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第二章

まさかのお呼び出し

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 ぱくりと、とんかつ巻きを口に入れるおばちゃん。

 「あら、とんかつなんてもっと脂っこいかと思えば……、酢飯と大葉が良い仕事して、そんなにしつこくないね。酢飯にこのタレも意外と合って……、おいしいよ」

 「こちらのサラダ巻きというののこの白いソースも美味しいわ」

 「刺し身を巻いた海鮮巻きは、丼や握りで食べ慣れた組み合わせだから美味いのは分かるが、こりゃ嬢ちゃん達やるじゃないか」

 おお、お褒めの言葉を頂きましたー!
 ありがとうございます!

 そして、古今東西、世界が変われどおばちゃん達の口コミは侮れないのだと、このおばちゃん達が食べ終わり離席してしばらくして、私達は思い知るのだった。

 「……これ、どういう事?」

 来るわ来るわ、お客が途切れることなく訪れる。
 元々人通りの多い場所と言えど、他の店にこれほどの人数が集っている様子は見受けられず。

 「いや、イカ釣りのカイルのトコのが噂しててな。美味いって」
 「貝採りのルイスのトコのも言ってたな」

 と、奥様方の評判を聞いてやって来たという人が次々とご来店され。
 日が沈む前には用意していた材料を使い果たし、営業終了となった。

 勿論売上はウハウハ。
 例の海鮮丼屋で打ち上げして、宿屋へ戻る。

 明日には街を出て次の街へ向かうつもりで、ゆっくり休んだ、その翌朝。

 宿の朝食を食べつつゆっくりしていたその時。

 「あー、すまんが尋ねたいことがある」
 カラン、とドアベルが鳴りどやどやと男達が入ってくる。

 ……やけに仕立ての良い服を着ている。
 しかも制服なのか揃いのデザイン。

 何より宿屋にこんな時間に……チェックアウトする客は居てもやって来る客なんて居るの……?

 「はい……? 何でございましょう?」

 宿のフロントでも困惑している。

 「この宿に宿泊しているらしい客に用事があるのだが」
 団体の先頭に居る男がそう言って何やら紙に書いた物を読み上げる。
 「男二人、女一人と幼女一人の四人組の団体だ。馬と馬車を預けて泊まっている客。心当たりがあるか?」

 えーと……。
 それってもしかしなくとも……、

 「それでしたら、そちらの食堂で朝食をお召し上がりになられているお客様がそうですね」
 「むっ、……そなたら、昨日広場で屋台を営業していたものか?」

 やっぱり私達か!

 「……そう、ですが」
 「で、あれば。我等がお館様がお呼びである。直ちに支度をし、我らが屋敷に参られるが良い」

 「はぁ、あの、そのお館様とはどなたのことでしょう? 私達は行商人、この街に明るくありません。無知で申し訳ございませんが、お教え頂けないでしょうか」

 「我らが主はこの領地の領主様であらせられ、我が国の王より伯爵位を頂く方である」

 は、はくしゃく……!?
 私達ってば何やらかした!?

 
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