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第二章

ライバル同士なのは良いけれど……ね?

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 パッパラ~パッパパー!

 屋台営業を大繁盛のまま終わらせ、売上を荒稼ぎした翌朝。
 港にラッパの音が響いた。

 いや、イントロこそラッパばかりが派手に目立った音を立てていたけれど、すぐに笛や太鼓の音が加わり、勇壮な音楽を奏でている。

 「あれは、海軍に所属する音楽隊です。……近いうちに、王族の視察が入る事になっていまして。その歓迎セレモニーの練習をしているのでしょう」

 その事もあっての伯爵様のあの依頼があったらしい。

 ちなみに音楽隊の使う楽器は。オーケストラによく使われる弦楽器を持つ演奏者はおらず、金管楽器のきらめきが、エリートイケメン集団を更に輝かせている気がする。

 ……なんせ制服が! かっこよすぎる!
 それを着ている人達も一定以上の美形なもんで……。

 「ああ、メインの軍船が訓練に出向くのですね。……通りで、午前中に出港禁止命令が出ていた筈です。成程、当日は軍の演習をご覧いただくつもりなのですね」

 ……その上、あのチキン南蛮が王族の食事として提供されるかもしれないとのこと。

 「はぁ!? いやいや、そりゃあここのエリート様でも食べて貰えそうなメニューを考えはしましたけど! さ、流石に王族って……!」
 「美味しかったですよ? 無論パンとスープを付けるだけなのはいただけませんので、その他前菜やデザートなどは軍の料理人が何とかするでしょうが」

 ……まじか。何か冷や汗が止まらないんだけど。
 まさか、勇者に続いて面倒事が増えるなんて事……ないよね? ないよね?

 吹奏楽団の素晴らしい演奏を聞きつつ、船の中で昼食を食べた後、ようやく出港禁止命令が解かれ、私達は再び海の上の旅を――

 「あれ、さっきより揺れるね?」
 「はい、そろそろ河口が近いですから。川を遡るので、これからは速度も少し落ちるでしょうね」

 どうやら海の旅は終わり、これからは川を行く旅になりそうだ。

 「ここは、川を隔てて領境でして。正面向かって左手が我らが伯爵領、右手はまた別の伯爵様の領地になります」

 同じ爵位を持つ貴族同士とあって、仲が悪いとまではいかないが、何かと張り合う事が多いらしく。

 「ここいらの漁港や商業港での取引はいつもとても賑わうのです」

 流石に犯罪レベルまでの騒ぎは事前に誰かが仲裁に入って治めるが、ちょっとしたどつき合いや怒鳴り合いは珍しくないのだとか。
 故に、その村や街の住民もたくましい者たちばかりで形成され、その空気に馴染めない者は他所の土地へと出て行く事もあるとか。

 「ミルフィ殿、そしてシャリー殿は、決して一人にならぬ様ご注意下さい」
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