いた事はないのだから、これは嘘じゃないし。
しかし、そんなささやかな願いは次の彼女の言葉で見事に粉砕された。
「ああ、そう言えば彼の名前はあまり有名ではありませんでしたね。
あれだけ自己主張の強い男があまり名乗らないものだから、肩書ばかりが有名になって……。
クロードと言うのは勇者の名ですわ」
わー。やっぱりかー。
…………くっ、これは逃げられないか。
「ええ、はい。以前山姥姉妹に絡まれていたところをお助けいただき、そのお礼としてご飯をお出ししました」
「まあっ、ではやはり貴女方があの……!」
「……はい。ですが、私達は見ての通りの零細商人でして。あまり大事になると大変なので、あまり公言はしていないのですよ」
だから声を抑えて下さい、と直に言う事は出来ないので、何とか察して貰おうと言葉を選ぶ。
幸いにも聖女様はあの勇者と違い、ちゃんと考える事の出来る頭脳をお持ちの様で。
しかし、感覚や常識は私達平凡な庶民とは異なるのだろう。
「あらそうなの?」
と、分かったような分からなかったような、不思議そうな表情をしつつも、「なら、仲間内以外にはあまりお話ししないようにしましょう」と請け負ってくれた。
そして美味しそうにスパゲティを食して下さっているんだけど……、
それ、庶民向けパスタなんですよね……
今更説明し難いけど。
ほら、私達以上にジークとルイーゼさんが頬をひきつらせている。
いや、大変お上品にお召し上がりいただいているんですけどね。
なんかいたたまれない……
日本の感覚で言うなら、皇后陛下に学食ランチを出しちゃった様な……
しかし、最後の一口までぺろりと平らげた聖女様。
満足気に微笑んで、
「美味しかったですわ。ご馳走さま。これでクロードの一方的な自慢話に一矢報いて差し上げられますわ」
と、一言。
そして。
「実は……クロードの自慢話に辟易している者が、他にもまだ居りまして……。
その内、賢者らも貴女方を探してやって来るかもしれません。
出来ましたら何か食べさせてやって下さいませんか?」
……えー。この類のイベントまだ続くの?
私達は平和を愛するしがないただの商人なのに!
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