屋台飯！ いらない子認定されたので、旅に出たいと思います。

第二章

リゾートな港で遊びましょう！

　そこは。

　「……ハワイ？　いや、海じゃないし川だし何か違うな。川沿いのリゾートってどっかあったっけ？」

　これまで漁港に商業港、軍港と巡ってきたけれど。
　それとは一線を画す、明らかにそれらのどれでもない港の風景に、私は船を降りて一番に言葉を失った。

　その港は、ある意味エリートな海軍様の港よりも美しく整備され。
　町並みは、セレブな商業港よりも綺麗に整っていて。

　漁港や庶民的な商業港の様な賑やかな市場は見当たらない。
　その代わりに食事処やカフェは多く散見され、雑貨屋や服屋も少なくない。

　そして、何より多いのが宿屋だ。
　大きいのから小さいの、高級宿からそこそこ庶民的な宿まで様々見受けられるが、冒険者の多い町でよく見かける安宿は見かけない。

　「ここは、伯爵領最大のリゾート地なので。貴族も多く訪れますが、庶民用の区画も用意されており、近隣の領地からのお客様も多数お見えになられます」

　あ、やっぱり観光地なんだ。

　実際港に停泊する船の大半がクルーザーやレジャーボートの類だもんね。
　マリンスポーツならぬリバースポーツに勤しむ人が多いのか？

　「庶民の間では、最近バーベキューも流行っている様でして」

　あー。前世で小学生してた頃、河原で飯ごう炊さんに行ったことを思い出す。
　カレーに焼きそばに焼きおにぎり。
　美味しいよね。

　「裕福な商人や貴族の方々には、レストランの方が人気ですが。……肉料理と魚料理の人気は……半々、と言ったところですね。女性やご年配の方ほど魚料理を好む傾向があるようで……」

　ふむ、その辺も世界を超えても変らない傾向なんだな……。

　「ちなみにここ、温泉とかは……」
　「いえ、庶民的な公衆浴場や、富裕層向けのエステやボディケアを売りにした浴場等は御座いますが、騎士等が湯治に使えそうな湯を使う浴場はありませんね」

　じゃあ本当に、お宿に泊まってのんびりしつつ、川でレジャーを楽しみ美食に舌鼓を打つ。そういう観光地な訳だ、ここは。

　「なぁ、たまには俺らも遊ばねぇ？　……店の営業とかじゃなく、純粋にバーベキューがしたいんだけど、俺」
　ロイスが呟く。
　「あー……、確かに。最近料理と言えば営業か賄い分ばかりだったもんね。確かに、たまにはバーベキューも良いかも」
　私もついついそれに同意する。

　「うむ。……シャリーの飯は賄いでも十分美味いから不満はないのだが……。しかし、それとは別にちょっと楽しみたいな」
　まぁ、ね。船旅になる以前は野宿もしょっちゅうで、賄いも野外料理が多くなりがちだったけど。

　野営の食事とレジャーとしてのバーベキューじゃそもそもの根本がまるで違うからな。