屋台飯! いらない子認定されたので、旅に出たいと思います。

彩世幻夜

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第二章

映えを気にする男は希少種?

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 「うん、想定はしていたけどね……。実際ロイスはどっちかって言うとあっち側の男だし」

 お菓子は、売れた。
 やっぱり最初に見た目で食いついたのは女性陣だった。

 「わあ、可愛い!」
 「オレンジのグラデーションがキレイよねぇ?」
 「食感が……。これ、寒天なの? 寒天なんてところてんでしか食べたことないわ。……黒蜜で甘くしたのは美味しいけど、高いのよねぇ。安い酢醤油のはあんまり好きじゃないのよ、私」
 「ほんのりみかんの味が、牛乳臭さを無くして、みかんの酸味を牛乳が中和して甘いわね。
 底のあんこも甘さ控えめ。
 ナッツは甘いけど、他がそうでもないから、口の中で丁度良い味になって癖になりそうよ」

 流石にこの世界に一般人が気軽に使えるカメラ――写真にしろ動画にしろ――なんて無いから、……もっと言えばネットやSNSなんて存在すらしないから、基本皆自分の目で見て楽しむだけだけど。

 美味しい、甘さ控えめと噂を聞きつけた男性陣がちらほら列に並び始めたんだけど……

 「おお、一口サイズで食べやすいな」
 「いや、流石に一口は無理ッスよ。けど簡単につまめるのは良いっすね。あ、うまっ。
 ホントだ、あんまり甘くない!
 しかもこんな小さくてもそこそこ食べごたえありますよ、これ」
 「ああ、このぷるぷる……いやしこしこ? 何とも言えない食感のこいつだけだと物足りないが、ナッツとあんがいい仕事してやがるな」

 うん、美味しく食べてくれるのは嬉しいけど。
 見た目にこだわって作った側としては、せめてもう少し、口に放り込む前にその見目を楽しんでもらいたかった……。

 「お、俺を引き合いに出す出すなよぉ……」
 「いや、でもアンタ、不味そうな盛り付けでさえなければあんまりその辺気にしないじゃない。
 むしろ色とりどりのキレイなフルーツカクテルより、茶色一色の肉の塊のが好きでしょ?」
 「いや、多分世界に居る大半の男はそうだと思うぞ。流石に全部とは言わないが」

 「あ、あはははは~……」

 そんな私とロイスのやり取りに、そっと視線をそらして遠くを眺め始めるジーク君も、思い当たる節はあるようで。

 「はぁ。ウチの脳筋野郎共ばかりの話ではないのですね、やはりその様な情緒を重んじられない男というのは……」
 ルイーゼさんがため息を一つ吐く。
 「侍女やメイド達の愚痴はその類のネタが尽きませんからね」

 ……実際、営業終了後、売上を確認したら十分成功と言える額を稼いではいたのだけれど。

 「何だろう、素直に成功を喜べないわ……」
 私は一人、何とも言えない敗北感に打ちのめされた。
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