屋台飯! いらない子認定されたので、旅に出たいと思います。

彩世幻夜

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第二章

見た目にこだわります!

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 「今回はスイーツだし、見た目に凝ろうと思うの」

 勿論味が美味しいことが前提なのは変わらないけど……。

 「これまでも、勿論盛り付けには気を付けてきたけど、やっぱり高級店の洒落た盛り付けとは『比べちゃダメだよね』ってレベルだったでしょ?」
 「まぁ、屋台なんだし……。多少はな、どうしてもオシャレな盛り付けより勢いの良い盛り付けのが客にウケるし」
 「うん、だけど今回はお菓子だからね。盛り付け……ってよりはお菓子そのものを見た目も重視して作ろうと思ってね」

 その為に用意するのは、角砂糖サイズよりは確実に大きい、3センチ角のサイコロ型の穴がいくつか空いた木枠。

 ……はい、勿論ジーク君に頼んで特注して貰いましたよっと。
 この型を使って、サイコロ状のお菓子を作る。

 まずは大量の落花生からピーナッツを取り出し、炒りつける。
 ……うん、これが結構面倒くさいんだ。特に落花生の殻は固いからなー。
 その落花生を荒く刻んで、溶かした砂糖と水飴でくっつけ固めて板状にしたものを、先の木枠の底に置いて、お菓子の土台にする。


 これ、厚すぎると固くなりすぎて噛めなくなるからその辺の加減も注意しないと……。
 ピーナッツ煎餅とか一昔前の雷おこしみたいになっちゃマズいんだよ、今回のお菓子は。

 で、その板の上に少しだけ白あんを塗り。

 お次は先の枠より5ミリ程小さな枠に、薄皮まで剥いたみかんを刻んだものと、牛乳に溶かした寒天を入れて固めていく。
 いわゆる、牛乳寒天だ。
 ピーナッツが甘いから、少し甘さ控えめに作ったそれが固まったら、そのピーナッツの板の上に乗せ。
 みかんの一房の綺麗なのを更にその上に飾る。

 そして。
 みかんの果汁でオレンジ色を濃度ごとに三種に分けた寒天液を、グラデーションになる様、型枠に順に流し入れ。
 一番上は寒天液のみの透明なのを注ぎ、固まれば……、

 中の牛乳寒天が透けて見える、オレンジ色のグラデーション美しい、男性なら一口で食べてしまえる、女性でも二、三口でいただける、3センチ角の正方形のお菓子が出来上がる。

 「これは……、なる程、綺麗ですね。それでいて王都であるような、マナーを気にして食べなければならない様な繊細なスイーツと違って、片手で摘んで簡単に食べられる。良いですね、これ」

 「うむ、下のナッツの板……砂糖やら水飴やら絡めていたからもっと甘いかと思えば……、ナッツの塩気と……あんにも少し塩を入れたか?
 ミルクとみかんも良い仕事をしている。
 これは暑い中働く最中のオヤツに丁度良いと思うぞ」

 よしよし、皆のリアクションも悪くない。
 やっぱり今回はコレでいこう。
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